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図書館らしくない図書館、紫波町図書館の話

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岩手県・紫波町にある図書館のお話。
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絵はんこ作家が、図書館館長になった。

絵はんこ作家が、図書館館長になった。

あまのさくやです。

実は令和6年10月1日付で、紫波町図書館の館長に着任しました。

図書館の館長。
館長。

・・・・・・・・・。

えっ、

館長!?!?!?

 いやいや、私もともと、絵はんこ作家だったんですよ。
 東京の雑司ヶ谷手創り市の一角で、片膝立ててはんこ彫っていたのが、2011年の私です。

絵はんこ作家からはじまった

 新卒で入社した会社を、2年半で退職した2010年。その後

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「巽聖歌」というひと ー新美南吉のために

「巽聖歌」というひと ー新美南吉のために

地域の偉人というのは、「町民性」を表す顔だな、と思う。
ふるさとや郷土を知るには、その土地の偉人の人柄から学ぶと、奥行きが出る。

紫波町の名誉町民を知る、今回は「巽聖歌」編です。

一度は口ずさんだことがあるでしょうか。
この童謡の歌詩を書いた方の名前は、巽聖歌(たつみせいか)。
岩手県紫波町で生まれ、
晩年は東京の日野市で過ごした紫波町の名誉町民です。

巽聖歌は自分の文学の才能を信じ大正・昭

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「チョウノスキー」という植物採集家のはなし

「チョウノスキー」という植物採集家のはなし

朝の身支度をしながら薄目で見ていた朝ドラ「らんまん」。

今日は、学歴のない牧野富太郎(モデル)が、自分の名前で研究を発表するのではなく、教授の助手にならないかと打診されるシーンでした。

要潤扮する教授は、牧野を説得するため、ある人を引き合いに出しました。

「マキシモヴィッチがなぜあんなにも日本の植物を手に入れられたと思う?助手がいたからだよ。彼の手足となって植物を採集していたのが、長之助とい

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図書館のない町に図書館ができてから、10年。

図書館のない町に図書館ができてから、10年。

岩手県にある紫波町図書館(しわちょうとしょかん)が2022年8月31日、ヤサイの日をもって10周年を迎えた。

2012年8月31日に紫波町で開館した図書館。
この図書館で感じる魅力についてはこちらの記事に書きました。

紫波町図書館の質の高い企画展については、以前こちらの記事でも、獣害対策をテーマにした展示について書きました。

町の人が必要としている情報を、司書さんたちが自ら訪ねてとりにいく。

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”館内整理日”という大事なメンテナンスの日ー紫波町図書館

”館内整理日”という大事なメンテナンスの日ー紫波町図書館

紫波町図書館には今、クマがいる。

岩手県・紫波町には、図書館らしくない図書館がある、と以前書きました。

2021年秋の紫波町図書館では、鳥獣害対策についてのコーナーを展開していました。

農業従事者にとっては頭を抱える問題であり、町中で目撃情報も増えている"鳥獣害”は本当に身近に迫る問題。"図書館で鳥獣害対策を取り上げる”と聞くと、一見とっつきにくい印象を与えてしまうもの。

そんなわけで、紫

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「紫波町図書館」という、図書館らしくない図書館のはなし

「紫波町図書館」という、図書館らしくない図書館のはなし

「図書館=本を借りられる場所」のみとするならば、岩手県にある紫波町図書館は、私が今まで出会ってきた図書館というもののイメージをくつがえしてくれる存在だ。

だからそんな敬意を込めて、紫波町図書館は「図書館らしくない」とあえて書かせていただこう。
そんな大好きな図書館のおはなし。

紫波町図書館に一歩足を踏み入れると、ふわっと暖かい感じがした。
なんでだろう。「こんにちはー」と、目が合ったスタッフさ

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