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大腿四頭筋のモーターポイント

📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿四頭筋の神経筋電気刺激における運動点ヒートマップガイド

📕Flodin, J., R. Juthberg, and P. W. Ackermann. "Motor point heatmap guide for neuromuscular electrical stimulation of the quadriceps muscle." Journal of Electromyography and Kinesiology (2023): 102771. https://doi.org/10.1016/j.jelekin.2023.102771
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ 前提知識:モーターポイントとは何か?
・筋には電気刺激に対して最も反応しやすい部位が存在し、それをモーターポイント(運動点)と呼ぶ。
・筋を支配している神経の筋枝が筋に入り込む部位で、神経筋接合部が集まっている部位と考えられている。
・モーターポイントに電気刺激する方がより少ない刺激強度で筋収縮を効率的に惹起することが可能
・余計な痛みを起こさないためにも、臨床上非常に重要なポイントとなる

📗 庄本康治:PT・OTビジュアルテキスト エビデンスから身につける物理療法.
📕Albert, Anju Mary, et al. Int J Anat Res 7.4.3 (2019): 7176-82. >>> doi.

[背景・目的] 神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation, NMES)による下腿部の筋収縮は、静脈血栓塞栓症の予防、リハビリテーション、筋力トレーニングの最適化など、様々な用途に使用できる。しかし、最適でない刺激点を使用することにより、不快感や効果の低さが生じ、NMES治療へのコンプライアンスが制限される。筋運動点(muscle motor points, MP)を最も見つけやすい場所を知ることで、NMESの快適性とコンプライアンスを向上させることができるかもしれない。
●目的:大腿四頭筋部のMPを解剖学的にマッピングし、下腿部でMPが見つかる確率を計算すること。

[方法] 健康な成人31名を対象に、超音波を用いて内側広筋(vastus medialis, VM)、大腿直筋(rectus femoris, RF)、外側広筋(vastus lateralis, VL)の個々の解剖学的構造を決定した。その後、MP-penを用いた3Hzの神経筋電気刺激(NMES)MP-searchを実施した。大腿部の解剖学的構造を正規化し、112(8x14)3x3cmの領域に分割し、異なる領域でMPを見つける確率を計算し、MPヒートマップを作成した。

[結果] ヒートマップでは、VLとVMにそれぞれ3×3cmの最適な2つの領域が表示され、それぞれMPが見つかる確率が50%を超え、他のすべての領域と比較して高い確率で見つかった(p <.05)。

RFは2つのエリアでMPが見つかる確率は29%であった。大腿四頭筋のMPの数は、平均(±SD)9.4±1であり、回帰分析の結果、身体活動レベルが高い、体脂肪が低いという2つの独立因子と有意に関連していることがわかった(R2 = 0.42, p=<.0001).

[結論] MPの位置や数には大きな個人差がありましたが、ヒートマップではMPが見つかる確率の高いエリアが表示され、NMESの適用を促進するために利用することが可能である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「ん?これデジャブかな?」

そう思った。
全く同じような内容、同じような図の論文を見た記憶があったからだ。
そう、以前抄読した『腓腹筋のモーターポイント』である。

著者を確認してみると、同じ研究グループによるものだった。
この研究グループは、まったくもって、いいフォーマットを見つけた。
モーターポイントを見つける必要がある筋は、1つじゃない。
たくさんあるのだ。
当たり前のことを言うようだけれども。
と言うことは、まったく同じ方法を用いて、たくさんの研究ができる、需要がある。

フォーマットの発明💡
枝葉ではなく大木を。
砂金ではなく金脈を。
深海における1つの真理ではなく潜水艦を。
ある朝の新聞ではなく印刷法を。
歩行の1つのトピックではなく三次元動作解析法を。

汎化性能(Generalization performance)
とある1つの研究をするとき、その他の様々な事象にも適応可能な方法のフォーマットを開発する視点を持ちたい。
そうすれば、作業的な気楽さで、たくさんの創造的な仕事ができるかもしれない。
今回の抄読のまとめも、図をちょこっと変える程度で、短時間で済んだ。
色んな意味で、勉強になる論文、研究グループ。
前脛骨筋、中殿筋、上腕、前腕…。
今後も、たくさんのデジャブに遭遇することになろう。

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