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自宅内を超えた動線設計。交通手段の確保が参加を促す

📖 文献情報 と 抄録和訳

つながっていること:高齢アメリカ人の代替交通利用、近隣、社会参加

Latham-Mintus, Kenzie, Matthew Manierre, and Keith Miller. "Staying connected: alternative transportation use, neighborhoods, and social participation among older Americans." The Gerontologist 62.1 (2022): 75-88.

🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 社会的活動に参加する高齢者の健康増進を実証的に示す証拠は数多くある。代替交通は、高齢者を社会活動につなげ、人と環境の適合性を向上させる橋渡しとして機能することができる。

[方法] 研究デザインおよび方法本研究では、National Health and Aging Trends Studyの第1-8波を用いて、65歳以上のメディケア受給者のサンプルにおいて、代替交通の利用が多様な社会活動への参加と関連しているかどうかを検証するものである。さらに、本研究では、交通手段利用の効果が近隣の環境によって異なるかどうかを調査する。2レベルの成長曲線モデルを用いて、社会活動への参加に関する個人の軌跡を分析した。

[結果] 公共交通機関の利用、介護タクシー、車での移動、徒歩・車椅子・スクーター(≒ セニアカー?)の利用は、より多くの種類の社会活動への参加と関連していた。代替交通を利用している回答者は、参加度の急減が少なかった。乗り物に乗ったり介護タクシーサービスを利用したりすることの効果は、無秩序な地域に住む回答者においてより顕著であった。

[結論] この研究は、高齢者の参加にとって、代替交通の利用や近隣の環境が重要であることを強調している。地域社会への参加を促進することを目的とした高齢者に優しい取り組みは、複数の交通手段の役割について幅広く考える必要がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

屋外歩行は転倒リスクが高いので、買い物は、介護サービス(ヘルパー)を利用してください。

リハビリテーションにおいて、最も大切にしなければならないこと。
それは、『安全』だ。
安全が担保された上で挑戦や成長があるし、入院中のリハで転倒して骨折、では本末転倒である。
だが、時として、それは安全を通り越して制約となってしまう場合もある。
とくに制約が発生しやすいのが、退院支援の局面だと思う。
退院後には、セラピストの手を離れるため、より安全面には過敏になる。
すると、安全という名の下での厳しい制約を設けたりしてしまう。
ベッドレストが、最も転倒リスクが低いから。

その対策の1つとして、「知る」ことが大切だと思う。
極端な例だが、「歩いて買い物に行く」しか選択肢になければ、『ダメです』になってしまうのは当然である。
しかない、ということは今の日本にはなくて、車、二輪車、介護タクシー、車椅子、etc...たくさんの選択肢がある。

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🌍 【国土交通省】都市における人の動きとその変化 >>> site.

さらに、それぞれの乗り物から、介護サービスの利用や市町村サービスの利用など、さまざまな利用形態が支流する
それらのフローチャートが整理されきっていれば、その人にとって最良の移動方法を選択することができる。
すべての選択肢が用意されていて、選ぶことができる。
その状態を目指したい。

しかない、というものは世にない
人より一尺高くから物事をみれば、
道は常にいく通りもある

坂本龍馬(竜馬がゆく)

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