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PMBOK第7版の「価値」とは? 意味や重要性について

今回は、PMBOK第7版の「価値」について解説する記事になります。

PMBOK第7版には、「プロジェクトの究極の成功指標は、”価値”である」という記載があります。そして「価値に焦点を当てる」という事柄が、プロジェクトマネジメントの12原則に組み込まれています。

これは、PMBOK6からの大きな変更点であり、今後のプロジェクトマネジメントを考えるうえでの重要なポイントになります。

この「価値」というのは、どのような意味でしょうか。意味合いや重要性について解説します。

価値の定義と重要性

ミーティング

PMBOK第7版では、「価値」を以下のように説明しています。

・価値は、あるものの値打ち、重要性、または有用性。ステークホルダーはそれぞれ、異なる方法で価値を認識する。 -P.5

・価値は、顧客やエンド・ユーザーの視点からの成果を含め、究極の成功指標でありプロジェクトの推進要素である。 -P.34
・価値は、プロジェクトを通して、プロジェクトの最後に、 またはプロジェクト完了後に実現できる。 -P.34

要約すると、価値はプロジェクトの成果(中間成果物を含む成果物の成果)が、ステークホルダーのベネフィットに貢献することで、ステークホルダーが享受できるものになります。

注意点としては、価値の捉え方は、ステークホルダーによって異なるということです(顧客における価値や社内スポンサーにおける価値など)。


たとえば、プロジェクト目標であるQCDをすべて満たし、要求事項通りのシステムを納品した場合、

社内スポンサーからすると、プロジェクト自体は全く問題なく、利益も出ているので価値を見いだせると思います。おそらくプロジェクトは成功と評価されるでしょう。

納品先の顧客はどうでしょうか。

もし、納品されたものを上手く利用できていなかったとしたら、高いお金を払って使えないシステムを購入したことになります。

これでは価値を見いだせません。プロジェクトとしては失敗です。

このように、プロジェクト目標や要求事項をすべて満たしたとしても、最終的にステークホルダーのベネフィットに貢献していないのであれば、プロジェクトは失敗です。

これが価値の考え方であり、「究極の成功指標」が意図している部分かと思います。

価値実現システム

では、どのように価値を提供し、実現するかという点が気になるかと思います。

PMBOK第7版では、価値を実現する仕組みとして「価値実現システム」というものが紹介されています。

大きくは以下です。

1.価値実現の構成要素と情報の流れ
2.ガバナンス
3.職務
4.プロジェクトの環境

1は、ポートフォリオ、プログラム、定常業務などの価値提供コンポーネントとそれぞれの組み合わせやプロセスについてです。

2は、活動の指針となる機能やプロセスを備えたフレームワークを提供するシステムについてです。

3は、効果的かつ効率的に実行するために必要な職務についてです。

4は、プロジェクトの内部・外部環境についてです。

上記を考慮し、バランスを取りながら価値を提供するシステム(土台)を構築しましょうという内容になります。

価値の最大化

プロジェクトの成功指標が「価値」になるため、自ずとプロジェクトやチームは、価値を最大化することが求められます。

たとえば、最終的な価値実現を見据えたサービスや作業項目を増やしたり(教育支援やヘルプサイトの構築など)、素早い価値提供のためにアジャイルの適用、MVP検証のためにリーンスタートアップの適用など様々です。

つまり、従来のやり方を柔軟に変えながら(適応しながら)、価値を最大化していくことがプロジェクトマネジメントに重要です。

PMBOK第7版の「価値」のまとめ

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「価値」は、プロジェクトの究極の成功指標です。

プロジェクトの成果(中間成果物を含む成果物の成果)が、ステークホルダーのベネフィットに貢献することで、享受できるものが「価値」になります。

ステークホルダーによって、価値の捉え方は異なりますが、価値を見いだせないのであれば、プロジェクトは失敗です。

プロジェクトやチームは、価値を最大化することが求められます。

従来は、顧客の要求事項を満たし、QCDを守ることがプロジェクトの成功だったように思います。そのために、SOWや品質担保を重視してきた歴史があると思います。

しかし、今後は「価値」を実現できたかどうかが最終指標になります。

いかにステークホルダーの声をアウトプットにフィードバックするかが重要になります。必要に応じてSOWの記載や品質担保の方法を変えることも必要でしょう。

価値に焦点を当てて、従来のやり方を柔軟に変えながら(適応しながら)、価値を最大化していくことが今のプロジェクトマネジメントに求められているように思います。

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