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開発アプローチとは? 種類や選び方について

今回は、PMBOKの第7版に登場する開発アプローチについて解説した記事です。

プロジェクトを始める際、開発アプローチを意識していますでしょうか。不適切な開発アプローチを選んでしまうと、プロジェクトの成功率を下げてしまいかねません。

今回は、各開発アプローチの特徴と選ぶ際のポイントについて解説します。

開発アプローチとは

開発アプローチとは、プロジェクト期間中にプロダクト、サービスまたは所産を創り、発展させる方法です。

開発アプローチそのものは、PMBOK第6版から登場しますが、プロジェクトの進め方の種類として紹介されている程度です。

PMBOK第7版ではプロジェクトに応じて開発アプローチを選択することがプロジェクトマネジメントをするうえで重要だと捉えられています。

このようなことからPMBOK第7版では、パフォーマンスドメインの3つ目に定義されています。

1. ステークホルダー パフォーマンスドメイン
 (Stakeholder Performance Domain)
2. チーム  パフォーマンスドメイン
 (Team Performance Domain)
3. 開発アプローチとライフサイクル パフォーマンスドメイン
  (Development Approach and Life Cycle Performance Domain)
4. 計画   パフォーマンスドメイン
 (Planning Performance Domain)
5. プロジェクト作業 パフォーマンスドメイン
 (Project Work Performance Domain)
6. デリバリー パフォーマンスドメイン
 (Delivery Performance Domain)
7. 測定 パフォーマンスドメイン
 (Measurement Performance Domain)
8. 不確かさ パフォーマンスドメイン
 (Uncertainty Performance Domain)

PMBOK® Guide 7th Edition

開発アプローチは、いくつかの種類があります。

・予測型(いわゆるウォーターフォール)
・漸進型
・反復型
・適応型(いわゆるアジャイル)
・ハイブリッド型

PMBOK® Guide 7th Edition

それぞれのアプローチの関係性は図のようになります。

PMBOK第7版_開発アプローチの関係性
引用:2.3.3 DEVELOPMENT APPROACHES by PMIStandards+(PMBOK® Guide 7th Edition)

予測型と適応型は、相対する関係になります。予測型から徐々に漸進型と反復型の割合が増えるにつれて適応型になります。適応型になるまでの間は、ハイブリッド型ということです。

それぞれのアプローチについて解説していきたいと思います。

予測型とは(Predictive)

予測型とは、当初に計画の大部分を立案し、当初計画に従って進めるアプローチです。(なので、いわゆるウォーターフォールです)

以下のような場合に向いています。
プロジェクトの開始時に要求事項を定義、収集、分析できる場合
 (スコープ、スケジュール、コスト、リソース、リスクを定義できるとき)
規模が大きく、リスクが高いプロジェクトの場合
 (頻繁なレビュー、変更管理の仕組み、フェーズ間の再計画等が必要な場合)

漸進型とは(Incremental)

漸進型とは、複数のイテレーションを通じて段階的に成果物を生成するアプローチです。段階的に進めますので最終イテレーション後にならないと完了にならない点がポイントです。

漸進型は、要求事項との整合性を段階的に確認する場合に向いています。

例えば下図のように最初から具体的な完成形のイメージがある場合、完成形のイメージからズレていかないよう段階的に作成し、フィードバックをもらいながら進めていくことで要求事項との整合性を担保します。

PMBOK第7版_漸進型アプローチ
引用:2.3.3 DEVELOPMENT APPROACHES PMIStandards+(PMBOK® Guide 7th Edition)

反復型とは(Iterative)

反復型とは、イテレーションごとに成果物を独立して完結させるアプローチです。前回の成果物を修正し、新たな成果物を生成することも含みます。

イテレーションを用いるという点では、漸進型と同じです。

異なる部分は、イテレーションごとに完結するか否かという点です。漸進型の場合は、最終イテレーションにならないと完結しませんが、反復型はイテレーションごとに完結します。

先生と学生のレポートのやり取りをイメージするとわかりやすいかもしれません。レポートは先生に受理されるまで跳ね返されますが、提出するレポート自体は毎回独立して完結しています。

反復型は、要求事項を明確にする場合(複数の選択肢を試す場合)に向いています。たとえば、クライアントが何を求めているのか漠然としている場合に、何度も提示し、明確にしていくイメージです。

PMBOK第7版_反復型アプローチ
引用:2.3.3 DEVELOPMENT APPROACHES PMIStandards+(PMBOK® Guide 7th Edition)

適応型とは(Adaptive)

適応型とは、反復型と漸進型を合わせたアプローチです。いわゆるアジャイルになります。

反復型と漸進型のバランスは、状況に応じて調整することになりますが、一般的なアジャイルというと反復型と漸進型を以下のように半々で進めることになります

・イテレーション1で独立した機能をリリース(反復型)
・イテレーション2で前回機能に対して修正してリリース(反復型)
 もしくは、機能を追加してリリース(漸進型)

適応型は、要求事項の不確かさと変動性が高い場合に向いています。つまり、そもそも完成形のイメージがない場合、もしくは完成形のイメージがあるとしても変わってしまう場合ですね。

市場の変化や顧客要求が不確かなことが多い今の時代に適しているのかもしれません。

(補足)リーンとは

詳しい方からの「リーンもあるだろ」というツッコミが入るかと思い、補足します。

PMBOK第7版ではあまり触れられていませんが、リーンは、適応型のアプローチに分類されます。ただし、イテレーションを用いず、フローベースのアプローチになります。

もとはトヨタ生産方式などからきており、待ち時間などのムダを抑え、効率およびスループットの最適化を図る場合のアプローチになります。そのため、定常業務などにも適用でき、イテレーションのような固定期間は使いません。

このリーンの考え方をベースにリーン・スタートアップという派生させたアプローチがあります。これは、市場への早期投入および仮説検証を行う場合に用います。

下図のように構築-計測-学習のサイクルを早くまわすことで実証します。

リーン・スタートアップ
構築-計測-学習のサイクル

リーン・スタートアップ自体は、割と前からあるようですが、市場の変化が早い時代にマッチして最近はよく耳にするようになりました。

開発アプローチのまとめ

開発アプローチのまとめ表

今回ご紹介した4つのアプローチを整理するとこのような表になります。

それぞれをきちんと理解したうえでプロジェクトに適応できるようになりたいですね。

アジャイルとウォーターフォールのどちらを選ぶと良いかという点は、以前記事にしました。よければご覧ください(以下、一番上のリンク)

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