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ケミカル・ブラザーズとエルマロ

 今年はあっちこっちでシカゴがきたとかアムスがきたとか忙しそうでしたが、わたしのとこにはほんの挨拶程度でさっさと帰っちゃいました。で、その間わたしは何の相手をしていたかというと……ロックっぽいやつ。テクノ側から見るとロックなくせに、ロック側から見るとあら不思議、ちと違う感じなやつ。「ムム、これはっ!」と思わせる、確信犯的なやつ。説明していると、いつの間にか感情的な言葉になっちゃうやつ。
 テクノテクノした音ももうなんかねえ、なんて書くとどうせ女の子は飽きっぽいから……とか言われるんだろうけど、そういう問題じゃないでしょ。わたしは「テクノ最高!」とか言いながらちんたら踊ってる、自分が何かズレてることに気づかない人間にはなりたくないっす。ものすごく自己中心的な「今」を生きたいっす。シカゴやアムスにはあまり感じなかったその「今」が、あの音にばっちりハマったわけなのです。
 ロービートで重いベースでギターが飛び交って、ファンキーでかっこよくて笑えて、騒がしくてすっとぼけてて生っぽい。そんな言葉が似合う人達、とりあえず2組ほど浮かびませんか?こんなこと書いてちゃ誰も唸ってくれないでしょうが[注:1]、シュガースウィートはいつだって自分びいき。

THE CHEMICAL BROTHERS

 「鯖」で特集されていたのが印象的だったDUST BROTHERS。ダレン・エマーソンのMIX MAGのテープに入っていた「Her Jazz」を勧められたのがはじまりで、以後とりこじかけになりました。うふふ。ダスト・ブラザーズといえばREMIX業が話題の的。ポップスだろうかハードコアだろうが全部ダスト節に変えてしまう図々しさ。中でもイギリスのカリスマ、プライマル・スクリームの曲をバカバカしいほど大袈裟に仕立てた「Jailbird」は茶目っ気たっぷりで、原曲に続けて聴くと爆笑です。しかし初めて彼らの写真を「REMIX」で見た時はビックリした。だってホントにゴミ兄弟⁉︎って感じの、普通の人よりフツーな感じの2人でますますラブリー♡
 そしてダスト・ブラザーズは名をケミカル・ブラザーズと改め、邦題『さらばダスト惑星』(……)というアルバムで大ブレイク!でも『LOUD』と『ロッキンオン』のインタビューを読んでちとがっかり。弱いKLF、みたいなバカバカしい人達だと思ったのに、結構マジメなのね。最近はあの音にもだいぶ慣れてしまったので来日公演(平日。イェーイ。誰も来ないたぶん[注:2])は盛り上がりたいもの。ではこの辺で1曲、おさらいをしてみましょう。ケミカル・ブラザーズの曲で「Leave Home」。ナチュラル・ハイ[注:3]で田中フミヤが1曲目にかけた時の光景を思い浮かべながらどうぞ。

EL MALO

 何を隠そうエルマロはデビュー当時からのファンで、高校生の頃にやってたミニコミでも薦めてたという好きぶり。Mo'Wax(なんと!)から出したレコードも持ってるもんね。はじめの頃はお洒落クラブ・サウンドと呼ばれていたけれど、そんなことお構いなしって感じの非凡な音でした。2ndシングルの打ち込みブルース、カヒミ・カリィのぶっ飛びプロデュース、電気グルーヴの「虹」の完璧REMIX(自分達のライブでもやったそうな)、2ndアルバムの爆発サウンド……そして先月発売された3rdアルバムのロックぶりとエルマロさんにはいつも驚かされますが、こっちサイドの人間としましてはやはりテクノとは全く違う観点の打ち込みの曲に心惹かれます。しかしこの人達はいくらカッコいいだのなんだのと褒めたって、さっと逃げてかわされちゃう感じあるよなあ。せっかくエレメンツ[注:4]なのに電気グルーヴと仲良しなのに「虹」やったのにナチュラル・ハイでもまりんと「エルマリン」なんて名前でちょっと遊んでみたのに、ぜんっぜんテクノ・ファンに人気ないようでちょっととほほ。でもやっぱり売れないと思います私も。だって早すぎるもん、エルマロ。今頃2ndアルバム愛聴してるもん、わたし。ではこの辺で1曲おさらいをしてみましょう。エルマロの曲で「Drive」。違った。「Blind」。



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 上の2組は何かあるんじゃないかー?と思っていたら、今度発売されるケミカル・ブラザーズの1stアルバムの日本盤の解説をエルマロと田中フミヤの対談でやるんだって。これは読みたい!解説のために買っちゃえ、買っちゃえ![注:5]
 そして上の2組の影響をばっちり受けちゃった日本人が、あのコーネリアス小山田[注:6]。エルマロが電気とばっかり仲良くしてるから拗ねちゃったのか、ニュー・シングルはひとりでエルマロってます。
 久しぶりに新宿VINYL(テクノも少し置いてるよ)で買ったシャーラタンズの新譜「Just When You're Thinkin' Things Over」のケミカル・ブラザーズの「Toothache Remix」は、おやおやエルマロみたいじゃないか。まだ廃れてない音でハートマーク3つ。でもわたしはシャーラタンズのオリジナルはどうでもよくないと思う[注:7]。
 ケミカル新譜の「Life Is Sweet」。ジャケがイカしてる。REMIX2とオリジナルがグー。でもこの曲に関してはコンピ盤『Trance Europe Express4」のヴァージョンが一番いい。Don't Stop!
 コンピ盤『Dope on Plastic!』のVolume2は「Jailbird」のダストMIX入り。1にも入ってたTHE WOODSHEDはまた◎。1よりHIP HOPっぽいのがいくつか入ってます。
 それとCISCOの隅にひっそりと置いてあったのはDUBPLATEというレーベルのLIONROCKことジャスティン・ロバートソンさんのダブ・ロック曲。上の『Dope on Plastic!』に入ってそうなやつ。ホントにLIONROCKって感じだ。
 最近初めて聴いたBOMB THE BASSの『UNKNOWN TERRITORY』(91年)。や〜、カッコいいじゃないのもう。ケミカルなんて遅れてるかもよ、まったく。DEPTH CHARGE MIXなんてあって、なるほど納得。


☆[注:1] 当時の雑誌「ele-king」で「鋭いセンスと上手い文章で唸らせてくれるシュガースウィート」と紹介されたもんで。

☆[注:2] ところがどっこい激混みでした。

☆[注:3] 95年8月に富士急ハイランドで行われた野外イベント。

☆[注:4] エルマロをはじめ、電気グルーヴや田中フミヤも所属していた事務所。

☆[注:5] 買ってない自分に驚いている。

☆[注:6] 69/96時代のコーネリアスにそんなにハマれなかったので呼び方に距離を感じる。

☆[注:7] そんなことを書いてあるレビューを多分読んでの反論。

★最後の注釈以降の文章は2021年現在の追記です。

(SUGERSWEET第6号 1995年10月)

#音楽 #テクノ#エルマロ#ケミカルブラザーズ

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