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学校に行かないという選択。「続々・僕はきっと旅に出る。」

急に、長男がひとり旅に出ることになった。その経緯はこちら。

アーティストのSさんから、「大分のトレッキングツアーに参加出来ないのは、残念ですが、沖縄に来ませんか。」とのメールをいただいた。

これまた急展開だ。

先日のトークイベントで、長男と顔を合わせ、話をしたところ、「面白いお子さんですね。受け答えもしっかりしているので、年齢を聞いたら、小学生6年生と聞いて驚きました。」と書かれていいた。
「どうやって育てたらこのように育つのか、聞いてみたいです。」とも。

いやいや、育ててないです。勝手に育ってます。とても偉そうに育っています・・・。

〈外では、ちゃんと受け答えとかしているんだな、家では横柄な態度だけど。〉

親は外での彼の様子を知らない。あたりまえだけど、それが「大きくなること」なのだ。そんなことを思いながら、その日の夕方に電話でお話しさせていただくことになった。

アーティストのSさんと私は、当然、面識がないので、「はじめまして」から始まる電話。なんとなく不思議である。そして、トークイベントでの長男の様子を話してくださった。

夜のイベントに、子どもがいるな、と思って聞いたら、6年生だというし、どうやってきたの?と聞いたら、ひとりでバスと地下鉄と歩きできたと言う。数時間にわたる、特に子ども向けでもない話に静かに耳を傾け、最後には、鹿汁を美味しそうに食べ、自分でおかわりもしていた、とのこと。

勝手におかわりまで・・・スミマセン。

最後に、「鹿汁のレシピを教えてください。」と質問したらしい。

それは本人からも聞いていた。「鹿汁がとっても美味しかったから、レシピ聞いたんだよね。そしたら、〈まず、二十歳になって、狩猟免許を取るところから〉って言われて、そこからか?!って思った。」と笑っていた。

「彼と話したのは、15分もないと思います。」とSさん。

それなのに、「沖縄に来ませんか」と言ってくださったのだ。「大分のイベントでは、夜が遅いこともあるし、私も、気を使うので、沖縄にきてもらったほうが、もっと濃密に過ごせると思ったので。海にも山にも行けると思います。家の庭にテント張って寝泊まりしてもいいかなと。沖縄なら、大分と違って直行便もあるので、来やすいですよね?空港まで迎えにもいけますので。」

至れり尽くせりである。

親の方が、「直行便ないから、前後泊したらいいんじゃない?」だの、「乗り換え、大丈夫でしょ?」「ご飯は、スーパーとかでも買えると思うよ。あとは、空港で食べられる所あるでしょ。」「チェックインまで好きに過ごしてね~!」だのと、大海原に放り出しまくっている。

Sさんには、小学生4年生の娘さんがいるそうで、その娘さんにも奥様にも、きっとよい刺激になるのではと思ってくださったようだった。

「面識のない子どもがいきなり訪れたら、奥様がおどろかれるのではないですか?」と伺ったら、「うちは、変わった家族なので」と笑っていた。

・・・大丈夫です。うちも変わった家族ですので。

その後、学校に行かない選択をしている経緯などについて聞かれたりしたので、簡単にその経緯や、日々、どのように過ごしているのかなどをお伝えした。博物館や動物園、科学館に通っては、そこの係員の方や関係者の方のお世話になっていること。自分の興味のあることを専門家に教えていただけることが、何より楽しいようだと。

「きっと、みんな、教えたくなるんでしょうね。」とSさん。「大分のツアーのパンフレットも、皆さんに配ったわけではないんです。日程も迫っていいるから、興味のある人はどうぞって置いておいただけだったんです。だから、自分でパンフレットを持っていってたんだ、と驚きました。」とのことだった。

きっと、長男は、Sさんのお話を聞いて興味を持ったのだろう。

持ち物や、健康面のことなどをお話しし、日程もその場で決定した。
Sさんのお仕事の合間で、時間が取れる時ということで、数週間後に沖縄に発つことになった。

「まずは、最初なので、2泊3日くらいにしましょうか。それで、お互いの様子がわかればいいですよね。楽しみにしています。」

その様に予定を決めさせていただき、電話を切った。

ありがたい、以外に言葉がみつからない。一度しか会ったことがなく、話したのは15分にも満たない。それなのに、沖縄の自宅へ招いてくれるというのだ。逆の立場であれば、初対面の子どもを、さらにその親には会ったこともない状況で受けれられるだろうか。

その後、「ひとり旅いいですね!」と言ってくださったゲストハウスのキャンセルをしなくてはならないと、連絡をした。ツアーに参加できなくなったこと、それによって、宿泊をキャンセルしなくてはならなくなったことをお伝えした。そして、今回、長男をひとりで泊めていただくことを快諾してくださったことへの感謝を伝えた。

ゲストハウスのオーナーご夫婦が快諾してくれなければ、もっと早い時点で大分行きを諦めなくてはならなかったと思う。

今回は伺えませんが、次は家族でお世話になりたいと思いますと伝えた。

すると、オーナーさんは、

「今回はツアー参加できず残念でした。息子さんも多分がっかりしているだろうと思います。若い感受性の強い時代にいろいろ経験することは、その後の人生に大いに役立つはずです。歳をとると感動も、エネルギーもだんだんと弱くなってくるのが普通なので、やなぎださんのように息子さんのチャレンジを後押しする親は素晴らしいと思います。息子さんにとってもありがたい存在だと思います。頑張ってください、息子さんもお母さんも。」

と連絡をくださった。

このメールを読んで、胸にこみ上げてくるものがあった。一度も会ったことも話したこともない方が、ここまで思ってくださることに。

さらに、追伸が届いた。

「息子さんにとって素晴らしい母親のようですね。息子さんからリスペクトされているのではないでしょうか。〈素晴らしい〉の一言です。」

ありがたいお言葉だが、長男は母を特にリスペクトしていないと思う。「仕方ないなぁ」とか「やれやれ・・・まったく」と思っているだろう。

何より、自分自身が、子どもたちにとって、「素晴らしい母と思われたい」とか、「リスペクトされたい」と思ったことはないし、これから思うこともないだろう。私は、私にできることをしているだけ。「おじいさんは、山へ柴刈りに、おばあさんは、川へ洗濯に」と、同じなのだ。

だから、そんな風に言っていただけるのは、不思議でちょっとくすぐったい。でも、何かに迷い、ちょっと立ち止まった時、このメールを見返す気がする。

学校に行かない選択をした我が家の子どもたちは、人のご縁に助けられて、暮らしている。私も夫も、人のご縁に支えられて暮らしている。

いつだって偉そうな長男12歳。
口笛を吹きながら、まだ少し先の沖縄行の荷物を鞄に詰めている。

彼は、13回目の誕生日を沖縄で迎えることになる。



長男の沖縄行きは、数週間後です。
また、続々の続きも記録として記せたらいいなと思っています。
「自分も12歳でそんな旅がしてみたかった。」そんな気持ちも思い出しました。そして、今回の出来事を通じて、人のつながりは、面倒であることもたくさんあるけれど、それ以上に助けれ、支えられることもあることを再認識し、ありがたい、ありがたすぎる・・・と連日呟いている次第です。

会ったことがなくても、どこかでつながっているのが、「ひと」なのかもしれません。世界のどこでくらしていても、つながっているのだと思います。
会ったこともないひとが、ささやかな喜びを感じることを、同じ「ひと」によって奪われることがないことを願います。
それを願いながら、いつもと変わらない日々を、目の前のことを見据えて、
ひとつずつやっていこうと思います。

noteの皆様にも、直接お会いしたことは、ないわけですが、皆様の記事に励まされ、癒やされ、元気をいただいております。そのご縁に感謝して。

長くなりましたが、読んでいただいて、ありがとうございました。

「僕はきっと旅に出る。」

私たちの旅は、まだまだ続きます。













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