武田ひか

短歌 | ワサビが食べられません

武田ひか

短歌 | ワサビが食べられません

マガジン

  • 三日坊主日記

    気まぐれに三日間だけ更新して、やめる。というサイクルを繰り返す日記です。

  • 歌集 文

    短歌の本について書いた文章。感想文であったり、評であったりします。歌集のほうもぜひ手に取ってください。

  • 短歌 作品

    つくった短歌の一部です、ときたま思い出したように更新します よかったら感想おしえてね!

ストア

  • 商品の画像

    囁き記

    短歌。日記。 160首を収録。歌人の石村まい、武田ひかのふたりが作品を寄せた歌集です。 抄: 石村まい 冷やされた空気となまぬるい空気もみあっている自動改札 前世の贖罪として噤まれる嘴の白たたかわぬ白 武田ひか 前夜祭抜けてしまえば狂うまであかるい永遠の盆踊り 朝の光も夜の光も一対の硝子の奥の眼におとずれる 目次: ・運転免許証 ・鳥の水無月 ・鴨鍋 ・ひとなつを乞う ・本土 ・ハイヒール ・扉 ・あかるい三時 ・トング ・四月 ・八月と九月の日記 ・点灯 ・踏み出した ・十月の日記 ・長めのあとがき
    1,100円
    武田ひか
  • 商品の画像

    銃と桃売場

    短歌の本です。 140首を収録。「保存する」ことについて考えました。 抄: 武田ひか 信じよう生命線を 噴水の前に座ればときおり届く 竜胆の花どうしてもくりかえしひらくナショナルジオグラフィック 篠原治哉 川と海の怖さを並べて話すときその越境に足りない銀貨 東京にいれば勝つしか方法がない 跳ねっ返りの20代 目次: 金継ぎ/武田ひか ⅱ/篠原治哉 pigment@vietnam /篠原治哉 不動産投資/武田ひか ビジブル/篠原治哉 撒き散らしながら/武田ひか ⅲ、あるいはⅰ /篠原治哉 【保存する】完全版(+5首)/武田ひか 【保存する】BF(+5首)/篠原治哉 あとがき
    1,000円
    武田ひか

記事一覧

固定された記事

ヨミアウ、公式オープン 【読む人・詠む人のためのコミュニティ】

なぜ作ったのか短歌をやっていてひとつ気になっていたのは、感想の数が他のジャンルに比べて少ない(ように見える)こと。「もっと感想が生まれやすい場所があれば、素敵で…

武田ひか
1年前
62

三日と、三回

朝起きて、日記を忘れていたことに気づく。三日坊主日記を二日坊主するというズボラの極限。しかもとりわけ忙しかったかとか、バタバタしていたとかそういうわけではなくて…

武田ひか
6日前
14

室内と、家の音

リモートワークだったので一日中家の中にいた。最近は腰がまずくなってきている気がして、休憩の時にちょくちょくストレッチをする。東京ではあんまり定住をしていないので…

武田ひか
7日前
16

引っ越しと、豆腐ハンバーグ

東京に引っ越してから三回目の引っ越しをする。しっかりとした家に住み始めるまでの間、一ヶ月、友達の家に居候させてもらう運びになった。お米がたくさんあるのでそれを手…

武田ひか
8日前
20

運命について思いはじめる

ある日仕送りで瓶詰めの梅干しが届いた。1リットルくらいの瓶に詰められた梅干し。梅干しを食べる習慣がなかったので、しばらくそれを台所の炊飯器の横に置いていた時期が…

武田ひか
10日前
21

リベラルは間違ってるんだと思う

日々のほとんどを覚えていられない。思い出せるのは、心に溜まったわずかな砂で、それはその人自身とよくつながっている。思い出すときにひとは良い文章を書く。 『ねむら…

武田ひか
1か月前
39

とめどないエンドロールに拍手をおくる - 2020年と『ナムタル』の声

II新型コロナウイルスが広がり始めた頃、私は大学生として岡山県に暮らしていた。卒業論文のための実験を残すのみだったので、当時新しい試みとして開かれたオンライン授業…

武田ひか
2か月前
19

大恋愛記 【短歌五首連作】

すりきれるまで響かせよ恋と薔薇 大きく腕はふりまわしなさい 聴かせたい、麒麟のような眼をしてたきみが知らない真夏の曲を 風が耳を千切ってしまった幕開けのわたしと…

武田ひか
3か月前
15

なにひとつぶち壊せずに四十年……

前に『崖にて』の文章を書いたのだが、そこに書けなかった大好きな歌があったのだった。 お好み焼きは協力プレー。お好み焼きのことを思う時、そこにはいつも友達がいる。…

武田ひか
3か月前
41

デキャンタ 【短歌五首連作】

年末年始の空気がいちばん好きだ。このままずっとみんなが浮かれ歩いて、どの店にも琴の音楽が流れていればいいと思う。今年も食べたことのないものを食べて、会ったことの…

武田ひか
3か月前
17

油そば 【短歌五首連作】

油そば輝きなさい灼熱の中国四千年を背負って 誰だろう待っているのはどうしようみんなが労働してなかったら 油そばの話を続け三年目 春日亭もまあ戦えてるよ  あの夏…

武田ひか
4か月前
20

ミートソースと、最終巻

三日間だけの日記で3日連続ミートソースの話をしてしまい恐縮だと思いつつ、日記に恐縮もなにもないと思うのでミートソースの話をする。ミートソースって素晴らしい。冷凍…

武田ひか
4か月前
16

失敗と、作り置き

退勤しようとしたときに、エグいミスが発覚して死にかけた。死にかけたのだが、先輩が機転を利かせて助けてくれて助かった。助かっていなかった場合、関係各所に土下座這い…

武田ひか
4か月前
15

ドトールと、最低気温

Wi-Fiがあって、それでいて良心的な価格なので、ドトールはありがたい珈琲屋さんである。最近は学生のときほどケーキを食べなくなった、が、しかし、今日は発作的にモンブ…

武田ひか
5か月前
16

『囁き記』試し読み

『囁き記』とは、武田ひか・石村まいがふたりで作った本の名前です。 私が東京に引っ越してきた四月、石村さんは神奈川での二年間の労働を終えて兵庫県に移住する準備をし…

武田ひか
5か月前
15

千年 【短歌二十首連作】

めずらしく寿司を手で食うひとといていまどきめずらしいなと思う 桟橋は弱った人をひきよせる銀のぬめりをひけらかしつつ カーペットのない部屋に住む友人の家で地べたが…

武田ひか
5か月前
11
ヨミアウ、公式オープン 【読む人・詠む人のためのコミュニティ】

ヨミアウ、公式オープン 【読む人・詠む人のためのコミュニティ】

なぜ作ったのか短歌をやっていてひとつ気になっていたのは、感想の数が他のジャンルに比べて少ない(ように見える)こと。「もっと感想が生まれやすい場所があれば、素敵で、みんなハッピーなのに……」という考えからヨミアウを作りました!

千原こはぎさんの発行されている『うたそら』にエッセイにこんなことを書きました。感想の生まれる場所を増やしたい。ぼくは、感想を書くことそのものも創作の一部であるということを信

もっとみる
三日と、三回

三日と、三回

朝起きて、日記を忘れていたことに気づく。三日坊主日記を二日坊主するというズボラの極限。しかもとりわけ忙しかったかとか、バタバタしていたとかそういうわけではなくて、眠かったので早めに寝てしまっただけであった。つまり単に忘れていた。

油そばについて。2023年に食べすぎた反省から、今年は年間で六回までにすると決めている。昨日、三回目を食べた。四月半ばに三回目。一年が12ヶ月あることを鑑みると、ペース

もっとみる
室内と、家の音

室内と、家の音

リモートワークだったので一日中家の中にいた。最近は腰がまずくなってきている気がして、休憩の時にちょくちょくストレッチをする。東京ではあんまり定住をしていないので、家具を買うのがためらわれ、スタンディングデスクを購入できていない。次、一年以上のスパンで長く住むことになったら買おうと思う。その前にサブスクを試してもいいかもしれない。お昼ご飯はキウイと素麺。

引っ越しに伴って一生懸命に積読を解消してい

もっとみる
引っ越しと、豆腐ハンバーグ

引っ越しと、豆腐ハンバーグ

東京に引っ越してから三回目の引っ越しをする。しっかりとした家に住み始めるまでの間、一ヶ月、友達の家に居候させてもらう運びになった。お米がたくさんあるのでそれを手土産に許してもらいたいと思っている。実家は兼業農家なのでお米がたくさんある。

引っ越しのために自分のぶんの食料を片付けてから出なければならない。冷蔵庫のなかには、一週間前に豆腐ハンバーグをつくるために買った豆腐があり、それを使い切りたいの

もっとみる
運命について思いはじめる

運命について思いはじめる

ある日仕送りで瓶詰めの梅干しが届いた。1リットルくらいの瓶に詰められた梅干し。梅干しを食べる習慣がなかったので、しばらくそれを台所の炊飯器の横に置いていた時期がある。ざっと三年くらいの時間が経って、瓶は埃をかぶっていた。

大学に三年通った秋のころ、ご飯に乗せてみようとふと思い立って蓋を開けてご飯に乗せる。口に運んで、舌の上に広がったのは「森の味」だった。森の味ご飯。森の味、森の匂いというのは、落

もっとみる
リベラルは間違ってるんだと思う

リベラルは間違ってるんだと思う

日々のほとんどを覚えていられない。思い出せるのは、心に溜まったわずかな砂で、それはその人自身とよくつながっている。思い出すときにひとは良い文章を書く。

『ねむらない樹』という短歌の雑誌があって、丸山るいさんと、toron*さんの二人の先輩がテーマ「わたしの短歌入門」で作品を寄稿していたので、ジュンク堂書店で手に取った。良かった。竹中優子さんの文章も良い。読みきったところで冒頭の気持ちが出てきた。

もっとみる
とめどないエンドロールに拍手をおくる - 2020年と『ナムタル』の声

とめどないエンドロールに拍手をおくる - 2020年と『ナムタル』の声

II新型コロナウイルスが広がり始めた頃、私は大学生として岡山県に暮らしていた。卒業論文のための実験を残すのみだったので、当時新しい試みとして開かれたオンライン授業をほとんど受けずに済んだのだった。

昼の三時に風呂に入った。飲み会や外食が激減した。何もかもがまともにできるような状態ではなかったので、卵焼きをほそぼそと作った。普段はうっかり外食してしまうのだが、この年の4月の食費は25,000円を切

もっとみる
大恋愛記 【短歌五首連作】

大恋愛記 【短歌五首連作】

すりきれるまで響かせよ恋と薔薇 大きく腕はふりまわしなさい

聴かせたい、麒麟のような眼をしてたきみが知らない真夏の曲を

風が耳を千切ってしまった幕開けのわたしときみの大恋愛記

青春が夏風に乗り駆けぬけて映画を一日四本観たい

心臓にひかり伝ってゆくような恋だと思うあなたに会えば

なにひとつぶち壊せずに四十年……

なにひとつぶち壊せずに四十年……

前に『崖にて』の文章を書いたのだが、そこに書けなかった大好きな歌があったのだった。

お好み焼きは協力プレー。お好み焼きのことを思う時、そこにはいつも友達がいる。部活帰りに一緒だった友達とお好み焼き屋さんに行った。ホットプレートを使って焼いた。家ではそんなに作らないから、みんなひっくり返すのが上手くない。ちょっとした緊張と意外とうまくひっくり返せた時の喜びは、年をとるごとにぼんやりしていく友達の顔

もっとみる
デキャンタ 【短歌五首連作】

デキャンタ 【短歌五首連作】

年末年始の空気がいちばん好きだ。このままずっとみんなが浮かれ歩いて、どの店にも琴の音楽が流れていればいいと思う。今年も食べたことのないものを食べて、会ったことのない人に会い、知らない場所をたくさん訪れたい。

お正月の短歌連作を書きました。



十二支の吐く息みちてたれさがる桃の赤味のやや強くなる

ひたむきにきらめき志向やもんなあデキャンタひとつおねがいします

鳥は花の蜜を飲むのよたましい

もっとみる
油そば 【短歌五首連作】

油そば 【短歌五首連作】

油そば輝きなさい灼熱の中国四千年を背負って

誰だろう待っているのはどうしようみんなが労働してなかったら

油そばの話を続け三年目 春日亭もまあ戦えてるよ 

あの夏のまじえげつねー引き笑いひびかせながら歩き続ける

熱狂の油そばバトルいけます、自分やれます魅せてあげます

ミートソースと、最終巻

ミートソースと、最終巻

三日間だけの日記で3日連続ミートソースの話をしてしまい恐縮だと思いつつ、日記に恐縮もなにもないと思うのでミートソースの話をする。ミートソースって素晴らしい。冷凍できるのがすばらしく、第二にアレンジ性の高さがありがたい。今日はピザトーストを食べる。作り方も簡単で、そんなに外すこともない。

同居人の映像クリエイターもミートソースをつくるのが好きで、昨日の夜に大鍋いっぱいのミートソースをこしらえていた

もっとみる
失敗と、作り置き

失敗と、作り置き

退勤しようとしたときに、エグいミスが発覚して死にかけた。死にかけたのだが、先輩が機転を利かせて助けてくれて助かった。助かっていなかった場合、関係各所に土下座這い回り地獄であった。ただ、油断はできない。まだ死ぬ可能性はうっすらとある。

作り置きがあるのはこういうときにありがたい。打たれ弱いほうなのであらゆる失敗に食らってしまう。明らかに自炊できる体力がないときに、過去の自分がつくってくれたミートソ

もっとみる
ドトールと、最低気温

ドトールと、最低気温

Wi-Fiがあって、それでいて良心的な価格なので、ドトールはありがたい珈琲屋さんである。最近は学生のときほどケーキを食べなくなった、が、しかし、今日は発作的にモンブランを注文して食べた。クリームがおいしい。

ドトールでは土岐友浩さんの『ナムタル』という本の感想文を書いていた。ずっとねりねりと書いているのだが行き詰ってしまっている。大方の形は出来上がっているのだが、今日もそれを推敲していた。紙に出

もっとみる
『囁き記』試し読み

『囁き記』試し読み

『囁き記』とは、武田ひか・石村まいがふたりで作った本の名前です。

私が東京に引っ越してきた四月、石村さんは神奈川での二年間の労働を終えて兵庫県に移住する準備をしていました。そういった誰にでもあるような新生活の、けれども私たちのごく個人的で、紛れもなく唯一無二の会話や時間がこの本の形をとりました。二人あわせて短歌が160首、異なる場所での生活の記録としての日記も載せています。

短歌を抜粋して試し

もっとみる
千年 【短歌二十首連作】

千年 【短歌二十首連作】

めずらしく寿司を手で食うひとといていまどきめずらしいなと思う

桟橋は弱った人をひきよせる銀のぬめりをひけらかしつつ

カーペットのない部屋に住む友人の家で地べたが硬すぎること

アルコール濃度は赤くたかまって指は揺れれば革命家めく

のろのろときみは膝から立ち上がり別れの言葉に廊下がのびる

引き分けねらいで訪れている ほら、ご覧 歯医者も花の世話をわすれる

ハンバーグ寿司でも食べにいきましょ

もっとみる