トメさんは気取らない
「落語」と一口に言っても、五十数分から一時間超の長講から、十数分から十分を切る短い高座まで、時間の振り幅は大きい。前者は面白い噺は確かに面白く、聞き終えた時の充実感たるや筆舌に尽くしがたい物であるが、「今、自分は落語を聞いている」という感覚に浸れるのは、自分は間違いなく後者である。前者は「落語を聞いた」というより、そこを超越した「1つの作品を聞いた」という感覚に陥り、「落語」とはまた異なる段階の優越感を感じる。故に、長講を聞いた際、「落語を聞いた」という表現が、自分の中でどこ