見出し画像

2022ファジアーノ岡山にフォーカス38 J2 第42節 vs東京ヴェルディ『 先を見据えて 』

2022 J2 第42節 味の素スタジアム
東京ヴェルディ vs ファジアーノ岡山

 J2リーグの最終戦は、2-0の完敗に終わった。終盤戦の敗戦をどう捉えるかで、この試合の評価も変わってくる。まず断っておくが、岡山は決して“手を抜いていた”訳では無い。モチベーションの部分での違いこそあるが、“戦い方を変更した”上で、全力で戦っている。

 その結果の2-0という結果であって、チーム状況によっては、岡山が勝利できた可能性も充分考えられる。

 試合のテーマは、昇格争いをしているチームであれば、勝ち点3。消化試合(テーマ設定の難しい試合)のチームであれば、一つでも上の順位で来季に繋げるといった感じに、状況や立場によって変わってくる。

 全てのチームが、負けない戦い方をするわけではなく、勝ち点3しか狙わないチームもある。そういったゲームテーマの延長の先に試合結果がある。

 今回のレビューでは、岡山の狙いや収穫(課題)を読み解いていく。

 全文無料公開。スキーやフォローや、購読などをして頂ける記事を目指しています。一人でも多くの方に読んでいただけると嬉しいです。

1、組み合わせ


 まず試合を見ていく中で、多くの方がメンバーから入り、フォーメーションを予想していくことから試合に入っていく。分かり難いかと思うが、実は、3-1-4-2でもなく3-4-2-1でもない形を、この試合では、岡山は採用している。

 9ハン・イグォンと7チアゴ・アウベスの2トップの下に8ステファン・ムークの外国籍トリオを並べる形を今季初めて採用している。23ヨルディ・バイスが、ほぼ出場していたことで、ゲームプラン(90分間)で考えると、こういった選択肢の優先度は低くなりがちであったため、今までは採用してこなかった。

 その3トップに近い前線に対して、4バックと3バックの可変式である3-1-4-2の形の意識を残しつつも、4-3-1-2(中盤がダイヤモンド)の形を採用しているように見えた。3-1-4-2は、岡山の矢(三本の矢)であるサイドの選手の起用の工夫、木山マジックの一つが強力であったことで、両サイドを2人の選手を軸に崩していくというより、選手の武器を最大限活かしていく戦い方を中盤から終盤戦にかけて採用してきた。

 勝ち点3が求められる中で、試し難く、常に100%や120%の実力を引きだそうとすることで、結果を出すことに注力せざる得なかった。早く言えば、岡山が終盤戦に向けて、無理をしていた部分は、否定できない。

 試合であれば、90分間。J2のリーグ戦であれば、42試合でペース配分していくこととなる。長ければ長いほど、そのコントロールは、難しくなる。人間であるので、機械のように正確にできるわけがなく、調子が上下してしまうことやペースを落とすこともある。調子が悪い時やペース配分をしていくことを手を抜いているとは言わない。

 サポーター目線だとそう感じてしまうのは、否定できないが、マラソンをイメージして頂けると、より分かりやすいかもしれない。ゴールしたときのタイムで、最終的な優劣がつけられるように、この試合の敗戦での課題や収穫をサッカーに落とし込み、プレーオフを戦った結果が、どうであったのかという部分で、この結果と内容が、非常に大きな成果に繋がる可能性もある。

 また、この試合に、東京Vが鮮明に勝ちに来行く姿勢を前面に出していたことで、岡山とメンバー的には80%と言われても仕方ないが、テストの意味が強くても、このメンバーは、100%で戦っていて、東京Vの勝利は、当然ながら東京Vが強かったからである。岡山としてまだまだ改善すべき点が、多く出た試合の一つなった。消化試合にありがちな引退する選手や満了になった選手を起用することなく、岡山をリスペクトして戦って下さったことには、感謝の気持ちしかない。

 文面上は、岡山が負けて感謝こそしているが、心情的には、非常に悔しく。勝ちたかった。それは、選手や監督、サポーターのファジアーノ岡山のすべての方も一緒であると思う。ただ、そういった戦い方を選択してでも、岡山としては、この戦い方をする必要があったことを、理解をしていきたいところ。

2、収穫と課題


 まず気になったのは、いつも以上に、連携不足が目立った試合となってしまったこと。意図がずれることや技術的なミスで、ボールロストしてしまうことは、どうしても出やすい競技ではあるが、この試合では、選手が決定機で重なってしまう回数があまりに多く、26本山 遥の失点に繋がるパスミスもあった。

 慣れ親しんだ選手同士であれば、ポジショニングだけでもお互いにやりやすい意思疎通ができるが、まるで開幕当初のようなチグハグさがあった。岡山サポーターであれば、より感じる部分ではあるが、このメンバーを見て、負けそうと言う気持ちが、少なくとも50%を超えることはなく、むしろ、どういった内容や結果になるのかという高揚感を覚えた方が多かったのではないだろうか。

 次に、26本山 遥のサイドでの起用。今までありそうで少なく、1試合か2試合ぐらいかと思うが、プレーオフ前に試せたことで、データと映像で、アナリストの力を借りつつ、プレーオフで採用できるレベルであるかどうか、どうすればより効果的か、修正すべきかなど、行われていくこととなる。

 そして、言うまでもなく大きかったのは、23ヨルディ・バイス、16河野 諒祐、14田中 雄大といった終盤戦で、負担の大きかった選手を休ませることができたことは、心身ともに大きな意味を持つ。また、付け加えると、41徳元 悠平の腕を休ませることができたのも大きい。

 特に41徳元 悠平のロングスローに頼らないことで、チームとしての崩しの幅を少しでも広げることに繋がり、41徳元 悠平が不在でも戦えるという所の有効度を、少しでも高めることができたことも大きい。

 更に、雉プレスをリスクを気にせず思い切ってかけていくことで、雉プレスの感覚の再確認と細部の修整をすることができた試合にもなった。勝ち点3を意識するあまり、プレスが中途半端になった試合や雉プレスと噛み合いの悪いシステムとの対戦が続いてきたことで、影を潜めていたこともあり、2失点こそしてしまったが、多くのシュートを放ち、決定機を作れた通り、手応えの感じた雉プレスとなった。

 中途半端といえば、攻撃だけでなく、後方の守備の部分で、競る競らない、行く行かないの判断が曖昧なシーンも多くみられ、このメンバーで戦えたことで、交代などで選手が変わったときのサッカーの隙を減らせることにも繋がるだろう。

 この試合でも課題であった「決定機でしっかり決める」という部分を休養と修整のできた試合にできるかどうかで、今季の岡山の運命は決まる。

 リーグ戦での10敗と12引き分けの収穫を結果に繋げる戦い(プレーオフ)は、10月30日14時から始まる。準備という部分では既に始まっている。サポーターとして、最後まで応援していきたい。

3、東京Vの強さ


 東京Vが、なぜ終盤に6連勝して一桁順位である9位で追えることができたのか、岡山目線かつ選手という単位ではなく、チーム単位ではあるが、42節の岡山との試合を中心に語っていきたい。

 私の東京Vのイメージは、「伝統の育成王国・中島 翔哉・喜山 康平」の3つのワードがすぐに思い浮かぶ。

 まずは、伝統の育成王国だが、技術を大事にしていた下部組織から育成方針は、多くのスター選手を生み出してきた。東京V出身のJリーガーも多く、中でもJリーグ観戦歴が浅く、10番タイプの選手が好きな私にとって、中島 翔哉は、特別な選手である。世代別代表やA代表での活躍は目覚ましく、1対1の局面からドリブルで、マークを剥がしてからのミドルシュートは彼にしかない魅力であった。現在でこそ、色々あって不遇のシーズンが続いているが、再び活躍する姿が見たい選手である。

 岡山の6喜山 康平も東京Vユース出身である。私が知っているのは、JFLからであるが、6喜山 康平自身が、ホーム最終戦で謝っていたPKを正念場で外したという話。あれは、パネンカ(チップキックで真ん中に蹴るトリックプレーのPK)で、止められたものである。あの場面で、それをやれるのが、東京Vの育成の秘訣であるように感じる。

 中島 翔哉もユース時代に、トップチームの選手にドリブル勝負を仕掛けたことがあったという話を読んだことがある。東京Vのユースは、サッカーにおける自由とサッカーを楽しむという本質の部分を追い求めた一つの成功の形と言える。

 6喜山 康平も加入当初は、FWに強い拘りがあり、ボランチを任されることが多くなったことで、FWをやりたくて、岡山を離れる決断に繋がったという話も聞いたことがある。今でこそ、J1昇格のために、チームのためにというキャプテンシー溢れる選手ではあるが、若いときは、非常にギラギラした部分の強かった選手である。

 そういった東京Vのこの試合でも止める蹴るからの推進力は、非常にスムーズであり、一つ一つのプレーに淀みはない。クロスも高さやスピードに頼らない点と点で合わせるピンポイントクロス。そして、岡山の26本山 遥のミスパスを見逃さず、ボール奪取後にスピードに頼らない技術でのテクニカルショートカウンターで、岡山から2得点を奪った。

 そして、岡山の前からのプレスに対しても怯まず繋ぐ意識。攻められてもパスミスをしても失敗やリスクを恐れない自由なサッカースタイル。それが、東京Vの強さの秘密だと、私は感じた。

 金沢や秋田もそうであったが、自分達のスタイルを信じてやり遂げる。東京Vからもそういった信念のような部分を感じた。

 金沢と秋田と違い東京Vの方が圧倒的に伝統と歴史があるチームである。しかし、勝負の世界では、勝者と敗者の構図の中では、実力のみが問われる。

 岡山も東京Vのように、1秒1ミリの精度を高める心の拠り所に繋がる歴史を作っていく先にあるOkayama Styleの確立と深化。そこに大きく近づくための戦いであるプレーオフを勝ち抜いて、J1昇格を成し遂げてほしい。

 近そうでかなり険しく遠いプレーオフの先のJ1を目指す戦いを、岡山は少なくとも、J2の中で最も良い条件で戦えるJ2クラブである。

 そこを意識する戦い方と意識しすぎない戦い方とのバランスの難しさを、それに近い状況に苦しんだ最終盤の試合を経験できた岡山。

 そういったときに、ブレてしまいそうになるかもしれないが、プレーオフでピッチに立てない選手を含めた全ての選手の総力で準備し、試合ではサポーターとともに戦い抜いて欲しい。

 余談ながらピッチに立つ回数が限られた11宮崎 智彦パフォーマンスは、非常に良く、攻撃関与の仕方も良く、41徳元 悠平の壁の厚さや、チームのレベルの高さを感じるところであった。より高いレベル選手が、岡山に集まってくる未来への前進のためにもJ1昇格をして欲しいと強く思う。

 繰り返しになるが、自分達の力と勝利を信じて、最後まで前を向いて戦ってほしい。岡山ならやれる。全ての方が信じて、願い、一緒に戦う試合が目の前に迫ってきている。

4、写真紹介

東京に到着後の昼食の場所
活鮮丼をチョイス
活鮮丼1000円

 ワサビと醤油を小皿で、混ぜて丼にIN。醤油の味かそれとも、魚に味付けされていたのか。通常の海鮮丼とは違い、味が活性化されいる活鮮丼なのか。醤油と魚+αの味、胡椒の効いたモヤシも味変を起こせる。味噌汁は、貝系の出汁がきいている。最後は、声をかけて出し汁を活鮮丼にINして、もう一度味変。なかなか美味しい一品でした。

ツリーと門
浅草寺の本殿

 はとバスで訪れた浅草。

願い
ガラス床
スカイツリーからの景色
夜のスカイツリー

 一緒に回った方に撮影して貰った。

麺匠 竹虎 本店 でこちらをチョイス。
餃子も
サービス

 ベビースターラーメンに近い。

青森県産 特性餃子

 ニンニクのパンチが凄かった!

ゆず魚介豚骨ラーメン

 ゆずの風味が効いていたけど、ゆず自体は苦かった。魚介ではあるけど、豚骨ということもあり、こってり。魚介特有の引っ掛かる食感が、滑らかな繋がった食感になっていた。味の方は、魚介独特の味の中に、強い濃さが味を下支えしている。チャーシューというよりは、肉の塊はやら沸く、メンマも大きい。煮卵をしっかり味が染みている。調和性こそ改善の余地があるもののラーメン全体のパワーは強い。極太麺ということもあり、濃厚なスープの味に負けていない。全体的に完成度というよりは、勢いを感じた拉麺であった。ただ、気になるのは、立地。あまり良い所ではなく、引き返そうかと思った。

 朝食は、バイキング。特筆すべきものは、なかった。どこでもありそうな内容であった。

試合前の昼食 魚亥子
日替わり定食 長崎産活〆カンパチと淡路産ホウボウの刺身盛
日替わり定食 長崎産活〆カンパチと淡路産ホウボウの刺身盛(珈琲のサービス有)

 刺身が脂が乗っていて、歯ごたえもあって美味しかった。近代史の食文化の輸送方法の進化で、こういった美味しい物を遠方で食べられるのは、本当に感謝。現地でしか食べられない食べ物もあるので、いつか何処でも食べられるものが増えて欲しい。

FC東京の選手の旗とカラー

 東京Vのホームではあるが、FC東京のカラー。慣れた光景なのかもしれないが、複雑な心境であることは確かである。しかし、東京でスタジアムを作る大変さは計り知れない。

味の素スタジアムの反対にある建物。
味の素スタジアム(正面)
味の素スタジアム1
味の素スタジアム2
味の素スタジアム3
味の素スタジアム4
チュロス

 長くて甘くて美味しかった!

岡山サポーター
東京Vサポーター

 今日は、バックスタンドだったので、太陽の日差しが凄かった・・・そして、暑かった。上の影の所で立って観戦されている若い方も多かったみたいです。

 正直、暑さと日差しで、いつもより集中して観戦することはできなかった。バックスタンドの過酷さを改めて感じた。寒い時はまだ良いかもしれないけど、暑い時は、より過酷な所で、水分補給や帽子などで、太陽光対策は、必須であると感じた。

 試合の結果は、残念であったが、次に繋がる試合であった事は、確か。勝利の期待しての遠征であったが、見事に敗れる事となった。バーに当たったシュートなどを含めて、悪くなかった試合。1週間で、心身共にリフレッシュして、次こそは、ゴールから勝利に繋げて欲しい。

5、POへ向けて

 最後に選手と監督のコメントを紹介して終えたい。

木山 隆之 監督(岡山)
「しっかりプレーオフに向けて切り替えて、我々はホームでできるので自分たちのホームの優位性を保ちながら、次の戦いに向けて勝ち進めるように準備をしていきたい。
たくさんのサポーターが来てくれて後押しをしてくれるので、それを自分たちの力に変えてアクティブに試合に臨んでいきたい。チームには若い選手も多く、経験の少ない選手もいるし、そういう雰囲気は初めてかもしれないけど、小さくならずにどんどん行って、やってほしい。そして、サポーターの皆さんにそれをしっかり後押ししてほしい。」

ファジアーノ岡山公式HPより 試合後コメント一部引用

22佐野 航大 選手(岡山)
「ここでやられたことを、いい形で生かしていかないといけない。プレーオフはリーグ戦とは違う戦いになるので、もっとゴールに向かってシュートも打たないといけない。守備ももっと強くいかないといけないので、反省してプレーオフに生かしたい。
プレーオフの対戦相手がどこであろうとも、自分たちが闘志をみせないと始まらない。それを意識して、そのなかで対策もして目の前の試合に勝ちたい。プレーオフは負けたら終わり。勝って終わりたい。そのために今日の負けを意味あるものにしないといけない。プレーオフに向けてしっかり準備をしたい。
サポーターの皆さんはシーズンの初めから熱い応援をしてくださっているので、J1昇格をして恩返しをしたい。」

ファジアーノ岡山公式HPより 試合後コメント一部引用

4濱田 水輝 選手(岡山)
「プレーオフは全く別物で緊張感も全然違うと思う。その中でどれだけ力を出せるか。まずはしっかり休んで、フィジカル面では日曜日に向けて体をつくり、メンタルの面でもどんな状況になっても絶対に勝ち進む強い意志が必要なので準備をしたい。集団として勝ち取るために、目をぎらつかせていきたい。
サポーターの皆さんとクラブが一体となって岡山の悲願達成に向けてやっていこうと、試合後に改めて強く思った。ホームでもやれるし、3位のプライドもある。とにかくいい準備をしたい。」

ファジアーノ岡山公式HPより 試合後コメント一部引用

15ミッチェル・デューク 選手(岡山)
「もう一度、目を覚まさないといけないし、次の試合に向けていいリアクションを出さないといけない。ホームで戦えるアドバンテージはあるが、結果が保証されているわけではない。勝利のメンタリティーを出していかないといけない。
プレーオフは全く別の形の試合で、エキサイティングなものになる。しっかり準備をしたいし、チャンスが来たらゴールを決めて、2回戦に進出して、J1昇格を決めたい。
ワールドカップ予選でもプレーオフを経験したが、その経験をチームメイトに伝えたい。あまりにプレッシャーを感じるとミスが起きるので、大きな試合にはなるが、落ち着きを保っていきたい。」

ファジアーノ岡山公式HPより 試合後コメントを一部引用

引用元
ファジアーノ岡山J公式HP(J2第42節 東京V戦 監督・選手コメント)
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/p1473057963.html

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・Photo=Masaaki Sugino

アディショナルタイム(おまけ)

ファジ造語

チアゴ・タイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

本山丸(イメージは真田丸)
 大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。

参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777

ヤバス要塞
 語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。

梅田アウォール
 ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。

0バックシステム
 攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。

木山ファジVer1
 2022シーズンの開幕からトライした新システムの4-3-3。超攻撃的なサッカーで、7チアゴ・アウベスを軸とした、自由と個の力を前面に展開していく。選手のコンバートやルーキーの積極起用で、勢いと爆発力があった。攻撃だけではなく、前からの守備でも効果的で、嵌める・奪うから得点に繋げることのできた試合もあった。ただ、対戦チームの対策が進む中で、勝ち点3が遠く、順位を下げて行く中で、4-3-3の戦術的アップデートの一時中断からの路線変更を余儀なくされた。

木山ファジVer2
 10節という節目で採用された4-4-2。4-2-2-1-1とも言える形で、4-2-3-1とも言えるが、ダブルボランチを採用することで、攻守での安定感が高まった。有馬ファジの4-4-2とは違い攻撃的な選手と、ロングパスの得意な選手が多く、速攻を主体として、速さ・強さ・高さを前面に出して、ゴールに出したことで、今季のメンバーに寄せた4-4-2。効果的なサイド攻撃やカウンター攻撃は切れ味鋭く、中央ラインの強固さで、J2屈指の堅守となった。

ヤバスギタ山城
 柳の「ヤ」、バイスの「バ」と「ス」、喜山の「キ(’’)」、堀田と梅田の「タ」、そして本山と喜山の「山」。まさしく攻略の難しい山城。そしてセットプレー=飛び道具が効果的な組み合わせとして、岩政 大樹時代を彷彿させる高さと強さを感じる。今後も色々な選手や形を試して行く中で、より強固にして欲しい。

木山ファジVer2.5α
 現状の個の力に赴きをおいたサッカーに組織力を強化することで、攻守でのより高みを目指す。特に重視するのが、「主導権を握るサッカー」。ただ、現状は、後で回すだけに留まり、プレスを受けてしまうことやパスコースが限定される中で、前線の選手の自由が制限されてしまうことで、パスがカットされたり、ゴールに向かってシュートに行く前に奪われたりと、逆にカウンターを受ける事が多くなってしまっている。もしかすると、別の形を模索することとなるかもしれないが、現状は明確な方向性のサッカーを体現できていない。

木山ファジver3
 前半は、15ミッチェル・デュークを軸としたサッカーを展開し、7チアゴ・アウベスの投入を皮切りに、パスに赴きを置くサッカーに展開して行く中で、22佐野 航大のプレーの変化や15デュークと7チアゴの連携、SBの関与、セットプレーの回数を増やす事で、ゴールに迫るスパークをかけることで、90分間での得点機会増に繋がっている。ただ、自分達が主導権を握るサッカーという点では、依然として課題が残っている。そこを残り約10試合で、カバーできるかどうか。

雉プレス(ファジアーノプレス)
 90分間のフルタイムの間、岡山式のハイプレスを続けること。2トップ、2列目、アンカーの7選手が積極的に、前からプレスをかけて、相手の組み立てを大きく牽制し、ボールを奪えれば、強力な2トップと2列目の選手が襲いかかる。そのプレス網を抜けても最終ラインの選手が、前に出て対応し、プレスバックで、自由を与えない攻守一体の岡山式プレス。

木山ファジBEST Ver1
 木山ファジの完成形。岡山が採用してきた3バック、4バック、5バックを1つのサッカースタイルとして体現。時間帯によって形を変える事で、対戦チームの対策を許さない。個性豊か選手を巧く起用することで、個の力を最大限引き出す。チアゴタイム、本山丸、ヤバス要塞、雉プレスと組織と個を融合した攻守にアグレッシブな完成形の1つ。

木山マジック
 あらゆる選択肢と可能性にセオリーや絶対はない。挑戦から修正、そして正解に近づいて行く中で、サッカーの完成度、総合力を高めていく。チームとしての戦術の幅は広がり、対応できないサッカーにより近づく。徹底した個人戦術と、組織的に戦術を兼備。予測不可かつ大胆な起用や策は、実は最適格。正攻法もしっかり採用し、その本質を見抜く慧眼と決断する豪胆さを持った勝負師でありながらリアリスト。その一手で、勝利を手繰り寄せる。

岡山一体
 輪笠 祐士が「秋田一体」のDNAを岡山に持ち込んだ。その時と同時にチームは、コロナで主軸に陽性者が続出の危機的状況に陥った。ただ、「秋田一体」のようにチームの総力戦で、新加入の輪笠を含め、横浜FCにこそ敗れたが、結束して2勝1敗に乗り越えた。こうした経験がチームを一つにし、粘り強さと勝負強さを兼ね備えた結束力が、今の岡山にはある。

「岡山一体」のファジ造語の由来は、もちろんブラウブリッツ秋田の「秋田一体」

Okayama Style
「ハードワーク・堅守・デュエル」の3本柱をベースに4バックと3バックのメインシステムを軸にしつつ、攻守や状況に応じて変化する可変式を採用しつつも、システム自体も変更できる点が武器で、戦術の幅が広い。自由な発想をベースに個の力も躍動。自由と組織が一体となった新しいKIYAMA STYLEとも言える2022シーズンのファジアーノ岡山のサッカースタイル。

マリオネットストラテジー
 操り人形という意味ではなく、操り人形の構造をイメージしたファジ造語。選手と監督が意図(糸)で繋がっているが、選手と監督に主体性が存在して引っ張り合っても、切れない意図(糸)。それが、絶妙な組織力として強さに繋がっている。2022シーズンのJ2においては、試合の意図したように操る。この戦い方を極めていくことで、岡山の土俵で戦える術を岡山は、磨いてきた。対戦チームには、異質(別の競技)のサッカースタイルにも映るかもしれないが、これが、Okayama Styleの完成を目指すマリオネットストラテジー(主導権を握る戦略)によって、作り出されたサッカーなのだ。

ウルフシステム
 後方の守備のバランスとパスの選択肢を増やす事で、攻守でより手堅く戦える受けの守備スタイルカラーを強めた形。スペース(隙)を少なくして、距離感を良くすることで、安定が生まれた。その結果、前線の1トップ2シャドーは、攻守でより自由に動けるようになった。中盤からのインターセプトからのカウンターの切れ味や中盤から前に出て行く推進力もこの形の武器であり、魅力。今後のオプションの1つで、雉プレスも新たなフェーズに突入した。

岡山の矢(3本の矢)
 試行錯誤の経て3-1-4-2をベースとした3バックと4バックの可変式に辿り着いたOkayama Styleで得た3本の矢。1本目は、右サイドの全権を握る16河野 諒祐の攻守の上下動からの右足で生み出される攻撃の矢。2本目は、左WBを任せられるタイプの違う選手達の仕掛ける自由と崩す自由のゴールへ向かって行く攻撃の矢。3本目は、41徳元 悠平がCBを兼任することで負担を軽減し、90分間ロングスローをする可能とする攻撃の矢。

雉語録
 ファジアーノ岡山も歴史を歩むごとに多くの人がそれだけ絡んで来た。監督や選手だけではなく、スタッフやサポーター、ボランティア、記者の方々など。その1人1人想いは、歴史として語り繋がれる。中でも木村元社長、岩政先生や椎名選手、バイス選手の言葉は、人の心を掴んで来た。その言葉は、記事のように多くの人に伝わり、多くの人の心を動かした。そして、その言葉の数々は、雉(ファジアーノ)の言葉として、将来の世代へと羽ばたいていく。そうした言葉の1つ1つは、岡山の力となる。それが、雉語録である。

代表作
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907

筆者紹介

杉野 雅昭
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ここから先は

0字

¥ 100

自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。