自慢できるような恋愛遍歴など、持ってなかったけれど。

私は、彼氏が大好きだ。

だから、付き合っている。
と言うわけでもなく、お互いがお互いを思いやっているから付き合えているんだと思う。

「付き合ってるから突然お互いがお互いを好きなのは当たり前じゃないか」と思うかもしれないけれど、時々そんなことを考えるのだ。

「付き合う」って、当たり前じゃないと。

・・・

あまり言っちゃいけないことなのかもしれないけれど、周りの恋話を聞いて、「いいなぁ〜」と羨ましがったりすることは昔から少なかったと思う。羨ましさを出すのが良いことが悪いことかわからないけれど。

でも、「え、よくそんなんで付き合ってるね」と思うことは多かったし、相手に伝えたこともある。

仲のいい女友達が集まれば、だいたい恋だの愛だのを話すのが原因だろう。その中でも「惚気」は不幸話を盛り上げるスパイスで、おそらく「彼氏の悪口」というのは、言ってる人も聞いてる人も娯楽のように感じている気がする。

そして、彼女らは無意識のうちに「彼の嫌なところ」を言うことで周りの女を牽制し、「彼の深いところを知っている」優越感に浸り、さらには共感されることで昇華しているのだと気付いたのは、ここ2、3年だ。

もちろん私も、昇華している1人だった。

・・・

私は、今お付き合いしている人のように「好きーーー!毎日好き!!ラブ!!幸せーー!」となることはあまりなかったように思う。

だって私の恋愛遍歴は大体、楽しいなと思っていた友達の延長から始まり、付き合った瞬間冷め、そして色んな不安がつきまとい、勝手に想いは鎮火していたからだ。

それでも建前だとかで、なんだかんだ付き合い続け、周りから見たら気持ちの悪い恋愛を拗らせていた。それこそ、周りの友達に堂々と「付き合っている人がいるんです」と宣言することすらできない、そんな恋ばかり繰り返した。

たぶん、「付き合ってすぐに別れたらどうしよう」とか、「彼氏彼女の関係と言わない方が都合の良いこともあるな」とか、私のみっともないプライドが邪魔をしたのだと思う。

また、心の底から「相手を好きではなかった。」のが問題かもしれないし、どこかで私と相手を比べ「減点ポイント」をつけていたし、相手を見下すことで、自分の心を保っていた。

そう考えると、「あれ?これってなんだか、今の彼に出会って、ようやくヒトの心を取り戻した殺人マシーンのようだ…」と笑ってしまうけれど。

・・・

1人は好きだけど、孤独は嫌い。

そんなメンヘラ感を恥じていない私が確かにいて、「彼の悪口」を言うことで「可哀想」を切り売りして、昇華していた過去がある。

今は不満とか愚痴とか一切なく、「惚気ばかりでごめんね!」という気持ちでいっぱいなのだけど。

"惚気"って最高だと思わせてくれたのも彼だ。

私は今、同じBARで働くの女の子たちと話す「惚気」が、とても楽しくて、相手の惚気も「わ〜!!素敵だね!!」とか、良いことがあったんだー!という報告を聞けば、素直に「おめでとう!!」なんて言葉をかけあうほどなのだ。

数年前の私なら、「自慢おつかれ〜」とか「本当はうまくいってないからそんなこと言うんじゃないの?」とか勝手な裏読みをして、「不幸であれ」と願ってしまっていた。本当に申し訳ない。

それこそ、結婚の報告とかをSNSで見ても、「ふ〜ん、この人結婚したんだ」と余裕なフリをして、心の中では今の自分が置かれている状況と比べ、どこかで焦りを感じていた。しかし、それも今は「え〜!?ついに結婚したんだ〜!!すごい!結婚いいなぁ〜♪」なんて、私まで嬉しくなってしまうのだ。

・・・

そこで、悟った。

自分の恋愛が上手くいっていない人ほど、惚気話に水を差してきり、遠回しな嫌味を言うのだ。と。

これは、間違いない。昔の私もそんな感じだったのだから。

私は26歳と言うアラサーに踏み入れてから、理想的な「恋愛」をすることができて、幸せだ。もしかしたら、一生拗らせて終えていた可能性だってある。

もし、いつか終わりがきたとしても「素敵な恋愛だった」と胸を張れる恋をすることができたのが、いいことなのだ。

不幸な恋愛から、足を洗えて良かったと心の底から思う。


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[星野 カナタ]
お仕事中のドリンク代にさせていただきます。ちょっといい紅茶を買いたいです。