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ブラックバス釣りで学んだ、ビジネスの本質

『賢者は愚者に学び、愚者は賢者に学ばず』

この言葉を初めて聞いた時、今一つピンとこなかった。
しかし、最近おそらくこういうことを言った言葉なのではないかと腹落ちする出来事があったのでひとつご紹介したい。
その日、私はただの釣り人だった。

朝4時。

スマートフォンのアラームが大音量で私を起こしている。
そうか、今日は釣りに行く日だった。
眠い目をこすりながら、いそいそと身支度を整えて釣りに出発する準備を始めた。

私の趣味のひとつに釣りがある。
中学生のころ、野池でブラックバスを釣ったのがすべての始まりだった。

ワーム

当時は魚がなぜこんな疑似餌に食いついてくるのか謎が謎を呼び、その意味不明さに好奇心を掻き立てられてひたすら釣り続けた。
そして今日、私はそのブラックバスを釣りに向かうのだ。

一緒に釣りに行く私の友人は生粋の釣り好きで、私とは次元が異なる。
私も釣りは好きだが、彼の前で釣り好きを公言するのは気が引ける。
そのくらい、釣りに真剣に向き合っている人なのだ。

今日もなぜこんな早く、4時という時間に起こされているのかという理由もそこにある。「4時に出発しなければ間に合わない。日が出る瞬間には釣っていたい。」と言ってきかないため、半ば強引に私はこんな早い時間に無情なアラームにたたき起こされた。

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その日私たちが向かった池は、山の奥深くにある野池だった。
どうやって到着したのかについては正直、記憶にない。
なぜなら、道を走っていないからだ。
車が通っていいかわからないようなけもの道をぐいぐい進み、最後は車での移動は不可能な状況になるため車を乗り捨てて徒歩で草や木をかき分けて山を進む。
本当にこの先に池はあるのか…そんな抑えきれない不安を抱えながら、足をとめずにドンドン奥に進む。

釣りは私の趣味だと冒頭お伝えしたが、今やっているこれは私の趣味に含まれない。
朝4時に起き、約20㎏のボートを担ぎながら、自分の背丈ほどもあろう草をかき分け道なき道を切り開くこのイベントは、もはや釣りでもなんでもない。

インディージョーンズごっこ

とか、そんな名前の遊びに該当する気がする。

不平不満をひたすらぶちまけながら数十分、ようやく池に到着した。
するとそこには、これまで私が見たことのない景色が広がっていた。
これがその写真。

神々しい

…えぇ…待て待て。

なんか神々しいぞ。

トトロが出てきてもおかしくない。

これは明らかに釣れる気がする。
俺でもわかる。
これまでの疲れが吹き飛ぶような不思議な感覚に包まれ、急いでボートに乗り込んで釣りを開始した。

開始一投目。

ゴンッ!!!!!

え!?!?ヒット!?!?
もう釣れるの!?

そこからも連発。
ルアーがどうとか、投げ方がどうとかの話ではない。
とにかく釣れる。
私の記憶が確かなら、人生初のブラックバスを釣り上げるまでにはかなり時間がかかった。ロッドアクションがどうとか、ルアーのカラーがどうとか、色々考えながら釣った記憶がある。
ところが今は、バカみたいに釣れている。
爆釣とはこういうことをいうらしい。

すぐに10匹は釣れた。

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うん、楽しい。
もはや、何をしても釣れる。
リールを巻いても、巻かなくても結局釣れる。
目をつぶって適当に投げても釣れる。
最終的には、あまりにも釣れすぎて面白くなくなるくらいまで釣れた。
写真に撮るのも面倒になったが、最終的には40匹ほど釣っただろうか。
もう、釣れたブラックバスから針を外すことすら面倒になって釣りを終えた。

この釣りを通じて、私はあることに気づいた。
それが、

市場選択の重要性

もちろん、数万円の高性能の釣り竿やリール、様々なルアーを使用し、高等テクニックを駆使しながら釣るのがプロなのだろう。
同じ条件で勝負したら、プロには当然負けるだろう。
しかし、プロには琵琶湖で釣ってもらい、私がこの池で釣り、釣れた魚の数で勝負するのであれば間違いなく勝てる。
私は3000円の竿と、倉庫に長い間眠っていた古いリールで良い。

だって、

この池、めちゃくちゃ魚の数多いし、いくらでも釣れるもん

これが市場選択だ。
「どのようにやれば上手くいくか?」という手段の話は、市場が固定された状況で考えるべきことであり、市場自体を選択していいのであれば、自分が簡単に勝てる市場を探せばいいだけのことである。

それが難しい、という反論はよくわかる

私がこの池に辿り着くまでも、かゆかったし、痛かったし、暑かったし、とにかく疲れた。
しかし、

だからこそ、他には誰もこの池に来ようとする釣り人はいなかった

その結果、爆釣した。

スキルやノウハウについて考えることも重要かもしれない。
しかし、能力を伸ばすことによる成果の上げ幅は、市場選択による成果の上げ幅と比較したら足元にも及ばない。

勝てる市場で、勝てるタイミングで戦いさえすれば、最低合格ラインをクリアしている人であれば誰でも勝てる

そんな学びを得ることができた釣りだった。

『賢者は愚者に学び、愚者は賢者に学ばず』

上手いことを言ったものだ。
どんなことからでも学びはある。
これからも、目の前に映る景色の中から、自分にとっての学びを切り取って学びを深めていきたいと思う。
是非皆さんも、爆釣する池を見つけてみてほしい。




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