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血液透析患者における疲労


📖 文献情報 と 抄録和訳

血液透析患者における疲労

📕Bossola, Maurizio, et al. "Fatigue in Patients Receiving Maintenance Hemodialysis: A Review." American Journal of Kidney Diseases (2023). https://doi.org/10.1053/j.ajkd.2023.02.008
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■ 透析後の疲労(Postdialysis fatigue, PDF)
・透析(hemodialysis, HD)の各セッションは、精神的健康、代謝、心血管系 機能、および灌流に影響を及ぼす、生理学的および 心理学的に厳しいイベントである。透析中の疲労(intradialytic fatigue, IDF)は、HD治療開始直前に発現または悪化し、治療期間中持続する疲労を特徴とする(📕Brys, 2019 >>> doi.)。
・疲労は、HD処置中の最も一般的な症状であり、患者の60%~80%が報告しており、HD処置の直前または処置中は、非透析日よりも重症化するようである。
・疲労の重症度とHDのタイミングとの関係をさらに評価するために、ある研究では、HD治療中に、治療1時間前と比較して疲労が有意に増加することが示された

■ 最も一般的に使用される指標:透析から回復するまでの時間(time to recovery from dialysis, TIRD)
・TIRDに関して、ある研究では、PDF患者の79%が4時間以内に回復し、平均TIRDは206±199分(SD)であったと報告している(📕Bossola, 2013 >>> doi.)。
・別の報告では、平均TIRDは同程度であったが、個人差が大きく246±451(SD)分であった。Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study(DOPPS)では、患者の32%が回復時間が2時間未満、41%が2~6時間、17%が7~12時間、10%が12時間以上と報告した(📕Rayner, 2014 >>> doi.)。
・透析後の回復時間が1時間長くなるごとに、入院のリスクが3%、死亡のリスクが5%増加した。すべての研究がTIRDのカットオフ時間を同じにしているわけではないため、研究間の比較には限界がある。

■ 透析後の疲労の関連要因
・HD後の疲労の原因は、PDFやTIRDに関連する因子を報告した研究もあるが、はっきりとはわかっていない
・PDFは、透析手技による心血管系や血行動態への影響、臨床検査値の異常、うつ病、運動不足など、いくつかの臨床的要因と関連している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

先輩PT:「透析はフルマラソンを走り切ったくらい疲れるんだよ!」
患者:「確かにその通り。そのくらいは疲れるね!」

ぼくが所属する病院は糖尿病治療、透析治療を主として発展してきた経緯もあり、透析患者が多い。
その中で、上記のような話を先輩PTから聞いて、患者さんも同意していた。
おそらく、そのどちらもがフルマラソンを走り切ったことはないのだろうけど、その位インパクトのある疲れなのだろうと感じたものだ。

さて、今回の論文を読んで、その疲労に名前がついていることを知った。
透析後の疲労、PDF (Postdialysis fatigue)
これまでぼんやりとしか存在しなかった、透析後の疲労という症状がくっきりと姿を現した。

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