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漫画みたいな毎日。「探しに行くよ、内なる花を。1」


毎年、何故だか9月、10月は駆け足で過ぎていく。

夫や末娘の誕生日があったり、幼稚園の誕生会にお祭り、そして、家族が私の誕生日を張り切ってお祝いしてくれるムードが高まるからだろうか。

北海道では、夏が終わると途端に、「雪が降るまえに」という空気が漂う気がする。

雪が降るまえに、庭を整え、畑を片付け、家の補修をし、衣替えをし、寒くなる前に、あれもこれもやっておこう。

そんな気持ちになる。

北海道の冬は長い。温暖化したとはいっても、冬は半年は続く。
雪に閉ざされる感覚が、冬が来る前に!と慌ただしい気持ちを誘うのだろう。日本では12月を師走というが、北海道では師走よりも雪が降り積もる前の時期の方が気忙しいのではないだろうか。

実際に、私も北海道に移住してからというもの、この時期は秋の気配を味わうよりも、冬への準備をしなくてはという気持ちに駆られいている。

今年は、そのような北海道の秋の気配を十分に感じる間も無く、10月の半ば、本州へと足を運んだ。

一番の目的は、長男が興味を持った高校のオープンスクールへの参加だ。

本来は中学3年生が対象だが、我が家は北海道に住んでいることもあり、来年の10月に見学するのでは、他の選択肢と並べるにしても遅すぎる気がした。学校に連絡すると、「遠方ですし、ミスマッチを防ぐ為にも、是非参加してください。」と快諾していただいた。

長男が興味をもった高校は、自然環境関連の学科がある。以前からその存在を耳にしたことがあり、長男が興味を持ったら見学に行ってみるのも良いかもしれないなと思っていた。

HPやネット上での情報が沢山溢れていても、百聞は一見にしかず、だ。

夫は仕事の都合で、後から合流するので、私と三人の子どもたちで飛行機に乗ることになった。

関東では、姉の家に滞在させてもらえることになり、「出来る限り荷物は少なくね。こちらにあるものを使えばいいから!」と申し出てもらっていたので、出来る限り少ない荷物で!とパッキングするが、小さな子どもたちの衣服は借りることが出来ないので、それなりに準備することになる。私の荷物は最低限に抑える。事前の予約で、預ける荷物は20キロと申請した。パッキングを終えて重さを計ると19.8キロ!お、優秀ではないか!

機内持ち込みは、一人7キロまで。単純に計算すれば、4人で28キロ持ち込めることになるが、実際に末娘に7キロの荷物を背負わせることは出来ないので、調整しなければらならい。

長男は自分の勉強道具や釣り道具をパンパンにリュックに詰めて、6.8キロ。・・・長男に荷物を持ってもらうことは不可能となった。

二男は身軽で、リュックも空きがある。二男にお土産の紙袋を持ってもらうことをお願いした。助かる・・・。

そして、末娘。出発の1週間以上前から、パッキングを始めた。小さなキャリーケースに好きなおもちゃ、指輪や便箋、ヘアゴム、ぬいぐるみ、スタンプセットに手提げに絵本・・・。女子の荷物は多いのである。

「お母さんも荷物がいっぱいだから、途中で持ってあげられないからね?自分で最後まで持っていけるだけ持っていくようにしてね。」と、ちょっとしつこい位に言ってしまったことを反省しつつ、関東の交通機関での人の往来の多さと慌ただしい空気の流れを知っているだけに、ついつい口にしてしまった。

末娘は北海道から生まれて始めて出る。もちろん、飛行機も初めて。「飛行機に乗る時は、ふかふかのスリッパに履き替えるんだよ~。」と言う兄たちの古典的な嘘を信じている様子だった。

二男も前に飛行機に乗ったのは、2歳くらいだったので、その様子を忘れている。そう考えると飛行機に乗るのは、初めてのようなものだ。

飛行機の中ではやや緊張した様子の二男と末娘。沖縄まで一人で行ったことがある長男は余裕綽々で好きな本を読んでいる。

私は、飛行機が苦手だ。

気圧の関係で、機体が下がった時のお腹がふわっとなるあの感覚が、どうにも好きになれない。ブランコもジェットスターも、なんならエレベーターも苦手だ。

夫が言うには、私は前世で高い所から落ちて死んだのではないかとのこと。他にも私に苦手なものがあると、全部前世での死に方に結びつける。夫の見解としては、閉所に閉じ込められ、空腹になり、眠ることも許されず、高い所から物凄いスピードで落とされて死に至ったのではないかとのこと。なんじゃそりゃ。


夫が子どもたちのことを配慮し、出来る限り、到着地からラッシュにかからない時間帯での移動を組んでくれたのだが、LCCでの渡航なので、空港から目的地までは遠い。それでも、移動人数の多い我が家としては、格安航空券はありがたい限りだ。

昼過ぎの便で北海道を立ち、成田に着いたのは14時半を回る頃。そこからの移動が約3時間。私にとっては、見慣れた町並みだが、北海道とは違う町並み。家々が隣接し、高いビルが立ち並ぶ。瓦屋根の家が子どもたちには珍しい。しかし、長時間の移動で、段々とそれも珍しさを失う。子どもたちの「あとどれくらいで着く?」コールを聞き飽きるほど聞きながら、移動する。

「太平洋が見てみたい。海はどっちの方向なの?」

私たち住む場所から近い海といえば、日本海。

「太平洋ってどんな感じ?」

海に行く度に尋ねられる。

子どもたちは、太平洋と富士山を眺めるのを楽しみにしていた。姉が住んでいる土地は、私たちも長男が2歳になるまで住んでいた土地で、海沿いの温暖な地域だ。天気が良ければ通勤通学の途中で富士山を眺めることができる。

目的地に到着した頃には、すっかり日が暮れていた。

姉が車で迎えに来てくるまで、ちょっとお茶でもして一息つこうと、駅の傍のカフェに入った。時間帯もあるだろうし、駅近のこともあって、混雑している。4人で座れる席は空いておらず、2人ずつに分かれて座る。無事に此処まで辿り着いたが、店内の混雑した空気が私を安心から遠ざける。

海沿いの道を走ってくれたが、暗闇の中の海を眺めることになった。それでも、海が近くにある暮らしの香りが子どもたちをワクワクさせるようだった。

姉の家の近くの浜に立ち寄ると、子どもたちは、真っ暗な浜辺を走り回り、
「海だ!」と歓声を上げる。長い移動の疲れも何処かへ行ってしまったかのようなはしゃぎぶりに、自然の力の大きさを感じる。

暗闇の中でも波が行き来し、遠くに対岸の灯りが見える。
人混みの中で感じた所在無さが、波の音と塩の香りで少し薄らいだ気がした。

暗闇の中で揺れる波が美しい。


タイトルは、藤井風くんの「花」から。
今回の旅で、この曲が私の中に深く入り込んで来ました。
この曲に何度も心を救われた気がします。
旅の記録は、もう少し続きます。
お付き合いいただければ、嬉しいです。

ヘッダーはみんなのフォトギャラリー・バナナとリンゴ Banana & Applesさんの画像をお借りしました♪ありがとうございます♪

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