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私と織田信長公夫妻の、濃密な関係。

先日、ようやく木村拓哉主演の「レジェンドアンドバタフライ」を観てきました、雲州はとむです。今回は幼い頃から特別な戦国武将だった信長公と、その妻だった帰蝶姫の語りをします。余りにもこの夫婦に思い入れが強過ぎて、なかなか書きだせなかった!

昔にテレビドラマでキムタクが演じた信長は、尻切れトンボだったし コミカルさが出過ぎていて楽しめなかったので、今回は大友組作品としても 期待している。 しかし、きっと私のベスト木村拓哉「グッドラック!」は越えられないだろうなあ。 彼が、主人公にして押さえ役だった、井上由美子の本当に素晴らしい作品だった。

↑これが、映画鑑賞前の私の予想。既に不安が覗いてますね。そして、鑑賞後のメモが以下。


誕生日月なので映画館から安くなる電子クーポンが届き、子供の頃から信長濃姫夫婦の熱烈なファンである私は、まあ「所詮、キムタク映画」に、そんなに期待せず観に行った。すっかりご無沙汰の新宿バルト9は、トイレもロビーもかなり古く、平成の名残に汚れていた。



見事な姫夜叉だった綾瀬はるか。


正直、「るろうに剣心」の足元にも及ばない雑な内容と変わり映えしない「信長の生涯」を語った脚本で、大友啓介監督の情熱とパワー不足なのか、木村拓哉を余りにも強引に前面出しした感が拭えない。

これは既に「綾瀬はるか主演」と断言しても良い、ほぼ彼女の独断場。

「八重の桜」で一年間ハードな撮影に揉まれてた演技派は、更に進化していて、
台詞の一つ一つの発音も情熱的。殺陣や武闘アクションも美しく、見事な物だった。



水色の明智光秀カラーが、よく似合う!

綾瀬はるかと、美しき若手の競演!!


脇を固める若手も、狂乱の美丈夫ディランっぷりでストーリーを掻き回す宮沢氷魚が、183cmの長身と色白の明智光秀としてとにかく厚い存在感を安定させている。そして、松たか子の甥である市川染五郎の森蘭丸には「鎌倉殿の13人」ほどのインパクト強いシーンもなく、本当に勿体なさ過ぎ!!!

それから、舞台になった滋賀県出身という伊藤英明も、「麒麟がくる」に続いて濃姫に身近な、一途なまでの純愛を貫く不器用な家臣がよく似合っている。
熱烈な仮面ライダーファンの彼は、プレミアムバンダイ会員であり、映画「仮面ライダーゼロワン」にもラスボス出演しているけど、加齢して年々良い空気の助演男優になる気風を感じた。



そしてまさかの斉藤工、大変貌の徳川家康!!ここから彼がどう天下取りをするか、むしろそっちが観たかった!!「シン・ウルトラマン」からずっと、演じながら楽しんでるよな〜!

ネットでも宮沢氷魚や市川染五郎をほぼ知らない、昭和SMAPファンがひたすら褒めてる映画、という印象が拭えない。彼女達はいつもヒステリックに、あの解散劇についてSNSでジャニーズ事務所や、彼らを利用していた業界を責め続けている。もうあれから数年経過していても、怒りや絶望を忘れない呪いのように。





自分と同い年の木村拓哉。


私は木村拓哉と中居正広とは同い年で、熱狂する同世代を常に冷静に、遠くからSMAPを眺めてきた。ビストロSMAPの貴重な海外ゲストとのやり取りや、英国のバンドコールドプレイを好きになったのもあの番組の影響だ。

SMAPの楽曲はどれも好きだし、まだメンバーが六人だった頃のベストアルバムを一枚持っている。草彅剛の「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「極道ヘルパー」なども好きで毎週観ていたし、東北震災ドラマ「ペペロンチーノ」「蒼天を衝け」の徳川慶喜役も素晴らしかった。




新海君が、最初は反発していた香田キャプテンの生き様に心酔していく。


また、尊敬する脚本家井上由美子が書いた「good luck!」は、私の中でまごう事なき「ザ・ベストオブベストキムタクドラマ」であると同時に、堤真一やいかりや長助、柴咲コウの代表作品。山下達郎の主題歌は何度聴いても、魂が震え熱くなる。


ブックオフでやっと手に入れた、DVD BOX!


これが「東映創立七十周年記念作品」とは、余りにもお粗末だし貧相。お金はとにかく膨大にかけてるが、興行収入は絶対に50億円には届かないだろう。
「るろ剣」の公開時と比較して、全然作品から伝わる熱気が無い。大友監督「剣心ビギニング」で魂を使い切ったのか?

二人の初キスからのゴロコロシーンは好きだったんだけどなあああ!!!
キムタクの「俺が食われてる!?」なビックリ顔良かった……。



衣装は流石にお金かけてた。「麒麟が来る」の黒澤デザインには及ばないけど。


脚本家と監督がキムタクをガンガン前面に押し出そうとしてるんだけど、どーにも頭の悪い田舎のヤンキーリーダーが、暗殺と策略お手のものの綺麗な女房に頭の中身も品位も全然及ばずツンデレしていて、結局最後まで信長が知略を披露することもなく、何が理由であそこまで精神を病んでしまったのか、深く繊細な描写は無い。

「愛する女の子供が死産だったから」とか、「義弟に裏切られて傷ついた」とか、彼が暴虐王になる何らかの流れをつければ納得したし、「麒麟がくる」「信長のスマホ」みたく母親からのネグレクトがNHKのように語られてたら、彼の気持ちもきちんと理解できたんだけど。


蘭丸と肉体関係があった描写も無かったな。


そして突然出てくる「第六天魔王」……。意味を理解して言ってるのか……。バチカン法王との手紙の中で、信長公があくまで洒落として書き残した、ネットミーム的なネタなんだけど……。

あそこで何の脈絡もなく「我、第六天魔王!」ってイキってると、「尊王攘夷!攘夷!天誅!」って無学に人斬りしてた幕末のチンピラみたい。


ライバルは「鬼滅の刃」「slam dank」「コナン」!


そもそも何より、なんで鬼滅とスラダン、コナンの中公開中ににこれを持ってきたのか!キムタクがあんまりにも可哀想過ぎる。





衝撃的な、役所広司の織田信長との出会い!!


さて、ここから私と織田信長の長い長い因縁について語る。

幼稚園の頃に「大河ドラマ、徳川家康」にて、まだブレイク前の役所広司演じた姿に魂を奪われて 、それ以来私の「信長濃姫夫婦」を追いかけるファン人生がスタート。「日本史マンガ、織田信長」の本はボロボロになりながらも、私の創作者としての原型を形成した大切なバイブル。


惚れ惚れしますわ!


とにかく役所広司の演じる信長は、私が生きてきた50年の中でダントツの輝きを放っていた。それまでの信長役をキャスティングされた俳優は、誰もが昭和映像史に並び立つ大御所。よく言えば超大物スター、悪く言えば親近感や生活感とは程遠いばかり。

「徳川家康」の中で、滝田栄の家康の兄貴分として登場した役所広司「吉法師」は、とにかくワイルドな美丈夫。面長でスラリとした打刀を思わせる立ち姿に、不良高校生を彷彿とさせる崩れたファッションにも、彼のセンスの良さを感じる。粗野な外見なのに、言葉の端々に潜む落ち着いたインテリジェンス。


バリトンの声も、本当に非の打ち所がない織田信長!


そして何よりも、幼い竹千代の姿を母親役の大竹しのぶに笹藪から見せてあげるという粋な心意気、その情の深さに幼かった私はなすすべもなく平伏したのだ。まさに役所広司の織田信長は、私にとって「レジェンド」「王」その人であった。



笹影の中で、久しぶりに竹千代を見守る母親「於大(大竹しのぶ)」と距離を取り、今川との人質交換に出される竹千代と語り合う吉法師。

「竹千代、そなたは母上を覚えておるか」
「……、何も思い出せぬ。もうお会いできぬしな」
「そうか。もし会えたら、何か伝えたい事はあるか」
「ただ、お元気でいてくだされば。それだけで良い」

大河ドラマ「徳川家康」より。


これだけでも、どれほど信長が竹千代を可愛いがって不憫に思っていたか伝わる。そして彼の深い優しさが伝わる見事なシーン。


正妻、濃姫への真っ直ぐで朴訥な愛!!


そしてまた役所信長には、正妻濃姫への繊細な思いやりと不器用な恋をする少年の顔が共存する。

日本史を代表する「政略結婚夫婦」の信長夫妻。放送当時にはまだ「帰蝶」と言う名前は知られていなかった。緒方直人の信長から定着したはず。いまだに濃姫には謎が多い。

美濃にて、道三の息子龍興が反逆。下剋上で元上司から略奪した妻の子だった龍興は、濃姫とは異父兄妹。「美濃のマムシ」と恐れられた道三は、娘婿である信長に迷惑をかける前に、戦死しようとする。

愛する父親の危機にひたすら祈る濃姫に「俺が親父殿を助ける。ここで祈っておれ」と妻を励ます信長。しかし道三は助けられず、影で泣き嘆く濃姫に言葉を掛けられず、静かに美濃奪還を誓う。


また一方では長く子供が宿らない濃姫を訪れ、努めて明るく話す場面。


「側室を迎えることにした!」
「作用でございますか。なれば支度を整えねばなりませんな」
「ほう、泣かぬのか」
「泣きませぬ!それどころではございません!」


夫が長い廊下を去っていくと、背中の向こうに響く気丈な妻の号泣。一瞬、部屋に戻りかけるも、数秒堪えて本殿に帰っていく信長。この短い場面で、いかに夫婦が思い合っていたか、絆深さ故の誰のせいでもない残酷な哀しみが満ち溢れる。


伝説!役所広司の本能寺!


信長公の死と濃姫の最期については多々違う諸説があり、昭和の多くの時代劇では、夫婦が共に二人で死亡するシチュエーションが定説だった。役所広司の信長も本能寺にて歴史に残る圧巻の敦盛を舞うが、その前に濃姫との今生の別れが。

明智光秀の従姉妹である濃姫は、夫に逃げろと命令されるも薙刀を持って応戦。だが押し寄せる明智軍についに致命傷を負わされ、政略結婚で結ばれた最愛の男と視線を重ねて絶命。彼女の勇姿を看取った信長は、奥の間に進み炎の中で切腹。髪一本も残さない見事な魔王の終焉。私の幼心に永遠の傷を刻み、夫婦は天に昇った。



小栗旬の二役と、憎悪の秀吉役、山田孝之がとにかく凄い!!


小栗旬×柴咲コウの「信長協奏曲」!!


TBSが漫画原作を実写化した、まさに「革命的な、織田信長ストーリー」

平成の高校生が戦国時代にタイムスリップ。自分と瓜二つの病弱で臆病な織田信長に代わり、「平和主義」を掲げて日本を平定させようと奮闘する。
政略結婚の妻である帰蝶との純愛、部下達との友情、敵将浅井長政との哀しき友誼が鮮烈に描写され高視聴率を叩き出し、ラストは映画化。



二人の、時空を超越した純愛が切なく愛しい。」


小栗旬&柴咲コウのタッグ「信長協奏曲」はドラマとアニメのBlu-rayBOXを購入。横山光輝版のコミックスも買い揃え、そして「麒麟がくる」は毎回高画質録画を続け、大河ドラマは歴代信長夫婦の場面のみ必ず録画している。



宮野真守、中村悠一、水樹奈々など、超大人気スター声優が勢揃いのアニメ版!


眼鏡仕様の織田信長!



男性の帰蝶、ジェンダーの先駆けアニメ「胡蝶綺」!



男子でありながら心は女性。声優も女性。


こちらは、令和のセクシュアリティをまさに体現した織田信長と帰蝶姫。なんと、美濃から嫁いできたのは「少女の心を持つ、暗殺忍びの少年!」

尾張の織田家を乗っ取るべく差し伸べられた刺客、帰蝶は同三の実子でありつつ、忍者という設定。幼い頃から数々の汚れ仕事に使われてきた帰蝶は、自分を女性として大切に愛してくれる信長に心を奪われる。


ボブカットがめちゃくちゃ似合う帰蝶!



しかし、夜を共にしても子供を残せない身として彼の元を去り、妻子を得た信長の前に、再び一人の武将として戻って来た。天才アニメーター中島敦子の、美麗な作画が輝く!


愛する信長の影に控え、命を捧げる。



四十路俳優が、若手を支え育てる時代。


「レジェバタ」を観ると、山本耕史や小栗旬、山田孝之、岡田准一がちゃんと若手育成してるのが凄くよく分かる。自分は四十路になったからセンターを自ら退いて、まだ未熟な後輩を影で支えベテランと若手の中間に立ち、作品の流れを綺麗に撹拌させている。自分がいなくなった後の業界の未来を考えてる。

もう、中年スター一人がセンターを支配する時代は終わったのだ。


懐かしい、「銀魂、新撰組動乱編」公開時の写真。


「俳優としてやりたいことがあっても、どうしたらいいのか方向性がまだ見えない」と言った山田裕貴に、山田孝之が「俺らがまず道を作るから、最初はそこを歩けばいいよ」と。小栗旬も山本耕史も、佐藤浩一や中井貴一、三谷幸喜らが作った道を歩いて大人になったから。それを後継させようとしている。




何故、スラダン&鬼滅と公開日を被せたのか……


この化け物アニメと並べると考える企画自体が、もう厳しい。まさか勝てるとでも思ってたのか?いくらなんでも、そんな愚鈍じゃないよね、製作も。

もうね、ぶっちゃけ若さが無いの!映画に!!




「るろうに剣心」なんて佐藤健、藤原竜也、神木隆之介、青木崇高、伊勢谷友介のエネルギーが爆発してたのに!!福山雅治や田中民、江口洋介が死ぬほど格好良くて痺れまくったもんよ!!!エンドロールが流れる頃には「ブルーレイを予約しよう」と決めてた!




「レジェンド&バタフライ」に圧倒的に不足していたのは、「呼吸も忘れる殺陣」「従来の織田信長像を壊す勇気」と、「信長夫婦への、製作者の絶対的な愛」だった。



狂人であると同時に、味方にはとことん愛情深く優しい織田信長。


「麒麟がくる」の信長夫婦が、逸脱していた理由。


急遽、帰蝶姫が川口春奈に交代した大河ドラマ、「麒麟がくる」で描写された信長夫婦は、おそらく令和を代表するキャラクターとして長く語り継がれるだろう。


衣装も、三十年で成長する二人を鮮やかに表現。


理由としてはまず、俳優としての二人の若さ。まだ何のキャリアにも染まりきっていない新鮮さが良かった。



夫の為に、実父を上回る聡明さで戦国を仕切る!


そして染谷将太信長の母に拒絶された少年が、妻から母の愛と承認欲求を満たされて、彼女の為に美濃を奪還し彼女や帝に褒められる喜びで邁進していく狂気。自分が得られなかった母の愛情を独占した弟を毒殺、そしてまた、早くに失った父親の影を、斉藤道三や明智光秀に求めていく純粋な幼児性。


妻の活躍が嬉しくて、はしゃぐ信長!


時代劇未体験の川口春奈が、若く瑞々しい清純溢れる帰蝶姫でありながら、夫信長をプロデュース。衣装や舞台設定、軍資金調達に加えて血の繋がらない後継の育成。完璧なる「影の女帝」として君臨していた。

ちなみに本日2月10日は、私と川口春奈の誕生日である!



「反面教師二次創作」として、レジェバタを観る。


友人とも話したけど、総括として「自分なら絶対こうはしない展開」「もっと脇役上手く使いこなす」反面教師的な映画として記憶しておくのがいいかと。

滋賀県はキムタク効果でお金も入ったようだし、信長聖地巡礼ツアーに行く人も増えたんじゃないかな。


誕生日にめちゃくちゃ長いレビューをあげてしまった。ここまで読んで頂き、ありがとうございます。さて、「グッドラック」でも見返すか〜。



こちら、私の生涯で最高の「マムシ、斉藤道三」!!

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マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを……。