薄荷(はっか)

山雅への想いを書く場所。個人のエッセイです。たまに絵を描いたりゲームしたり惚気を書いた…

薄荷(はっか)

山雅への想いを書く場所。個人のエッセイです。たまに絵を描いたりゲームしたり惚気を書いたりもします。温度低めの短編エッセイ→https://sizu.me/sugarm1nt 寄稿用アカウント→ https://note.com/m1nt_aq

マガジン

  • 松本山雅への想い

    山雅サポをやっていて思ったことを綴っています。 個人のもの、寄稿どちらも纏めています。

  • 生きるためにサッカーを観る

    サッカーに人生を救われた。鬱からの脱出エピソードをまとめています。どこかで、いま苦しんでいる誰かの今日をつなげられるよう。

  • 夫との話

    夫(2023年1月に入籍)とのことをまとめています。彼の書いた記事もあります。自分で読み返すためのアルバムみたいなもの。2023年7月1日、アルウィンで挙式しました。

最近の記事

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愛するクラブへの情熱が冷めるとき

分からないなりにサッカーを見続けて6年が経った。 沼があれば頭から飛び込んで、息継ぎをする間もなく最深部までたどり着くような愛し方を、サッカーに限らず毎度繰り返している。 文字通り何も分からなかった2017年、狂ったように毎週DAZNにかじり付いていた。 2018年はシーズンパスを契約し、ますます狂ったように毎週ゴール裏へと通っていた。 2019年はJ1のアウェイにたくさん行った。そうそうたる雰囲気の中で「強いサッカー」というやつを何となく肌で感じては、「山雅は弱いんだな

    • 復興へのOnesou1 【山雅サポ有志 能登半島ボランティアレポート】

      人が人を助けるのに理由は必要ない——と、私は思っている。 2024年3月17日、能登半島で炊き出しボランティアを行ってきた。 おとずれたのは輪島市立大屋小学校と、能登七見健康福祉の郷「なごみ」。 大屋小学校は避難所として使用され、今も避難生活を送っている人々がいる。 「なごみ」は自衛隊による仮設浴場が設置され、大人から子どもまで大勢の人々が連日足を運ぶ。 2ヶ所で計500食のラーメンと、信州銘菓やフルーツジュースを振る舞った。 長野県松本市のラーメン店「麺州竹中」店主

      • スタジアムの中心で愛を誓って

        どこかで言葉に残そう、と思い続けているうちに次のシーズンが開幕してしまった。 2023年、あっという間に駆け抜けてしまって振り返る暇もなかった。 私がいま立っていられるのはサッカーがあるからだと、噛み締めるように毎年言葉をつづっている。 松本山雅FCが私を社会へ繋ぎとめて、明るい方向へと道をひらいてくれた。 勝手に依存して、勝手に助かって、勝手に感謝しているだけなのだが、それは私が人生を生きる意味になっている。 山雅サポを始めてもうすぐ7年になる。 恋に落ちたあの日か

        • わが愛する田舎の、泥くさいサッカークラブへ

          「松本って、どんなところ?何があるの?」 愛する松本市。その魅力がわからない。 中信地域に暮らして、ときおり出たり入ったりしながら30年近くになる。それでも、この街の何がいいのか本当にわからない。何を愛しているのかも、わからない。 めぼしいテナントがないので、流行りものは都心まで買いに行く。新宿までは特急あずさで片道約2時間。おなじみアルピコ交通の高速バスなら片道約3時間かかるけど半額で行ける。 バスタ新宿ができる前、西口のヨドバシカメラの前に停留所があった。キラキラの街

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        愛するクラブへの情熱が冷めるとき

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          「誇り」を失った日

          “ 戦え山雅 この街の誇り 気持ち見せろ勇者たち ゆけ山雅 どんな時でも 俺たちがついてるぜ ゆけよ ゆけよ ゆけよ山雅 俺の 俺の 俺の誇り ゆけよ ゆけよ ゆけよ山雅 俺たちの声を受け ゆけ ゆけ ゆけ 戦え山雅 この街の誇り 気持ち見せろ勇者たち ゆけ山雅 どんな時でも 俺たちがついてるぜ ” “この街の誇り”とはいったい何だったろう。 蹂躙されたのでもなく、力ずくで奪われたのでもなく、ただ「失った」。 いっそ相手が穢かったら。嘲笑されでもしたら。そのほう

          「誇り」を失った日

          「篠ノ井の合戦」に向けて

          欲しいのは勝ち点3ーーだけでは済まない。 好きこのんで戦に赴く人間などそうそういない。だが、勝者が往々にして正義であるのは歴史の常だ。 なんのために戦うのか? それは「義」を守るため。自分自身が信じるものの「正しさ」をつらぬくため。 避けて通れるなら争いなどしたくはない。 嫌いな者が隣に居たとて、「あっち」と「こっち」で明確に線がひかれていれば、睨み合いこそすれ手が出ることはない。それが大人というものだろう。 なぜ戦うのか? それは自分が脅かされるからだ。領内に相手

          「篠ノ井の合戦」に向けて

          「パルセイロを好きになりたい」

          はじめに。 これはただの一個人の見解を書き殴ったページであり、賛否両論どころか否が大多数かもしれませんが、黙って脳みその中で燻らせるよりは吐き出して可視化してしまったほうが何か得られるものがあるかもしれない、と思って書き残すものです。 ゴール裏で声を張りながらこんなことを考えている奴がいるのかよ、とか、いやいや何も知らないくせに何を言ってんだよ、と叱られることも覚悟のうえで、思い切って言語化します。 ご興味がおありのかたは駄文にお付き合いいただけますと幸いです。 +++

          「パルセイロを好きになりたい」

          「どんな時でも」と歌いつづけて夢を叶える

          苦しいときに私は、わざとピッチを見ていない。目を閉じて、ただ歌い、手を叩く。 だから、実を言うと今シーズンの試合内容をほとんど覚えていない。 アルウィンで歌いつづけるために、ストレスを受けそうな内容は直視しないことにした。 サポーターらしくない、と言われてしまえば、反論はできない。 そうしてさえ、気分の乱高下がとても激しいシーズンだった。 それも次節で終幕する。そして、来年もまた私はここに立っている。 もう決めていることだ。その気持ちが揺らぐことはない。 昨年、J3降

          「どんな時でも」と歌いつづけて夢を叶える

          敬愛する田中隼磨選手の現役引退に寄せて

          2017年、私が初めて買ったユニフォームの背番号は「3」。 その足でレアルスポーツからかりがねサッカー場に直行し、タグも切らないままのそれを差し出してサインを求めた。いま買ってきたばかりなんです、と口をついていた。 「まじですか。素晴らしい」 いまにも降り出しそうな曇天だった。ファンサの待機列に並んだ記憶がないほど、その日の見学者はまばらだった。嫌な顔ひとつせずに足を止めて、手慣れた様子でまっさらなユニフォームに魂を入れてくれた日のことを、私は今でも鮮明に覚えている。

          敬愛する田中隼磨選手の現役引退に寄せて

          いつかあなたに飛んでほしい

          私の彼はファイターパイロット志望だった。 ファイターパイロットとは、戦闘機を操縦するパイロットのことである。 危険な職業だ、と誰もが思うだろう。なぜ、なりたかったの?と、私は何度か尋ねたことがある。今でも時々、確かめるようについ尋ねてしまう。 その答えは、いつも決まっている。 「空を飛びたかったから」 私と彼との出会いは、鉄道に乗ってスタンプラリーをするゲームだ。 そのコミュニティで、私たちはそれぞれ小説を書いていた。いわゆる二次創作である。 成田空港へと路線をつな

          いつかあなたに飛んでほしい

          沼があったらハマってみる。彼とバイクと私の推し活

          はじめて結婚の話をしたとき、彼がバイクを手放すと言い出した。 やめてくれ、と私が説得した。 立場が逆じゃなかろうか。 私の住む信州はツーリングの聖地である。 旅行に来るなら最高だ。しかし暮らすとなると話は変わる。 下手をすれば、年に四ヶ月以上も乗れない期間がくるだろう。 降雪に、凍結。ここ数年で、マイナス10℃という気温も見慣れた。 ならば県外脱出、と思っても、どこへ出るにも峠を越えて行かねばならない。 加えて、田舎ゆえのインフラの悪さ。一家に一台どころか、一人一台が

          沼があったらハマってみる。彼とバイクと私の推し活

          ともに頂を目指したい

          こんなに強く思うのは初めてだ。 来年もまた、いわきFCと戦いたい。あたたかくて逞しいサポーターたちに、緑色のユニフォームを着てまた会いに来たい。 赤は、強い色だ。美しく深いKINGレッドは、燃えたぎる心を秘めつつ優しさを湛えた、人々の情熱を映したようだ。このクラブにとても似合っていると思った。 昇格争いとは、負けられない戦いだ。 たった二つしかない椅子を巡って、今年のJ3では18のクラブがしのぎを削り合う。 しかし、勝ちたいという想いと、いわきに暮らす人々のあたたかさ

          ともに頂を目指したい

          はやい、うまい、アレンジ自在、万能選手なトマトのカレー

          食レポが上手い、と褒められる私だが、その理由は食い意地が張っているからだ。 食べることを適当に考えていたとき、みるみる体調を崩し、メンタルは揺らぎっぱなし、あっという間に肥えてしまった。 私にとって食事とは、心身ともにコンディションをととのえる大切な儀式だ。 私は自分の手料理がいちばん好きである。 料理上手を自慢したいのではない。そのとき食べたいものを、自分の身体に必要な栄養素をふんだんに盛り込んで、自分好みの味付けでいただく。自炊とはそういうことだ。 食べたいときに、

          はやい、うまい、アレンジ自在、万能選手なトマトのカレー

          さあ往こうぜ緑の友よ

          いつもは黒いサマーユニフォームを着るのだが、明日は絶対に緑だ。タオルマフラーはどれにしようか。『山雅が好きだから』のフレーズは、もっと違う日に出したい。『雷鳥は頂を目指す』の文言も、今じゃない感じがする。やっぱり緑に白文字で「yamaga」のロゴが目立つ、今年のものが良さそうだ。 というわけで、北アルプスの稜線がデザインされたタオマフを丁寧に筒状にしてバッグにしまう。これを巻くのは篠ノ井駅で電車を降りてから。天気予報は晴れになったから合羽は要らないが、きっと冷えるから温かい

          さあ往こうぜ緑の友よ

          『教えてやれ、俺らが信州』

          私はこのチャントをまだ歌ったことがない。 5/8(日) 14:00〜 長野県サッカー選手権決勝戦  松本山雅FC vs AC長野パルセイロ 私にとって初めての“信州ダービー”は、否応なしに雌雄を決する戦いとなる。 その詳しい歴史については、シンさんの記事を御一読いただきたい。 こういう歴史を教えてくださる大先輩の存在を、本当にありがたく思う。 浅学なままで知ったような口をきくのが嫌だった。2017年から山雅サポになりました、と自己紹介するとき、それは「私は何も知らな

          『教えてやれ、俺らが信州』

          また顔をあげて飛ぶために。サッカーに救われて日々をつなぐ

          先日行われた天皇杯決勝は、最高の試合だった。 一週間も前から楽しみに待ってしまった。 チケットは完売し、満員だという観客席の壮観なこと。赤と青で綺麗に塗り分けられた人の波に、夥しい数のフラッグがはためいている。 二時間以上をTVにかじりついていたのも、久しぶりのことだった。 内容について触れることは避ける。凄い試合だった。そうとしか言葉にできない。 感動する、ってきっとこういうことを言うのだろう。最高の雰囲気に劇的なドラマ。筋書きがあるわけではない、ひたすらにベストを尽く

          また顔をあげて飛ぶために。サッカーに救われて日々をつなぐ