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リハビリにおける成功の定義トップ10!

📖 文献情報 と 抄録和訳

「リハビリテーションの成功」とは何か?リハビリテーションのアウトカム測定に役立つマルチステークホルダー・ノミナルグループ手法研究

📕Wallace, Sarah J., et al. "What is ‘successful rehabilitation’? A multi-stakeholder nominal group technique study to inform rehabilitation outcome measurement." Clinical Rehabilitation (2023): 02692155231157181. https://doi.org/10.1177/02692155231157181
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[背景・目的] リハビリテーションの利害関係者が「リハビリテーションの成功」をどのように概念化しているかを調査し、亜急性期リハビリテーションの最小限のデータセットとコアアウトカムを開発するための情報を提供する。

[方法] ノミナル・グループ・テクニックを用いた定性的コンセンサス・スタディ。
■ 設定方法:オンラインフォーカスグループ。
■ 参加者:オーストラリアの患者・家族(n=7)、臨床家(n=15)、医療サービス管理者(n=9)。
■ 調査方法:参加者は、「リハビリテーションの成功とはどのようなものか」という問いに答えた。項目作成後、上位5つの回答に優先順位をつけ、相対的な重要度を示すために項目間で100点を割り当てた。優先順位の高い回答は、質的内容分析を用いて利害関係者間で分析された。

[結果] 10のテーマが確認された。
■ リハビリテーションにおける成功とは?(Ranking Top 10)
①人中心・家族中心
②効果的であること
③複数の専門職間連携
④有意義な結果をもたらす目標指向型
⑤アクセス可能で公平であること
⑥連続したケアに接続されている
⑦エビデンスに基づき、革新と研究を促進する
⑧適切な資金と技術
⑨満足感・魅力的
⑩安全であること

[結論] 利害関係者が定義した「リハビリテーションの成功」は、価値に基づくケアとエビデンスに基づくリハビリテーションの原則に沿ったものであった。人と家族を中心としたケアの提供と受領が、成功するリハビリテーションの最も重要な指標であった。成功の指標は、構造、プロセス、結果、経験の指標を含み、複数の時点において実施されるべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

BMIが19です→マラソン選手、ボクシング選手にとっては成功。ラグビー選手にとっては微妙。相撲選手にとっては大失敗。
幸福な人生→一般人にとっては成功、悲劇作家にとっては失敗。

まったく、人の世というのは面白い。
同じ現実であったとしても、その価値づけ、色付けは十人十色。
ある人にとっての成功が、ある人にとっての失敗であることは日常茶飯事だ。

だからこそ、ある程度「成功の定義」に関する統一見解を持っておかないと、業界で共通の方向性に進んでいくことができない。
極端に言えば、あるPTは治療技術Onlyで患者・家族の思いなどは二の次、三の次。
また別のPTは思いを重要視しすぎて、治療技術は二の次、三の次。
そのどちらにも、担当してほしくはない。

今回の研究結果であるリハビリにおける成功の定義、トップ10を改めてみてほしい。
この10の項目を満たせていたら、どうだろう。
確かに、良い、と感じられる。
リハビリテーションというテストにおいて、この10教科があること、それを周知していることが大切なのだ。

その教科がある
→その試験が行われる
→それを知っている
→勉強する人が増える。

例えば、「今回の10項目を評価指標を定めて測り、その結果で回復期リハの質として、診療報酬を定めますよ〜」とか言われたら、やる、多分。
試験があるから勉強する、受験に合格したいからその教科を勉強する。
その仕組みが、人間に備わっていることは確かだ。
必要は発明の母、だから大事なことは、どんな『必要』を定め、仕組み化するか。
その準備としての今回の研究は、尊い。

むしろ必要こそが発明の母であり、困難こそが偉大な成果を生むための真の学校であると言えるだろう
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