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回復の質(QoR)。評価指標とTHA/TKAの比較


📖 文献情報 と 抄録和訳

人工股関節置換術および人工膝関節置換術後の周術期早期回復の質:レトロスペクティブ比較コホート研究

📕Perrin, Thomas, et al. "Early perioperative quality of recovery after hip and knee arthroplasty: a retrospective comparative cohort study." International Orthopaedics 47.11 (2023): 2637-2643. https://doi.org/10.1007/s00264-023-05903-w
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※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] THAやTKAの術後の世界的なQoR(Quality-Of-Recovery:回復の質)に関する知識を深めることは、周術期医療を改善する上で重要であり、特に術前の患者情報や術後の患者状態のベンチマークに役立つ。

[方法] 本研究は、フランスのストラスブールにあるストラスブール大学病院で実施された、前向きに収集されたデータを用いた単一施設の後ろ向きコホート研究である。主なアウトカムは、術前、術後1日目、3日目、14日目、28日目にモニターした修正フランス版QoR-15スコアである。

✅ QoR-15とは?
・40項目からなるQoR-40の広範な臨床経験と研究経験に基づき、QoR-40の5つの次元のそれぞれから心理測定学的に最も優れた項目を選択し、短形式のQoR-15を作成した。
・15項目、0-150点のテスト
・優れた信頼性、妥当性を有した

📕Stark et al. Anesthesiology 118.6 (2013): 1332-1340. >>> doi.

THAとTKAの回復パターンに違いはあるのか、術後の健康状態は最終的に術前の基準値を超えるのか、という仮説を立てた。

[結果] QoR-15は、POD1および28において、TKA群と比較してTHA群で統計的に高かった(それぞれ112±17対107±17;p<0.01、131±12対127±15;p=0.02)。

術前のmQoR-15Fに達するまでの術後平均時間遅れは、THA群で7日、TKA群で16日であった。
QoR-15のサブカテゴリーの比較(図)。

[結論] THAとTKAの術後早期の健康状態は有意に異なり、TKAはTHAと比較して早期のグローバルヘルス状態の低下が大きい。THA群、TKA群ともに、術後1週間後と2週間後には、全身の健康状態は術前のレベルを超えていた。このような術式別の回復プロフィールは、回復経路の強化の一環として、アドバイスされた術式の決定や具体的な回復目標を設定するための患者情報の改善に有利であると考えられる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前の文献抄読において、TKA患者はTHA患者と比較して、手術したことに後悔する確率が2倍以上高いことを知った。

これに対して、「なぜだろう?」と思っていたのだが、その一部について理解を得ることができた。
それは、回復の質が低い、からである。

回復の質(QoR)という概念、評価指標が存在することをこの論文を通じて知った。
その回復の質、特に痛みの快適さと心理的健康において、THAはTKAより優れているように見えた。
そして、その2領域というのは、理学療法士が主戦場とする領域なのである。
さて、頑張ろうではないか!

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