大石 菫

大学卒業後、鉄道会社に入社して6年目となりました。そんな鉄道員の日常を小出しにしていく…

大石 菫

大学卒業後、鉄道会社に入社して6年目となりました。そんな鉄道員の日常を小出しにしていくつもりです(でした) 鉄道会社に入りたいと考えてる人がいれば私の生活を少し覗いて参考にしてくだされば幸いです。

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お客さまの人生をお運びする

電車の運転士という職に就き 1人でハンドルを握ってから半年が経ちました。 免許取得のため研修を共にした仲間の中には既に違う業種へチャレンジしていった方もいます。 子供たちにとっては憧れの職でも、鉄道会社の中の運転士とはそういった側面もあるのです。 さて、ついこの間の出来事でした。 2022年4月3日は日曜日 この日は始発特急列車の担当 顔を洗い、重い瞼に喝を入れながら出区点検にとりかかる 異常もなく車掌に出区点検終了の連絡を入れると 「よろしくお願いします!

    • 『グスコーブドリの伝記』を読んで

      鶴と亀が合わせて9匹います。足の数は合わせて26本です。鶴と亀はそれぞれ何匹いますか? 私はこれを自力で解けるまで3ヶ月かかった。 中学入試対策のため小学5年生の春から塾に通い始めた私は、普通の小学生が全く触れないようなことまで勉強することとなり、初めにぶつかった壁が鶴亀算だったのだ。 数学を知っている人なら、こんな問題はいとも簡単に解けるだろう。しかし未知数を使った計算を許されない小学生たちは、これを算数の分野で解かなければいけないのだ。 塾は水曜と土曜にあったので月

      • 電車の乗り方講座

        あなたは鉄道を使って移動したことがあるだろうか? 日本人にとって移動手段の中でも鉄道は非常に身近であり、利用頻度も高い。通勤・通学で毎日使う人もいれば、旅行で利用する人もいるだろう。 私も鉄道員になる前から旅行ではもっぱら鉄道を使い日本各地に赴いた。切符を買って目的地へ向かう列車に乗り込む。或いは遠くへ行く場合は乗り換えも必要だろう。しかし車のように免許も要らず、飛行機のように予約システムが煩雑でもない。誰でも簡単に乗れる乗り物だ。 しかし昨今、駅to駅の移動でもさまざま

        • 梅雨の花

          紫陽花は雨の日に見るのが最も美しい。 今年の梅雨は平年よりも早く訪れた。梅雨の晴れ間が長く続き、このまま夏になれば紫陽花たちも役目を終える。しかし洗濯物を干す日を選ばなくて良い日はいつまでも続くわけではなかった。 「明日から2週間くらい雨の予報ですよ」 「途中で連続雨量が止まれば徐行もないだろうけど」 「晴れ間が2日くらいあればいいですけどね」 電車の乗務員はいつも天気の話をしている。 「天気の良い日は仕事なんかせずにドライブにでも行きたいよ〜」 「仕事中雨降られると制

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        お客さまの人生をお運びする

          いい大人は趣味を持ちなさい

          いきなりの命令口調に心からの謝罪を申し上げます。 しかし趣味を持つというとことは大事なことで、学生の頃から興味のあった趣味を続ける人もいたり、社会人になってお金を使えるようになってできる趣味もあるだろう。 そもそも私がいう趣味の定義は2つ ・1人でやることに億劫にならないもの ・技術向上を必要とするもの である。 例えば「趣味はなんですか?」という質問に対して「キャンプをすることです」と答えた人がいるとする。ただその人のキャンプというものが4〜5人で酒を飲みながらコテー

          いい大人は趣味を持ちなさい

          人生の満足感は如何にして手に入れるべきか

          人生における自分に残された時間があとどれくらいあるのか考えたことはありますか? これは辛気臭く寂しい話でもなく人間にはいつか死が訪れることは誰もが理解していることで、また人生100年だとは言いつつも己のやりたいことや欲望を叶え達成感を味わえる期間というのは思ったよりも短い気がすると20代後半になった私は頭の片隅にあるわけです。 というのも18歳の時祖母を失い人間の死というものを目の当たりにした時に自分がどのような状態でこの世から去るべきかと考えさせられ、やりたかったことを

          人生の満足感は如何にして手に入れるべきか

          社会的職責の重さとコミュニケーション

          同僚が足の骨を折った。 それを知ったのは本人の口からではなく指導から聞かされた。 その同僚はただの同僚ではない。一昨年の運転士研修で出会い3ヶ月同じ飯を食べ、そして同じ配属先で数ヶ月の見習いを経て同じ日に運転士になった3人の仲間の1人のはずだった。 その同僚は私ともう1人の同期よりも1つだけ歳も入社も下で中々職場に馴染むこともできていなかった。 それは社会経験の差から出るものだとばかり思っていた。 しかしその予測は違ったようだ。 我々の仕事は鉄道の運転士。 運転士

          社会的職責の重さとコミュニケーション

          あなたは人生の岐路に立たされた時、自分と向き合うことができますか?

          「やっと最後の科目か…」 3ヶ月間の運転士研修最終日。 4日間にも及ぶ筆記試験も残すところ1科目 「始め」 試験官の号令がかかる。 苦楽を共にした仲間との最後の戦い。 1科目でも点数が足りなければ不合格。 2度と運転士になるチャンスはない。 私たちは緊張した手で鉛筆を握った 「大きくなったら電車の運転士さんになりたい!」 電車が好きな私は、気づいた時にはそんな夢を持っていた。 大学入学の際、実家を出て一人暮らしを始めたが、2時間以内には家に帰ることができる距離だった。

          あなたは人生の岐路に立たされた時、自分と向き合うことができますか?

          職場内コミュニケーションの重要性を感じた日

          「すみません…こんなつもりじゃなかったんですけど…」 また泣いてしまった。 昨年運転士となり、この職場で泣いたのは初めてだった。 「この」がつくということは前の職場でも泣いたのかと問われることになるが無論泣いたことがある。 そもそも私は涙脆い性格で感動、同情、後悔、怒り、歓喜など様々な感情を涙で表現する。 というか勝手に身体が涙で表現してしまうので本人としては困っている。 時は3日前まで遡る。 8月某日、その日の私の勤務は午後出勤で目覚まし時計も出勤の2時間前、12

          職場内コミュニケーションの重要性を感じた日

          安全とは

          少し堅い話がしたい。 今回話の内容は少々堅いが気持ちが入り込んで文章が荒ぶっている点は許容してもらいたい。 安全とは一体何か。 まず安全という単語は広辞苑には 「安らかで危険のないこと」 「平穏無事」 「物事が損傷したり、危害を受けたりする恐れがない」 とある。 「日本の鉄道は安全だ」という文言をよく聞くが、果たして辞書通りの役目を果たしているだろうか。 現代では2005年に発生したJR福知山線脱線事故が未だに記憶に新しいが、鉄道の安全は常に事故との戦いだった。 あ

          安全とは

          自己肯定感の無さ

          自分に自信がない 私は自分でもイヤになるほど、自己肯定感が低い。 だから同じことを何度も確認するし、自分がやった仕事についても何となく不安を感じてしまう。 SNSへの書き込みもそうだ。日頃SNSに投稿する頻度が他人よりも高いのは自分が生きている証を残すため。「今日こんなことがあったよ」「今日こんな感情になったよ」というのを日記代わりに残している。いいねがつけば尚他人に自分が生きていることを認められた気がする。SNSによる承認欲求解消は自分にとっての頓服薬なのかもしれない

          自己肯定感の無さ

          メッセージの答え合わせ

          あなたは「名松線」という名の路線を知っているだろうか。当初あの松阪牛で有名な松阪と大阪のベッドタウンの名張を結ぶ計画のあったJRの路線である。しかし計画はうまく行かず終点は途中の伊勢奥津となっている。そんな物語豊富な路線なのだが、2009年の台風18号によってまた物語が増えたのである。 もちろんいい物語ではない。台風18号の影響で路線の40箇所に問題が出た。万年赤字でもうJR東海からは見捨てられているような路線である。すぐに廃線の声が流れた。鉄道ファンの私も半ば諦めていた。

          メッセージの答え合わせ

          祖母へ

          祖母が亡くなったのは私が18歳の時 ちょうど国公立大学入試の後期日程の直前だった 亡くなったのは老衰 つまり大病などではなく、彼女は静かに寿命を全うした 私の祖母は重度の認知症で、私が高校に上がる頃には私の顔と名前も、ましてや孫の存在すら認識できていなかった。 老人ホームを転々とし、時には他県の施設まで移動していたが、面会にはよく行っていた。しかし、私の名前すら呼んでくれなかった。 当時、認知症やアルツハイマーといった症状について世間の認識は厳しく、ただの老人のボケ

          電車の運転士さんになりたい!

          自己紹介を、 大学を卒業し鉄道の運転士になりたく鉄道会社に入社して早3年。駅員を経て今は車掌をしております。 流行り病のおかげで今年はボーナスも少なく、この先の生活さえ不安になる年末を迎えようとしています。 今回noteを投稿しはじめたのは、12月中旬から始まる動力車操縦者(いわゆる鉄道の運転士)になるための研修に向けて色々と思うこともあるだろうと、その自己顕示欲を放出したく書き出しました。 そもそも小さい頃から鉄道が好きだった私はいつのまにか鉄道の運転士になることを

          電車の運転士さんになりたい!