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読書日記〜柳澤健「1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代」

 単行本を持っていても、文庫本を買い足すことは昔からよくあって、実家に戻ってからは懐に余裕ができたからか、単行本を手放すこともなくなりました。
水道橋博士が「文庫本が紙の本の最終形態であり、解説が追加されるのだから意義がある」と語った通りで、昔は解説を読むのが目的で文庫本を買ってましたね。
逆に栗本薫さんの「ぼくら」シリーズが単行本には解説が掲載されていて、文庫本には未収録ということに衝撃を受けたことがあります。

 この本の解説は誰なのかな?と楽しみにしていたので、元TBSアナウンサーの小林豊さんには納得したのでした。
小林さんは松宮一彦さんの後任の「赤坂ライブ」の司会者でしたし、「赤坂ライブ」の収録を観に行くと松宮さんや林さんの姿を見かけたことを思い出してしまうからでした。
ちなみに松宮さんの悲しい知らせを報じるワイドショーを見ていたら、林さんが取材されていて、「松宮さんとはどういうご関係で?」と訊かれていたのを見た記憶があります。
林さんの答は「同僚です」というものだったはずです。
あー、このスタッフは(他局とはいえ)林美雄さんのこと知らないんだな、とひどくガッカリしたんですよね。
そんなことを思い出したりしました。
前置きが既に長くなってますが、そろそろ、じゃ、行ってみよー。

・柳澤健「1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代」(集英社文庫)

 元々は「小説すばる」に連載された記事を単行本化し、後に文庫化されたのがこの本なわけです。
連載が始まった頃はまだアパートに一人暮らしをしていた時期で、TBSラジオを常時聴いているましたから、「久米宏のラジオなんですけど」でスタートしたことを知ったのでした。
まー、貧乏だけど時間だけはあったので、「小説すばる」を熱心に立ち読みしてましたね。 単行本化された際にはさすがに購入しましたが。

 林美雄さんの「パックインミュージック」を私がリアルタイムで聴いたのは、結局1年に満たないはずです。
「ヤングフォーク」の南佳孝さんの「モンロー・ウォーク」についての記事で人気コーナー「ユアヒットしないパレード」について触れていて、中学に入って喘息で夜眠れない時、深夜放送を聴いて翌日休むことがかなり多くなったのでした。
林さんの紹介する曲や語り口調にメチャクチャはまってしまったわけなんです。
地元では「オールナイトニッポン」をネットしていたので、親にねだって買ってもらったナショナルクーガーでTBSラジオやMBSを聴いてました。
ラジカセではノイズに負けて聴けなかったラジオ番組を聴くことができたのはありがたかったです。

 ムーンライダーズや斉藤哲夫さん、PANTA&HALにRCサクセション辺りは完全に「ユアヒットしないパレード」経由で知りましたね。
最近、YouTubeで「ユアヒットしないパレード」を検索したところ、最終回の模様が出てきて、当時リアルタイムで聴いていたことが記憶に蘇ってきました。
PANTAさん、斉藤哲夫さんや遠藤賢司さん以上にムーンライダーズの鈴木慶一さんが印象に残っているのですが、正直音楽からするともっとクールな人を想像してましたから、その照れ屋さん具合にひどくガッカリした中学生の私です。 
RCサクセションから忌野清志郎さんと仲井戸麗市さんが出て、「けむり」を歌ったことがカッコよく思えたんですよね。
休みの国の高橋照幸さんや白竜さんが出ていたことは全く覚えていなかったわけですが。
今なら狂喜乱舞でしたが、休みの国や白竜さんにはなんだこりゃ?と思ったのでしょうね。

 で、この本というか、連載を読んで、林美雄さんのことを何も知らなかったことがとにかく悔しかったのです。
特に「パックインミュージック」のリアルタイムで体験できなかった時代に林さんがサブカルチャーの盛り上がるように仕掛けたというか、評価されなかったことに注目し語り続けていたことに感動してしまったわけです。

 「パックインミュージック」の林さん回が終了してから少し経って、「ミュージック・ステディ」が創刊され、佐野元春さんと林さんの関係がわかったり、林さんがアルバム10枚を選ぶコーナーに登場したりするんですよ。
「赤坂ライブ」の公開録音を観に行ったりするにはまだ時間が必要でしたけど。

 水道橋博士がツイキャスを始めて好きな音楽について語るのを聴いたり、この本を読んで色々なことが繋がっていったわけです。
点在していたことが同一線上にあることがわかってからの私は色々と妄想したり、行動したわけです。
妄想はほぼ実現せず妄想のままですが、あの時からの私は自分がやりたいことがより明らかになっていったのは事実です。
この記事、最終回みたいになってますが、まだやりたいことはやるために努力しますから、まだまだ続きますよー。とりあえず今日はこんなところで。

 ではまたー。

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