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TKA, THAと身体活動量


📖 文献情報 と 抄録和訳

人工膝関節置換術または人工股関節置換術を受けた3,506人を対象とした機器による身体活動測定

📕Small, Scott R., et al. "Device-measured physical activity in 3,506 individuals with knee or hip arthroplasty." Medicine and Science in Sports and Exercise (2024). https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000003365
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[背景・目的] 人工股関節置換術および人工膝関節置換術は、変形性関節症患者の関節痛を軽減し、機能的可動性を増加させることを目的としているが、人工関節置換術が身体活動量の増加とどの程度関連しているかは不明である。本研究では、人工股関節置換術および人工膝関節置換術と客観的に測定された身体活動量との関連を評価することを目的とした。

[方法] この横断研究は、UK Biobank参加者(43~78歳)から2013~2016年に収集された手首装着型加速度計のデータを分析した。多変量線形回帰を実施し、人口統計学的および行動学的交絡因子を制御した上で、非関節炎の対照コホート、関節炎末期コホート、および術後コホート間の歩数、ケイデンス、全体的な加速度、および活動行動を評価した。有効な加速度計の装着時間と完全な自己報告データを有する94,707人の参加者コホートから、電子カルテを用いて、一次または再置換の人工股関節置換術または人工膝関節置換術を受けた3506人の参加者と、非関節炎の対照者68,389人を同定した。

[結果] 末期の股関節または膝関節症は、非関節炎の対照群と比較して、1日あたりの歩数が1129歩少なく(95%信頼区間(CI)、811-1447;P<0.001)、中等度から活発な活動時間が5.8分少なかった(95%CI、3.0-8.7;P<0.001)片側一次股関節形成術および膝関節形成術は、それぞれ末期の変形性関節症患者よりも877歩(95%CI、284-1471;P = 0.004)および893歩(95%CI、232-1554;P = 0.008)多かった。片側股関節形成術の術後参加者は、中等度から精力的な身体活動レベルおよび1日の歩数を、非関節炎の対照群と同等に示した。全体的な加速度、1日の軽い活動、座りがちな行動、睡眠に費やした時間については、身体活動にどのコホート間でも差は認められなかった。

[結論] 人工股関節置換術および人工膝関節置換術は、末期関節炎患者と比較して身体活動レベルが高いことと関連している。特に片側股関節形成術患者は、術後1年以上経過した時点で、関節炎でない同年齢の患者と同等であることが示された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまでもTKAやTHAに関する文献はたくさん抄読してきた。
しかし、その中で手術後の身体活動量を明確に示した文献というのは、なかったように思う。
今回の抄読文献は、個人的には待望の論文だった。

TKA、THA実施者と非実施の末期変形性関節症者の身体活動量を比較した結果を示してくれた。
その結果としては、TKA、THAをすると、非変形性関節症者の身体活動量にだいぶ近づく、ということ。
同時に、末期変形性関節症者の身体活動量は、非変形性関節症者と比較すると、予想通りだが低いものだった。

「Activeに動きたい!、散歩したい!、活動したい!」
そういう思いを抱きつつ、変形性関節症が障壁となっているのならば、関節置換術は大きな選択肢の1つになるのだろう。

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