studio fuku のデザインシート、始めます
studio fukuを始めた理由のひとつに「装うことの悩みや不便を解決したい」という思いがあります。世の中には、既成服があふれているのに、いまだに、既成服では「着づらい」「着心地がわるい」「必要なものがない」と困っているひとがいるからです。
既成服は、それぞれの作り手が設定したターゲットに向けて、着やすく着心地がよくなるように作られています。ということは、どんなに素敵な服でも、そのターゲットとあなたの体型や暮らし方、体の動かし方が違えば、「着にくく」「着心地が悪い」服になってしまうのです。
例えば、何かの理由で、車いすに座って暮らしたり、ベッドに寝て暮らしたり、体のどこかが動かしにくかったりすると服選びに苦労されることでしょう。作り手が想定する体型よりずっと小柄もしくは大柄だったり、左右に違いがあったりする場合も同様です。自分らしいおしゃれを楽しもうとすれば、なおさら、選択肢は狭まります。選択肢がひとつもないことだって、あるのです。
さて、服は何枚かの布を縫い合わせて構成されています。ですから、完成されたもので形を変えられないように見えますが、「開き」を作る、「ゆとりを増やす」などのリフォームを施すことができます。そうすれば「着やすく」「着心地のよい」服に生まれ変わります。また、別の設計(パターン)のアプローチから、もとのデザインに近いものを新たに製作することもできます。
ご家族やご友人に裁縫ができる方がいれば、すでにご家庭の中でそれぞれに試行錯誤をされているでしょう。またこのようなことに取り組まれた専門家もおられ、さまざまな論文や書籍などが発表されています。
もちろん、少なからず、高齢者や車いすをご利用されている方向けの衣服は市販されています。それらも有り難く素敵な服たちです。けれど、街で出会ったあの服を、頭に描いたあの服を、着てみたい!と思ったら...。
「リフォーム」や「オーダー」を活用する知恵をご存知でない方も、まだ多くいらっしゃいます。あるいは「リフォームすれば良いらしい」と聞いても、誰にどんなふうに依頼をすればよいのかわからずに一歩が踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。また相談された作り手の方も、お客様の暮らし方や体の動かし方などの背景が見えないままでは、自信をもって仕様の妥当性を判断することが難しいだろうと思います。いまも各地で同じ試行錯誤が繰り返されているのかもしれません。
そこで「リフォームやオーダーをしてみた」「おしゃれを楽しんだ」「新しい世界が広がった」という方の事例を集め、皆様にご紹介していこうと思いました。
表現を工夫すれば、「着るひと」と「作るひと」をつなぎ、リフォームやオーダーを円滑に進めるツールにもなり得る、とも考えました。
例えて言うなら、お料理のレシピのような。レシピがあれば、誰でも美味しいお料理を再現できるし、アレンジしやすくなりますよね。
お洋服を着やすく、着心地よくするためのレシピには、着るひとの困りごとやその背景、それを解決するアイディア、作るひとに必要な寸法などの情報がもれなく記載されていなければなりません。さらに、一般化できない個別のニーズやその人なりのおしゃれへの思いを整理できることも必要です。
まずは、仮の書式を製作し、studio fukuがこれまで製作してきたものを中心に整理しました。その上で、ご縁があって出会った方々にご意見を伺いながら、書式をブラッシュアップしてきました。
そうしてできたのが「studio fukuのデザインシート」です。
studio fuku では、オーダーやリフォームなどの業務を通じて、また「着るひと」「作るひと」へのインタビューを通じて、デザインシートを製作し、公表していく予定です。
そのなかにご自身の困りごとを解決できるようなアイディアがあったら、デザインシートをダウンロードしてください。そして、このシートにおしゃれへの思いを書き込んでみてください。それをオーダーやリフォームができる方に投げかけてみてください。もちろん、studio fukuへのご依頼もお待ちしております。
まだまだ数が少ないのですが、studio fukuの活動を通じて増やしていきます。楽しみにお待ちいただければと思います。もし、「私のやってみたことを載せて」という方がいらしたら、ぜひご連絡ください。
また、より使いやすいデザインシートへと進化させていきたいと考えています。使ってみたら、ぜひそのご経験をお聞かせください。着るひと、作るひと、どちらの側のご意見も大歓迎です。
(なお、これらのアイディアをより生活に取り入れやすいよう、可能な範囲で、
実物大パターンや既製品の販売にも繋げていきます。)
最後に、このような取り組みを始めることができたのは、オーダーをご依頼くださった方々、製作にあたり助言をくださった方々、ご自身の経験を惜しみなく教えてくださった方々のおかげです。心から感謝申し上げます。
教えていただいたこと、経験したことを未来に繋げていくことが、私の恩返しだと考えています。
ここからスタートします。どうぞよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?