すみれ

読むこと、書くことが好きな社会人2年生。 大切な想いを忘れないように。のんびり紡いでい…

すみれ

読むこと、書くことが好きな社会人2年生。 大切な想いを忘れないように。のんびり紡いでいます。 活動中🐿 ▷ベリショーズ ▷Twitter @sumire_risumire

マガジン

  • あなたとわたしの日々、

    誰かと誰かの大切な日々を。紡いでいます。登場人物たちにはモデルがいて、私の大切な人たちです。 そんなみんなが、紡ぐ日々と。その日々を支えてくれる音楽と共に、読んでいただけたら嬉しいです。

  • 真夜中と、独りごと。

  • シネマ06

    “シネマ06”。ここは、映画館?いや…。「大切な人を“主人公”に」そんな思いで、身近な人たちをモデルにした物語を紡いでいます。あなたも、“シネマ06”で不思議で、なんだかあたたかい…そんな体験をしてみませんか? どうか、あなたにとって素敵な夜になりますように。

最近の記事

  • 固定された記事

貴方と。日々を綴る、書き手でいたい。

 「貴方と。日々を綴る、書き手でいたい。」  そう思ったのは、いつだっただろうか。“貴方”が作ってくれたチーズいっぱいのホットサンドを、ふたり頬張った日だったかもしれない。“貴方”と、思わせぶりに振り回されるMVに、ふたりため息をついたあの夜だったかも。「すみれがしたいことをしなさい」と“貴方”が背中を押してくれたあの日かもしれない。大好きな“貴方”と創り上げた物語が、“貴方”の目に留まったときかも。それとも…。  初めて、小説を書いたのは中学生の時。数学の時間、ぼーっと窓

    • 午後8時のオーブンのなか、

       「クッキーを焼こう」  ふと思い立ったのは、午後8時。  トコトコと台所に向かい、手をきちんと洗う。洗いたてのふんわりとしたタオルで手を拭いて、小さく「よし」と呟く。  薄力粉が120g欲しい。シンク下の棚をごそごそと漁る。これでもない、あれでもないと、しなくてはいけないのは、恋人が色んな小麦粉をコレクションしているからだ。恋人は、ラーメンやパスタを麺から作る。加水率が何%だの、ひとりで楽しそうに何時間もかけて作る。ラーメンのときは、鍋に色んな材料を放り込んでコトコトと煮

      • 時を編む、

         「おじゃまします」  「すう、いらっしゃい〜」  今日は、編み物をするために紬さんのお家に。  「どうする?何を編む?」  そう尋ねられ、  「まんまるのコースターがいいです」  と答えることができ安堵。  私はよく声が詰まる。初めて、二度目まして問わず、緊張を感じると苦しくなる。でも、紬さんと話すときは不思議と大丈夫。喉が渇いて苦しくなることもないし、自分の声がちゃんと届いてる感じがする。きっとそれは、紬さんが私の目をしっかりと見つめて、微かな声でさえひとつひとつ丁寧に拾

        • ちょっとだけご褒美

           ピンポーン。  無機質な音が来客を告げて、涙目で覗いたドアアイ。小さな窓の外、抱き締めてほしい黒髪が揺れた。  開いたドアからひょこっと顔を出して、私を見つめて。  「百合、焼きそば食べよ」  ニカっと笑う彼ー健斗ーを見て、涙がボロボロと溢れる。「大丈夫、大丈夫」って私の頭を撫でる健斗。ゆっくりと安堵が胸の奥底に着地して、やっと言えた。  「なんで…焼きそば?」  キッチンに立って、健斗は焼きそばを作り始めた。  キャベツを千切りにしていく。トントントンって音が心地よく

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        貴方と。日々を綴る、書き手でいたい。

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        • あなたとわたしの日々、
          5本
        • 真夜中と、独りごと。
          2本
        • シネマ06
          8本

        記事

          落花生を茹でながら、

           あのね、今日あなたがいない間に落花生を茹でたの。隣のおばさんがね、落花生が採れたからってボウルいっぱいにくれたの。最初ね、小さいザルを持っていったら「そんな小さいのじゃ入らないよ、もっと大きいのにしておいで」って笑われちゃった。だから今度はさっきよりも大きめなボウルを用意してね。そしたら、おばさんが「山盛りにしちゃうね」っていっぱいくれてね!ボウルから落ちちゃうくらいだったのよ。  茹でて食べるってことだけ知ってたの。でもよくわからないから「Hey,Siri 落花生の茹で方

          落花生を茹でながら、

          金木犀の花言葉

           金木犀の匂いをすーっと抱き締めたとき、小学校の校庭がぼんやりと。思えば、学校は大嫌いで、教師なんかもっと大嫌いで。なのに私は学校の先生になった。きっかけになった先生の背中を思い出して、くすり。理科室に吹き抜ける朝の風とニカッとする先生を思い出す。そういえば、あの人も理科の先生だ…先生との共通点を見つけて金木犀がまたゆらり。  金木犀の匂いを身体いっぱいに取り込んだ私は、ぼーっと空を眺める。南のほうを見ていたくて、方位磁針で南を探してみたりする。なぜ南?今度ははっきりと、ぎ

          金木犀の花言葉

          出会ってくれて、

           午前九時。雨音が窓の外から聞こえてきて、傘がないことに気づいた。それを「ま、いっか」のひとことで片付け、瞼に蜜柑色のアイシャドウを纏わせる。少しの間、街で暮らすことになった。はじめての街暮らし。人の多さや聳えるビルに、毎日ドキドキさせられる。少しでも見たことのある街並みにしたくて、今私は、冒険に出かける支度をしている。  午前十時。アスファルトには、ほんのりと湿り気が残っている。もう雨はどこかへ行ったようで、「傘はいらないよ」と囁かれた気がした。  耳元の“花占い”が、私

          出会ってくれて、

          戯れ。

           “戯れ”。  国語のことを勉強だと思うことなく。言葉たちとの“戯れ”だと、ずっとそう思って歩いて来れたのは紛れもなく母のおかげだと感じる私を、湿度80%の風が追い抜いて行きました。肌に張り付くじめっとした質感も、言葉にしてしまえば、案外カラッとするもので。紙の上では、再現度も、載せる想いの量も…全て私に託されているのだと改めて感じます。託されているかと言っても、なんでも思い通りになるわけではないのが、書くことの面白さで。言葉たちに試されているように感じることが多いのが現状で

          戯れ。

          大好きなみんなへ。

           大好きなみんなへ。  「なんだがお日さんぼやっとして来たな」と宮沢賢治の声が聞こえてきそうな十六時半。洗濯物をクローゼットにしまおうとしたその刹那。視線は、大切にしているみんなからの手紙の方へ。遠く離れていても、書き記された言の葉たちはみんなの声をそれはそれは丁寧に届けてくれます。この瞬間が私はとても好きで、だからこそ言葉と戯れ続ける道を歩いているのだと思います。…みんなへの想いが溢れて仕方ないので今日は、のんびりとみんなへの想いを綴っていきます。  私はとても元気に楽しく

          大好きなみんなへ。

          シネマ06 素直な心

           意味もなく進むのは、久しぶりだ。  鋭さを感じる風。透き通る空。  パラパラと、脳内の古語辞典が捲られる。  「冴ゆ」  左に行こうか。右に行こうか。いや、真っ直ぐか。  はらり。今度は、国語辞典の出番。  「…揺蕩う」  夜を歩くと、言葉たちの囁きが聴こえてくる。  言葉たちは、風や草木など色んなものの影に隠れている。「見つけてよ」と手を振るもの。「ここだよ」と、か細い声を震わせるもの。五感を研ぎ澄ませて歩けば、ほらまた…。  「見つけた。今度は、霜の声」  玉響。

          シネマ06 素直な心

          シネマ06 あなたを想って

           「やばい、もう五十分!」  「大丈夫でしょ。まだ十分もあるし…」  「それね、大丈夫。大丈夫〜」  「もー、ふたりとも。のんびりしてないで!」  いつの間にか、ポストに投函されていた、褐色の封筒を手に、雨上がりの街を行く。水溜りに映るもうひとつ街に、小さく「せーのっ」。水溜りとつま先が触れ合って。揺れ動いた世界に、月が顔を覗かせる。視線は、空へ。今度はちゃんと。月と目線を合わせて「こんばんは」。のんびりと風に体を預ける雲。あっ。あの雲。なんだか竜みたい。きっと、あの子が喜

          シネマ06 あなたを想って

          シネマ06 感じるままに

           「どんな足枷があったとしても。私たちなら……」  水溜りに映る月を見ていた。色なき風が通り過ぎて、月が揺れ動く。  時計の針は、駆け足で進む。二十三時五十分。ちょっと、散歩にでも、そう思って出てきて、もう一時間。……そろそろ、帰ろうかな。と、もう少しだけ、がぶつかり合う。あっ、私。こんなことでも、迷ってる。ここのところ、迷ってばかりだ…。  思い返す。ちゃんと、目標だってあった。やりたいこともあった。だから、今日まで日々を描いてきた。なのに、どうしてだろう。急に迫ってくる

          シネマ06 感じるままに

          シネマ06 夢の途中

           「おーい、すみれ。こっち、こっち!」  ずっと、ずっと遠く。道の向こうで、私を呼ぶ声がする。私は、その声を知っている。あたたかくて、懐かしいその声を。  路地裏を行く。まん丸や楕円。色んな形の水溜りたちが、道に装飾を施している。…やっぱり、あのスカートを買おうと、買うか迷っていた水玉模様のスカートをお迎えするために、立ち止まる。ほしい物リスト、カート、と進んで…決済へ。思い立ったら即行動なのが私のポリシー。  見上げると、澄んだ夜空と目が合い、自然と口遊んでしまった「銀の

          シネマ06 夢の途中

          シネマ06 素敵な笑顔

           「あ~、楽しかった~」  「ほんと、ほんと。笑いすぎてお腹痛い」  “八月会”。そう名付けたのは、どちらだっただろう。八月十七日生まれの私と、八月二十日生まれの葉月。八月になると、なんとなく集まって互いの誕生日を祝う。名前の由来は覚えていない。  ふたりで歩く二十三時五十分の街並みは、高校生の頃よりも大人になったことを教えてくれているみたいだ。服装も、髪型も。あの頃はしていなかったメイクも…私たちが大人になったことを感じさせるけれど。こんな時間にふたりで雨上がりの街を歩いて

          シネマ06 素敵な笑顔

          シネマ06 祝福

           「一緒に行きたいところがあるんだ」  「え、もう零時過ぎてるのに?」  雨上がりの街を歩く。肩が触れ合うたびに、ほのかに溶け合うホワイトリリー。隣の君は、「ねえ、どこに行くの?」と首を傾げている。その顔。その顔は、ズルい。真っ白な君の頬には、“ワクワク”とはっきりと書かれている。そして、君の目は、水溜りに映る月の光のように、“キラキラ”と輝いている。  「ねえ、ねえ…」  不意に、ジャケットの裾が引かれ、君との距離が近づく。  「ねえ!琉飛!あの雲、こないだ見た雲みたい!

          シネマ06 祝福

          シネマ06 永遠の感謝

           いつの間にかポストに投函されていた、褐色の封筒。開けてみる。すると、そこには“招待状”?  日時:2021年8月〇〇日 午前零時  場所:〇〇六丁目〇‐〇‐〇〇  宛名もない。ただ、日時と場所だけが書かれている。だけど、差出人は明らかで。隠したいのか、そうじゃないのか。どっちなんだ。……ん?もう一枚、紙が入っている。映画のチケット?  午前零時、路地裏。  こんな時間に呼び出して…。一体、何を考えているんだか。えーっと?この辺のはずだけど。あっ。映画館。ここか。看板の

          シネマ06 永遠の感謝