武田ひか

短歌 | ワサビが食べられません

武田ひか

短歌 | ワサビが食べられません

マガジン

  • 歌集 文

    短歌の本について書いた文章。感想文であったり、評であったりします。歌集のほうもぜひ手に取ってください。

  • 三十万放浪日記

    6月末で会社をやめて、フリーランスになりました。放浪しつつメディアの仕事をがんばって、一年後にまた大きく場所を変える予定です。それまで日記をつけることにしました。残金等も記録してます。もっとお金貯めとけばよかったー!

  • 短歌 作品

    つくった短歌の一部です、ときたま思い出したように更新します よかったら感想おしえてね!

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    囁き記

    短歌。日記。 160首を収録。歌人の石村まい、武田ひかのふたりが作品を寄せた歌集です。 抄: 石村まい 冷やされた空気となまぬるい空気もみあっている自動改札 前世の贖罪として噤まれる嘴の白たたかわぬ白 武田ひか 前夜祭抜けてしまえば狂うまであかるい永遠の盆踊り 朝の光も夜の光も一対の硝子の奥の眼におとずれる 目次: ・運転免許証 ・鳥の水無月 ・鴨鍋 ・ひとなつを乞う ・本土 ・ハイヒール ・扉 ・あかるい三時 ・トング ・四月 ・八月と九月の日記 ・点灯 ・踏み出した ・十月の日記 ・長めのあとがき
    1,100円
    武田ひか
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    銃と桃売場

    短歌の本です。 140首を収録。「保存する」ことについて考えました。 抄: 武田ひか 信じよう生命線を 噴水の前に座ればときおり届く 竜胆の花どうしてもくりかえしひらくナショナルジオグラフィック 篠原治哉 川と海の怖さを並べて話すときその越境に足りない銀貨 東京にいれば勝つしか方法がない 跳ねっ返りの20代 目次: 金継ぎ/武田ひか ⅱ/篠原治哉 pigment@vietnam /篠原治哉 不動産投資/武田ひか ビジブル/篠原治哉 撒き散らしながら/武田ひか ⅲ、あるいはⅰ /篠原治哉 【保存する】完全版(+5首)/武田ひか 【保存する】BF(+5首)/篠原治哉 あとがき
    1,000円
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    囁き記

    短歌。日記。 160首を収録。歌人の石村まい、武田ひかのふたりが作品を寄せた歌集です。 抄: 石村まい 冷やされた空気となまぬるい空気もみあっている自動改札 前世の贖罪として噤まれる嘴の白たたかわぬ白 武田ひか 前夜祭抜けてしまえば狂うまであかるい永遠の盆踊り 朝の光も夜の光も一対の硝子の奥の眼におとずれる 目次: ・運転免許証 ・鳥の水無月 ・鴨鍋 ・ひとなつを乞う ・本土 ・ハイヒール ・扉 ・あかるい三時 ・トング ・四月 ・八月と九月の日記 ・点灯 ・踏み出した ・十月の日記 ・長めのあとがき
    1,100円
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    銃と桃売場

    短歌の本です。 140首を収録。「保存する」ことについて考えました。 抄: 武田ひか 信じよう生命線を 噴水の前に座ればときおり届く 竜胆の花どうしてもくりかえしひらくナショナルジオグラフィック 篠原治哉 川と海の怖さを並べて話すときその越境に足りない銀貨 東京にいれば勝つしか方法がない 跳ねっ返りの20代 目次: 金継ぎ/武田ひか ⅱ/篠原治哉 pigment@vietnam /篠原治哉 不動産投資/武田ひか ビジブル/篠原治哉 撒き散らしながら/武田ひか ⅲ、あるいはⅰ /篠原治哉 【保存する】完全版(+5首)/武田ひか 【保存する】BF(+5首)/篠原治哉 あとがき
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    硝子回覧板

    『硝子回覧板』 2022年11月20日発行。 津中堪太朗・武田ひかの短歌122首を収録。 新書版70ページ。 ■ 津中堪太朗 カーブミラーはここから見えない位置にある誘いに来てくれてありがとう 共用の洗濯機使い終わるまで音の聞こえるところに座る 工程が次第に進んでいく感じここから先はしばらく強火 玄関で用事は終わる 遠雷は遠いので触れることができない 月光が遮られる時のスピード指の形だけは鮮やかで 知り合いの家に荷物を届けたら見えるところに置かれた薬 すれ違うように降り出す雨ばかりあるので駅は人で混み合う 武田ひか 現象という現象が迫りくる泥酔はそこまで来ています 遠さへと眼の焦点が合ってゆく釦をはめるようだと思う ブラジルに無口な人はおるんかな クラブで踊る男女の光 アンコールひらひらとあり喝采が花になったら現れるだろう 火刑すらねじ伏せる眼だ掴み取るようにあなたも空を見上げて 貌のない獣が唸る森の中 言葉を連ね続けなければ 硝子瓶叩き割る手を叩き割る手を見つめればかがやきのさなか ■ 武田ひか 長崎県出身。 岡山大学短歌会所属。 津中堪太朗 二〇〇一年生まれ。 岡山大学短歌会所属。
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ヨミアウ、公式オープン 【読む人・詠む人のためのコミュニティ】

なぜ作ったのか短歌をやっていてひとつ気になっていたのは、感想の数が他のジャンルに比べて少ない(ように見える)こと。「もっと感想が生まれやすい場所があれば、素敵で、みんなハッピーなのに……」という考えからヨミアウを作りました! 千原こはぎさんの発行されている『うたそら』にエッセイにこんなことを書きました。感想の生まれる場所を増やしたい。ぼくは、感想を書くことそのものも創作の一部であるということを信じています。そして感想が生まれることと、作品が生まれることは両輪。感想が届くこと

    • 宦官のもういない世に

      6月10日。 東京都美術館『デ・キリコ展』をみに行く。印象に残ったのは、人間的なものを削ぎ落とすように描かれたマネキン。繰り返し描かれた顔や体を、幾何学的な形に置き換え、肉体をなくしていく。 展覧会の壁にキリコの特徴に紐づけて「古代性」という言葉が印字してあった。絵画のなかにある身体=古代性を剥ぎ取ろうとしていた、ということだろう。古代性を持つもの。例えばそのひとつに人間の身体を置ける、としてみる。キリコにおいては、顔や裸婦とマネキンの対比がわかりやすい。 ところで(とこ

      • 三十万円放浪日記 その3

        ◯ 7/13 (土)笹井宏之賞(短歌新人賞)の作品をつくる。 シュークリームを食べようと思ったが、同居人のおなかの調子が悪く、一緒に食べる予定だったので、明日にすることに。 ◯ 7/14 (日)くちどけクッキーシューを朝ごはんに。三日間断食した後に食べる牛丼くらいの美味しさがあり、血糖値が跳ね上がる。 お昼くらいに海外の教授にメールをはじめて送る。「Ph.Dのポストを探しているんですが、すごくあなたの研究に興味があります。もし可能ならそこで研究させていただけませんか? 

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        • 三十万円放浪日記 その2

          ◯ 7/6夜の上野公園は恋人たちが座るための場所。京都鴨川と同じくらい恋人がきちんと並ぶ場所である。スケボー少年とネズミたち(上野公園にはネズミがたくさん生きている)があいだをすり抜けていく。弾き語りの「かみつきたい」を聴きながら、噴水のそばで酔い冷ましに小一時間座っていた。 今日は歌会だった。東京都北区には北とぴあという大きな建物が建っている。なかには大きな会議室があって、そこに11人が集まり、短歌のことについて話した。打ち上げ会場の居酒屋で、85歳の孤独について話した。

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        ヨミアウ、公式オープン 【読む人・詠む人のためのコミュニティ】

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        • 歌集 文
          16本
        • 三十万放浪日記
          3本
        • 短歌 作品
          18本
        • 三日坊主日記
          15本
        • 大学一年生のわたしへ
          9本
        • #みんなの2000字
          35本

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          三十万円放浪日記 その1

          ◯ 6/29ぼんやりしていたら、いつのまにかフリーランスになってしまった。1年後に次の場所に行く。それまでの日々を記録することにする。日記タイトルは貯金額から。 退職後一日目の朝は汗だくだった。送別会の帰路にポカリを買って、ソファーで目覚める。退職のお祝いに同期にもらったチョコレートを冷蔵庫に入れて、シャワーを浴びて、二度寝をする(四時間)。12時頃になか卯ではいからうどんを食べた。麺があまりにも細い。その後立ち寄った眼鏡店の店員の接客が気に障る。「オシャレ感度高め」「クリ

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          三十万円放浪日記 その1

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          風見鶏

          就職をし、引っ越しをし、労働をしながらかつて住んでいた場所に思いを馳せる。『weathercocks』の後書きには「Ⅰ部は京都での学生時代から就職で岐阜・小牧に住んでいた頃、Ⅱ部は三重で建設機械の整備をしながら働いていた頃、Ⅲ部は首都圏に引っ越してからの頃をそれぞれ描いている」とある。『weathercocks』は、廣野翔一のこれまでの生活が詰まっている歌集だ。 177ページから始まる、歌集終盤の連作「花を吐く」が歌集中で最も良いと感じた。なぜなのか。この文章は、私がなぜ「

          陽射し 【短歌五首連作】

          誰も彼も高校球児経てしまうような陽射しの神宮球場 めろめろのオープンハウスの広告が東大生に染み込んでゆく 前世からようやく呼ばれる名前だね追わねばならぬ白球ひとつ 顔面を野球にぴったり貼り付けるための根源的努力あり 増えてゆく明治大生だった人 守るしかない七回しずか

          陽射し 【短歌五首連作】

          三日と、三回

          朝起きて、日記を忘れていたことに気づく。三日坊主日記を二日坊主するというズボラの極限。しかもとりわけ忙しかったかとか、バタバタしていたとかそういうわけではなくて、眠かったので早めに寝てしまっただけであった。つまり単に忘れていた。 油そばについて。2023年に食べすぎた反省から、今年は年間で六回までにすると決めている。昨日、三回目を食べた。四月半ばに三回目。一年が12ヶ月あることを鑑みると、ペースとしてはよくない。早すぎる三回目である。二回目は四月の頭に食べて、そこまではかな

          三日と、三回

          室内と、家の音

          リモートワークだったので一日中家の中にいた。最近は腰がまずくなってきている気がして、休憩の時にちょくちょくストレッチをする。東京ではあんまり定住をしていないので、家具を買うのがためらわれ、スタンディングデスクを購入できていない。次、一年以上のスパンで長く住むことになったら買おうと思う。その前にサブスクを試してもいいかもしれない。お昼ご飯はキウイと素麺。 引っ越しに伴って一生懸命に積読を解消している。今日は大口玲子の『自由』という本を開いた。<晩夏の阿修羅像きみは正面をわれは

          室内と、家の音

          引っ越しと、豆腐ハンバーグ

          東京に引っ越してから三回目の引っ越しをする。しっかりとした家に住み始めるまでの間、一ヶ月、友達の家に居候させてもらう運びになった。お米がたくさんあるのでそれを手土産に許してもらいたいと思っている。実家は兼業農家なのでお米がたくさんある。 引っ越しのために自分のぶんの食料を片付けてから出なければならない。冷蔵庫のなかには、一週間前に豆腐ハンバーグをつくるために買った豆腐があり、それを使い切りたいのだが手がつけられていない。 あと13日くらいで出なければならないので、豆腐ハン

          引っ越しと、豆腐ハンバーグ

          運命について思いはじめる

          ある日仕送りで瓶詰めの梅干しが届いた。1リットルくらいの瓶に詰められた梅干し。梅干しを食べる習慣がなかったので、しばらくそれを台所の炊飯器の横に置いていた時期がある。ざっと三年くらいの時間が経って、瓶は埃をかぶっていた。 大学に三年通った秋のころ、ご飯に乗せてみようとふと思い立って蓋を開けてご飯に乗せる。口に運んで、舌の上に広がったのは「森の味」だった。森の味ご飯。森の味、森の匂いというのは、落ち葉の匂いであった。昔住んでいた家の近くに、ノコギリクワガタがたくさん取れる林が

          運命について思いはじめる

          リベラルは間違ってるんだと思う

          日々のほとんどを覚えていられない。思い出せるのは、心に溜まったわずかな砂で、それはその人自身とよくつながっている。思い出すときにひとは良い文章を書く。 『ねむらない樹』という短歌の雑誌があって、丸山るいさんと、toron*さんの二人の先輩がテーマ「わたしの短歌入門」で作品を寄稿していたので、ジュンク堂書店で手に取った。良かった。竹中優子さんの文章も良い。読みきったところで冒頭の気持ちが出てきた。 ところでわたしは雑誌のいい読者ではなくて、雑誌を頭から最後までを通して読んだ

          リベラルは間違ってるんだと思う

          とめどないエンドロールに拍手をおくる - 2020年と『ナムタル』の声

          II新型コロナウイルスが広がり始めた頃、私は大学生として岡山県に暮らしていた。卒業論文のための実験を残すのみだったので、当時新しい試みとして開かれたオンライン授業をほとんど受けずに済んだのだった。 昼の三時に風呂に入った。飲み会や外食が激減した。何もかもがまともにできるような状態ではなかったので、卵焼きをほそぼそと作った。普段はうっかり外食してしまうのだが、この年の4月の食費は25,000円を切り、ささやかに嬉しかったことを思い出す。 短歌を読み始めたばかりで、その頃はた

          とめどないエンドロールに拍手をおくる - 2020年と『ナムタル』の声

          大恋愛記 【短歌五首連作】

          すりきれるまで響かせよ恋と薔薇 大きく腕はふりまわしなさい 聴かせたい、麒麟のような眼をしてたきみが知らない真夏の曲を 風が耳を千切ってしまった幕開けのわたしときみの大恋愛記 青春が夏風に乗り駆けぬけて映画を一日四本観たい 心臓にひかり伝ってゆくような恋だと思うあなたに会えば

          大恋愛記 【短歌五首連作】

          なにひとつぶち壊せずに四十年……

          前に『崖にて』の文章を書いたのだが、そこに書けなかった大好きな歌があったのだった。 お好み焼きは協力プレー。お好み焼きのことを思う時、そこにはいつも友達がいる。部活帰りに一緒だった友達とお好み焼き屋さんに行った。ホットプレートを使って焼いた。家ではそんなに作らないから、みんなひっくり返すのが上手くない。ちょっとした緊張と意外とうまくひっくり返せた時の喜びは、年をとるごとにぼんやりしていく友達の顔と一緒に、お好み焼きの上で光を放っている。 北山あさひの作品には、ごはんがたく

          なにひとつぶち壊せずに四十年……

          デキャンタ 【短歌五首連作】

          年末年始の空気がいちばん好きだ。このままずっとみんなが浮かれ歩いて、どの店にも琴の音楽が流れていればいいと思う。今年も食べたことのないものを食べて、会ったことのない人に会い、知らない場所をたくさん訪れたい。 お正月の短歌連作を書きました。 ■ 十二支の吐く息みちてたれさがる桃の赤味のやや強くなる ひたむきにきらめき志向やもんなあデキャンタひとつおねがいします 鳥は花の蜜を飲むのよたましいの発育にいいと知っているから 遊牧をいまだ続ける人々が青いベンチのカラオケ映像

          デキャンタ 【短歌五首連作】