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SUGERSWEET

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1994年〜1998年までのテクノやクラブ・ミュージックを中心としたミニコミ誌の記事を中心にピックアップ。近年書いた記事でいまもし自分がまだシュガースウィートをやっていたら載せた… もっと読む
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記事一覧

David HolmesとBelfastとSugar Sweet

David HolmesとBelfastとSugar Sweet

1970年代の北アイルランド紛争のさなかにベルファストにレコード店を開き、パンクとの出会いをきっかけにレーベルを立ち上げ、
 " Teenage Kicks " でお馴染みのThe Undertonesなどの作品を世に送り出したテリー・フーリーの自伝的映画『グッド・ヴァイブレーションズ』を観た。当時の北アイルランドの宗教的対立を背景にパンクがいかに人々の心を奮い立たせるものだったのかがしっかりと描

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HAPPY PROMENADE

HAPPY PROMENADE

 ハッピープロムナード。とか言っても誰も知らないとは思いますが、94年12月18日に原宿のホコ天で行った、私達の仲間内のイベント。え〜内容は「ラブリーな人たちによるピースでハッピーなハチャメチャ野外テクノイベント」って、たったいま私が勝手に考えたんですけど、バカっぽいかしら?でもやっぱりバカなんじゃない?みんな結局、楽しいことが大好きで変に気取ってないもんだから、人生やKLFやデイヴ・クラークやL

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ケミカル・ブラザーズとエルマロ

ケミカル・ブラザーズとエルマロ

 今年はあっちこっちでシカゴがきたとかアムスがきたとか忙しそうでしたが、わたしのとこにはほんの挨拶程度でさっさと帰っちゃいました。で、その間わたしは何の相手をしていたかというと……ロックっぽいやつ。テクノ側から見るとロックなくせに、ロック側から見るとあら不思議、ちと違う感じなやつ。「ムム、これはっ!」と思わせる、確信犯的なやつ。説明していると、いつの間にか感情的な言葉になっちゃうやつ。
 テクノテ

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RIGHT MOMENT/FUMIYA TANAKA

RIGHT MOMENT/FUMIYA TANAKA

3月14日の夜に渋谷のContactで行われた「CHAOS」へ遊びに行くことになったのはその日の夕方で、急に決まった。数週間前に亡くなったAndrew Weatherallの追悼を友人としていたら自然とそういう流れになった。酔った勢いのようで、必然だった。始発までの短い時間しか居られなかったけれど、記念にその日のポスターまで貰って帰ったりして、なんだか二十代の頃みたいで楽しかった。それ以来どこにも

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電気グルーヴのオールナイト・ニッポン 石野卓球のオススメ曲



深夜のニッポン放送の電気グルーヴのオールナイト・ニッポン。この人気番組が与えた影響の凄さについてはある年代の方々ならご存知でしょうか。以下はそのオールナイト・ニッポンの中で一番影響力のあったコーナーについての話を。

土曜3〜5時の頃は4時50分、火曜1〜3時に移動してからは2時50分頃のちょうどエンディング前にいつもやっていた「オススメ曲のコーナー」は、「平成新造語」「アニメ実写劇場」「ギブ

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ANDREW WEATHERALL

90年代の始まる頃にイギリスのスターだったアンディー・ウェザーオールがいつの間にか地味になっていた。でもそれはおとなしくなったというより、冷静な目と音楽に対する好奇心を持った者の正しい行く先だったと思う。今年(97年)に入ってウェザーオール復活、と騒がれたけれど、混沌とした時期にあのダークな音が生まれたように、今までだっていつだってウェザーオールは時代のBGMであったような気がする。

Mor

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シュガースウィート2号



◎GIANT TAB

大晦日、何してました?家で除夜の鐘を聴いてた、なんて人はちょっとかわいそうかも。だってあんた、GIANT TAB[※注1]ですよ!TAB!たぶ!タブ!ラブ♡んもー、94年の締めくくり&95年の幕開けに相応しく、えらいステキな内容でした。フミヤ先輩のハード極まりないプレイをはじめ、ケン・イシイ、卓球、YO-C、TOBYさん……もう全部が素晴らしくって感激。完全にブチ切れた

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シュガースウィート1号



**◎CLUB VENUS **

久保さん[※注1]ってほんとエライ。エライったらエライ。だーって、毎月毎月もぉ鼻血出そうなスゴ腕DJ呼んじゃってさ、わたし達を驚かせまくってる。でもそんなことはどうだっていいの。わたしはクラブ・ヴィーナスが大スキなの。よく気の配られたあの空間が大スキなの。オービタル&システム7のときの外の雰囲気や、イビサのパーティーのときに何げなく置いてあったソファー。久保

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ABSTRACT HIP HOP

アブストラクト・ヒップホップという言葉自体が抽象的で、インストゥルメンタルのヒップホップでもモ・ワックスとニンジャ・チューンではだいぶ違うけれど、一般的なヒップホップのエネルギッシュでホットなノリじゃない、無口で極めて個人的な音という点ではみな同じ。結果的にはお洒落でも、お洒落なだけじゃない人達がやってる感じが抵抗なく聴ける秘訣ですかね。

Headz- A Soundtrack Of Ex

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JAZZY

「この曲なんかジャズっぽいね〜」という言葉を口にするということは、みんなジャズという音楽がどういうものかわかってる。優れたジャズのレコードなんて探せばいくらでもあるだろうということも。でも、私たちがジャズを聴いていないのはどうして?答えは単純。だって私たちが聴きたいのはジャズじゃなくてジャジーなんだから。

Boulevard/St Germain

各方面で話題になった、Fコミ発のサンジェル

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EXPERIMENTAL

自己満足で終わっているような「実験音楽」ならいくらだって見つかる。でもその人の世界の中にある、溢れんばかりのアイディアと発掘された音が、ちゃんと音楽という領域に収まっているものを探すのってなかなか難しい。ぶっ壊れた音楽なんてわざわざ聴くぐらいなら、ちゃんと作られたものを聴いたほうがいいに決まってる。ネジが外れたというよりわざと外したような、狙った実験音楽音楽なんて聴きたくないから。

The

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AMBIENT

アンビエントといえば、KLFやジ・オーブ以降ではピート・ナムルックのような退屈なリスニングの垂れ流しという印象が抜けませんでしたが、下に挙げたような音をアンビエントと呼んでいいのなら大歓迎でしょう。シンプルすぎて眠気を誘うだけのようなものよりも、おとなしすぎない程度にちゃんとしたリズムのある曲の方が断然落ち着く。踊らないダンス・ビート、眠らないアンビエント。

Classics Ⅱ/Hoodru

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PORK

「PORK」なんてアホな名前ですが、打ち込みでありながら素朴かつ味わい深い独特な音をずっとリリースしているイギリスのハルのレーベル。いいチルものが揃っているところってレーベル単位ではあんまりないのですが、ここだけは毎回期待を裏切りません。どうやらこのレーベルでリリースしている作品のほとんどに関わっていると思われるスティーヴ・コビー氏、この人が重要人物です。

**Mess/Fila Brazil

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こぼれたミルクに泣かないで

相変わらず来日アーティストのスケジュールだけはとどまることを知らずに毎月決まっていますが、自分の好きな人、興味のある人、来てほしいなぁと思う人がいても、実際本当に来るとなるとちょっと面倒くさくなったり、自分の都合の悪い日程だったりして、結局は行くのをやめたりすることがあると思います。でも生の音楽って映画みたいにいつ見てもそれ自体の質が同じってわけじゃないから、やっぱり損したくないとかあんまり良くな

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