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このまちの大人図鑑 Vol.5 ◀思いを形に、人と人をつなぐ〜庭づくり〜▶

「SANPOH」    山口嵩明さん・ゆみさん ご夫婦

こんにちは、高尾野中学校ボランティアクラブ「×a」(プラスアルファ)です。

「このまちの大人図鑑」の活動の5回目として「SANPOH(株式会社山宝)」山口嵩明(やまぐちたかあき)さんと、奥様の山口ゆみ(やまぐちゆみ)さんにインタビューさせていただきました!

入り口の椅子にやさしい心遣い、こちらこそよろしくお願いします。

カリフォルニアで2年間のナーセリーの経験を経て25歳の時に高尾野の町に帰り、庭づくりのお仕事をされている山口さんご夫婦。生庭づくりに対する想い・これからのこと・地域のこと・温かいご夫婦の生み出す「人と人をつなぐ庭づくり」の秘密を探る楽しい時間になりました。

◀仕事のこと▶

質問…SANPOH(山宝)の名前の由来を教えてください。

回答…元々、ここには、山宝竹箸加工協業組合という竹箸を作る工場があったんです。創設者は父で「竹は山の宝である」ということが社名の由来です。そして、2010年に私たちが、ガーデン&エクステリアのお店SANPOH として再出発しました。

質問…庭づくりへの思いを聴かせてください。

回答飾りじゃない庭づくりをしたいですね。そこに住んでいる人に、庭を通いて楽しんでもらえたらうれしい。そう思っていつも作業をしています。

質問…山宝さんのことを調べたときに、サイトで、「お庭がある暮らし」とか、「ご家族のためのお庭」とか書いてあって、なんか、凄い優しそうなイメージを持ったんですけど、、、

回答…結局・・・家があって、屋根があって、そこに住まえる家さえあれば、実際生活はできるわけですよね。そして、日常の中で疲れてたりとか、後お仕事頑張って家族の時間を持ちたいってなったときに、お買い物だったり、レジャーだったりに目がいってしまいがちだけど、もちろん、そういうのも必要なんですよね。でも、私たちは、お家でゆっくり家族の時間を持てるってとても素敵なことだって思っていて、天気の良い春の日、外で朝食取って、何ならそこで遊んで、ディナーまでしちゃうみたいな。そんな生活ができたらとても素敵だなって、そういう、家族のためのお庭づくりに僕たちが携わっていけるんじゃないかって思っているんです。

質問…アメリカでのナーセリーの経験から日本とアメリカの庭に対する違いってありましたか?

そうですね。朝起きて、お父さんが芝刈りして、朝食食べて、みんなでBBQをするみたいな(笑)庭をフル活用しているアメリカ人に触れ合うことが多くありましたね。最近、日本も少しそっちに寄ってきているのかなって気はするんですけど、どうでしょうか?
特に私たち日本人って真面目だって思うんですよ(笑)少し抜けるところがあってもいいかなって・・・それが「」っていう位置づけになっていくととても嬉しいなと思っています。

質問…仕事のやりがいはなんですか?

回答…お庭づくりっていうのは、そのお家の中での生活をより豊かにするために役に立てるものだって思っているんですね。そのために、僕たちが持っている知識だったりとか技術を活かしてご提案し、出来上がって、お客さんのそこから先の生活より豊かになっていくのを実感できたときに、すごくやりがいを感じます

質問…やっぱり何年もしてても仕事って緊張するんですか?

回答…起業して12年、それなりに自信もつけて来てはいるんですけどね。いつもびびって緊張感をもってやっています。自信満々でいったほうが説得力があるかもしれないんですけどね(笑)傲慢になっちゃうというか”大丈夫””大丈夫”ってすごく怖い言葉だと思うんです。大丈夫かもしれないんですけど・・・それの裏には必ず危険があったり、失敗があったりする。それが「びびっていこうぜ」っていうところに、繋がっています。用心深くあっても立ち止まらないってところですね。

質問…お庭の仕事ってやっぱり天候に左右されたりするのでは・・・

回答…確かに、自然相手の仕事ですね。そういう意味では、常に不安と一緒に生活しているって感じですね。ただ、マイナスな不安じゃなくて、楽しさと一緒に、不安もちゃんと付いてきてるっていう感じで受け取ってます。
そうそう、自然ということで言えば、同じ高尾野の中でも場所場所で、土の質も違えば、日当たりも違うし、風当たりも違います。気候が毎年変わってきているので、ずっと勉強している感じですね。試行錯誤しながら、終わりがない感じですね。

質問…この仕事をやめたいなと思ったことはありますか?

回答…今のところは無いですね(笑)もちろん、疲れたなって思う時はあります。うちは、それほど大きい会社じゃないので、仕事は一軒入ったらそこに集中して、終わったら次に入っていく、もちろん二軒同時にすることもあるんですけど、一つ一つ力を注いでやっていくので、内容が濃かったりとか、凄くハードな現場の後とかは、急に体調崩したりとかは、ありましたね。急に熱が出たりとか。
でも、疲れるのも自然なことだと思うんです。暑いし、一生懸命すればそれだけ疲れると思うんです。疲れたら、どうやってまた元気を取り戻すかっていうところの方が、大事だなって。
毎日庭の仕事をしてて、それで疲れてるのに、休みの日も今度は自分の庭に出て、土いじりをして、それが今度疲れを取ることになって、また、月曜日頑張ろうってなる。やっぱりこの仕事が好きなんだと思います。
ペンキ塗るのもそうなんですけど、それが仕事でくたくたになってるんだけど、休みの日もやっぱりやりたくなって、また元気を取り戻せるのは、ありがたいです。

質問…今の目標は?

回答…今の目標ですね。一軒でも多く庭で過ごして笑顔が増えるっていうのが、僕たちが大事にしなきゃいけないところ、そういうお客様が増えると、町が明るくなるし、きれいなところが増えれば、それだけ周りの人たちにもいい影響が与えられると思ってるので、そこはブレずにやっていきたいなと・・・誰か言ってたんですけど、お庭をきれいにすることは、人に親切をしていることと一緒だっていう言葉を聞いたことがあって、だからもっと、胸を張って、うちのお庭のほうがきれいだよ、いや私の家のお庭のほうがきれいだよなんて言い合えるようなになったらいいなって思っています。

質問…これから挑戦したいことってありますか?

作りたいって思いが高まって、全国の方に鹿児島よりももっと遠いところ、本州、大阪だったり、名古屋だったり、東京だったり、北海道だったりですね。お届けして喜んでもらいたい。まだまだ力が足りないんですけどね。こういう私達みたいなちっちゃな会社が、チャレンジすれば、みんなも面白がってくれると思うし、じゃあもっと自分たちは挑戦できるなって勇気を持ってくれるかもしれないしっていうので、失敗を恐れず、いま挑戦しています

MERRYの名前の由来は
「メリーゴーランドのように楽しくお庭にお水をまわそう!」という意味を込められているみたいです。

◀個人のこと▶

質問2年間カリフォルニアに農業研修に行かれたとのことでしたが、そこに行こう思ったきっかけは何ですか? 

回答…高3くらいまでは大学に行って、みたいなことを想像してたんですね。でも実際3年生になってみて、テレビ見てたらガーデニングの番組をやっていたんです。元々植物とかを部屋に置いたりして意外に面白いのかもと思っていて、そして植物関係の仕事に進んでいくっていうのを調べたんです。その時に、知り合いのお花屋さんに進路を相談しに行ったら、そこの方がたまたまアメリカに研修に行ったことがある人で、それがきっかけですね。

質問具体的にはどんな2年間だったんですか? 

僕が一番下の18歳で行って一番上は32歳くらいまでいたと思います。アメリカでは最初しばらく大学に通った後、それぞれの、酪農だったり野菜だったり植物だったりっていう分野に分かれて移動し働くって感じでしたね。酪農の人とかは、アイダホだったりしたけど、僕は少し恵まれてたのかなサンフランシスコの近くだったので、比較的暖かくていいところだったのかもしれませんね。
ちなみに、僕が配属されたのが普通のお花屋さんだったので、お客さんの相手を多ながら、お花を運んだりしてした。中にはゲートを通って配達に来ましたって言って、そこの町に入れるみたいなところもあったりして、超豪邸に行ってお花を届けてみたいなこともやってました。そういうところで凄いかっこいいお家とか見れたのも良かったなと思っています。
最初の1年位は慣れずに、帰りたいなって思うときもあったんですけど、最後は楽しく終わることができたので、いい経験だったと思ってます。

質問お二人共小さい頃から植物とかお花とか好きだったんですか?

回答(たかあきさん)僕は泥遊びが好きだったみたいです。後は祖母の畑を荒らしたりとか(笑)そういう感じで、だから、嫌いでは無かったんだと思います。ただ特別お花が好きとかそういうことでは無かった気がします。
(ゆみさん)両親がガーデニングが好きだったので、日曜日にはホームセンターに行って、道具を買って、両親はずっと庭仕事をしているっていう感じでした。芝生の上に水をぐしゃぐしゃになるまでまくと、滑って遊べるんですよ!お庭が最高の遊び場でしたね。後は、周りの山を探検して、草を食べてみたりとか、そういう遊びをしていたって覚えています。

質問すごく素敵なこの空間をつくろうと思ったきっかけは? 

回答…ここって私たちが帰ってきた当初は工場の一角みたいな感じだったんです。だけど、これじゃ自分たちも楽しくないし、打ち合わせをする時にこれでいいのかなっていうのがあって。だったら自分たちがまず楽しくなるっていうのと、お客さんが想像が膨らむように、建物をちょっと手を入れて、庭を作って、そういう打ち合わせ空間を作ったのがスタートなんです。実際のお庭があって、素敵な空間がある中で打ち合わせをした方が、お客さんも多分楽しくなるし、やりたいことを引き出せると思ったんですよ。

質問なぜお庭造りだけではなく、雑貨の販売は最初から思っていたんですか?

回答…僕らがここを作った10年前って、ほぼこの通りは何もなくてっていう感じだったんです。あと、SANPOHって綴が、SHAMPOOに見えたりして、色んな方が本当に来てくださったんです(笑)でも、その方々に庭造りをするんですって言うと、申し訳無さそうに戻って帰られるんですよね。すごく申し訳ないなっていう気持ちがあって、最初2万円だけの予算で手袋と鉢とスコップを仕入れて置いたのが雑貨を置くきっかけです。

質問…サイトで見ながら色々調べた時に、チョークペイントの欄になって、小さい額縁と、立方体のやつの写真を見て、色んな色があるのを、それでかわいいなって思って、やってみたくなったりして・・・ 

回答…チョークペイントですね。自然塗料なんですよ。庭もそうなんですけど手を入れるとか、ペンキで物を塗り変えることって新しい命を吹き込んでいくんですよ。物を大切にするっていうことにもつながるし、お庭いじりと同じようなセラピー効果っていうか、さっきの私達が疲れた時に土いじりをしていると元気が出るっていうのと同じで、自信が出たり、失敗しても自分のだからいいやとか、また塗り直せばいいみたいな感じで(笑)お庭もペイントも似たもの同士って感じるので続けてやっていっています。

◀地域のこと▶

質問…この高尾野の町の魅力ってどんなところだと思いますか?

回答…自然が多いっていうところだと思います。僕はずっとここで生まれ育っているので当たり前に感じていたことなんですけど、遠方から来てくださった方が、いいところだねって言ってくださると、嬉しくなります。

質問…この町の一番好きな場所ってありますか?

回答…ふれあい公園ですね。子供が小さい時から遊びに行ったりもする場所です。
 最近では、上水流グラウンドかな。散歩に行くと、夕日が見えるのがいいですね。それから、前から読み聞かせによく行ってたのもありますが、高尾野図書館も好きです。

質問…この町のもっと良くなって欲しいところってありますか?

回答…もっと色んな色の、考えを持った人がいてもいいんだっていう感覚があったらいいなって思う。結束力は大事ですが、若い人がよそから帰ってきたり、新しく入ってきたりすると、そこに居心地の悪さを感じる人もいるような気がしますね。

質問…30年後にこの町にどんな風景が広がっていてほしいですか?

回答…自然な町並みを大切にしながら、もっと明るくなっていてくれるといいですね。海外の映画とかで、暖かい照明がぽんぽんぽんってあって、皆さんそこを散歩してたりとか、そういうのが自然になってるといいなと思うんです。
職場や街中に緑を取り戻して心の安定や、温暖化への対策を進める都市部の動きがありますが、地方の私たちは毎夏生い茂る緑の勢いのコントロールに悩まされます。そんなアンバランスもどうにかならないものかな、といつも考えてしまいます。

◀中学生にメッセージ▶

回答…今を大切に楽しんでもらいたい。そして、どんどん変わっていいと思うんです。今日言ってたことと、来年言っていることが違ってもいいんですよ。色んなものに触れて、色んな経験を通じて、良いことも悪いことも含め、自分の中で消化していければ、きっとそこに自分の軸ができてくるんじゃないかなと思うんです。
そして、やり続けること、そうすると手伝ってくれる人もでてくるし、失敗も含めて、今につながる。考えすぎて思いとどまるよりも、いろんな方法を考えて挑戦していって欲しいですね。

◀まとめ▶

今回のインタビューで感じたことは「思いやりの気持ち」です。
人の事を第一に思うというのはなかなか難しいことです。ですが、インタビューでは、山口さんご夫婦の「お客様のために、誰かのために」という真っ直ぐな思いやりの気持ちを強く感じました。そして、私達はまだまだ自分のことばかり考えていたんだと感じました。お二人の柔らかな表情や、雰囲気、素敵なオフィスがとても印象的でした。

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