土坑

考古学、読書、カフェ巡り、温泉巡りが趣味です。

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マガジン

  • 気ままの作品集

    自分が思うままに、ただただ頭に浮かんだ物語を文字化している作品集。自由律の中の自由律。後悔させること間違いなし。

  • ツナグ

    • 11本

    未来があると思いきや、やっぱり無いのではないかと問答し、やっぱりあるんじゃないかなと思ったりする五人のクリエイターによる共同作品。

  • 恋文

    僕と彼女が歩んできた軌跡を綴ってます。

最近の記事

#31 ショートショート

題名:【不良品】 ※描写が過激な部分があるため、不快に感じる部分があるかもしれません。 不快に感じた場合には、すぐ読むのを止めてください。 ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ 何で僕が選ばれたのだろう。 何で僕じゃなきゃダメだったのだろう。 何で、何で...? 僕以外にも、たくさんの候補がいた。 その中に、もっとこの世にふさわしい人がいたはずだ。 なのに...。 どうして...? 何で僕が選ばれたの? ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸

    • #30 ショートショート

      題名:【MVO】 とある会場にて、大きな催しが開催されようとしていた。梅雨でジメジメした空気を更に加速させるかの如く、そこの会場からは溢れんばかりの熱気が込み上げられていた。 司会者:「さ〜皆さん!お待たせ致しました! 待ちに待ったこの企画がとうとうベールを脱ぎます!おっと、そこのお客さんズボンまで脱いだらいけません! この場では下半身の起立だけは許容しますが、行為にまで発展してはいけないのがルールです! 皆さん呉々もご注意を。 話が寄り道をした所で、改めて今回の企画

      • #29 ショートショート

        題名:【とある日の暮夜】 「私たちがあと数時間しか生きられないとしたら、拓海は何をする?」 唐突に、僕の彼女である遥香が声をかけてきた。 「何だよ突然。」 「いいから答えて。」 「数時間って漠然としすぎてイメージがわかないな。」 「そうね...。 じゃあ1時間にしましょう。」 「1時間で2人とも死ぬとしたら何をするかってことか?」 「ええ。でも、この時間が少なくなれば少なくなるだけいいの。」 「どういう意味だよ。」 「いや...。ごめんなさい。今のは忘

        • #28 ショートショート

          題名:【鴨ねぎ】 通学路に花束が置かれていた。 不思議に思い、その周辺をよく見ると、花束の近くのコンクリートの一部が赤黒く変色していた。 赤黒い滲みと花束は不釣り合いにも思われるが...。 何でこんな所に花束なんか置いてんだろう...。 この2つが奏でる音は、どう考えても不協和音だけど、でもどこかその奥には調和が見える気もする。 花束以外にこの赤黒い色に合う物って何だろう...? ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ よく通うコンビニエンスストアに入る。

        #31 ショートショート

        マガジン

        • 気ままの作品集
          7本
        • ツナグ
          11本
        • 恋文
          5本

        記事

          #27 ショートショート

          題名:【魅惑な世界】 私を「性への探求」へ誘ったのは1つのスマートフォンだった。 高校時代は、スマートフォンをあまり使う気になれなかった。友人もおらずSNSはやっていないし、YouTubeなどでも毎日違う人が同じ商品をレビューしている退屈な動画に興味を惹かれず、唯一好きなアニメも音声加工が施されたいるアニメが多く見る気になれなかった。そのため、私がスマートフォンを使う時は両親との連絡手段という淡白な用途のみであった。 哀愁漂う悲愴的な私の生活の中に一種の光が現れ

          #27 ショートショート

          #26 ショートショート

          題名: 【陽炎】 8月上旬。 太陽がギラギラと頭上を照らしている。 アパートの玄関から外へ出た僕の身体からは、一瞬で汗が吹き出した。 汗が身体を伝っていくのを感じながら、僕は太陽をみる。 太陽が放つ白い光が歪む。 まるでゴッホの絵画のように。 「今日も暑いな...。」 そう心の中で呟くと、近所のコンビニへと向かう為に視線を戻す。 1歩目を踏み出す前に、不意に足元へ目をやる。すると、セミの死骸が僕のアパートの玄関の前にいた。 仰向けに倒れ、胸部・腹部は白くなっている。

          #26 ショートショート

          #25 ショートショート

          題名:【 愚挙な狐 】 2月下旬。 この日はいつにも増して寒い。外は暴風で轟々と吹き荒れ、大粒の雪たちがその風に乗り僕へ向かってくる。 目も開けられない程の吹雪の中、僕はアルコールで頬を紅潮させながら帰路に就いていた。 先程の事を思い返しながら、今の状況を整理してみる。 日付は確か超えている。すれ違う通行人もいない。ここに居るのは、大粒の雪と激しい風と僕、そして漆黒の闇のみである。 「なるほど。これは神からの制裁かもな。」 そう思うと、急に雪に重みを感じた。 まるで

          #25 ショートショート

          #24 恋文⑤

          恋文④はこちら。 ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ 長々とこれまでの事を書いてきましたが、貴方との時間は本当に貴重でした。 初めて行った旅行の京都では、公共機関の乗り継ぎの複雑さを学びました。 読書をしなかった僕は、貴方のおかげで本が持つ魅力について学びました。 料理が好きな貴方は、食べたいものを言うとほとんど作ってくれます。家庭ではお店の料理とは違う何か特別な温かさがあることを学びました。 散歩中に突然じゃがりこみ、何を見ているのか見てみると蟻や

          #24 恋文⑤

          #23 恋文④

          恋文③はこちら ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ 貴方と付き合って半年。 僕の誕生日が来ました。 貴方は僕の体調が良くなるようにと、パワーストーンを用いた数珠風のブレスレットをくれましたね。 2人で地元の有名な温泉街へ行って買いに行きました。 値段は気にしなくていいから、○○が気に入ったやつにしてね。 でも、健康・病状回復があるやつだよ! と言っていましたね。 買ってもらったブレスレットは、ほとんど毎日、身に着けるようにしています。 時計やア

          #23 恋文④

          #22 恋文③

          恋文②はこちら ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ 僕にとって、この日はかけがえのない日です。 2017/12/9 重ねるデートの度に僕は君に惹かれていきました。 いつか告白をする。 そのように考えながらも、無常に時間だけが過ぎていきました。 なかなか決心が着かない中、彼女の家に遊びに行く約束をしました。 この日に告白する。 そう心の中に決めました。 その予定日は12月8日。 当日は、学科内の総会がある日でした。 この地域独特の身が凍る程の強

          #22 恋文③

          #21 恋文②

          恋文①はこちら ⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸ 貴方との初デート以降、どうにかしてでも貴方と会いたかった。 寝ても醒めてもあなたの笑顔が頭の中にいました。 それでも、上手い口実が見つからないまま数日がたったある日、大学の東門から出て、スーパーへ向かう途中で彼女を見つけました。 どうにかしてでも会いたかった自分は、スーパーに行く用事をやめ、彼女が来るのを待ち伏せしました。 「あっ、奇遇じゃね!お疲れ様!」 奇遇でも何でもない。こういう時には平気

          #21 恋文②

          #20 恋文①

          拝啓 僕達が出会った時のこと覚えてますか? 初めて2人が話したのは11月の終わり頃だったと思います。 当時の僕は、体調が非常に悪く大学を休学しようか本気で迷っていました。 そこで相談に乗ってくれていたのが貴方でしたね。 非常に優しく、親身になって相談に乗ってくれて非常に嬉しかったのと同時にあなたの声を聞いているだけで自分の悲観的な気持ちが浄化されていくような気持ちがしました。 この時からもっと貴方に逢いたい。声が聞きたい。そんな風に思うようになりました。 最

          #20 恋文①

          #19 記念日

          記念日。 今の彼女と付き合って、自分の記念日に対する意識が変わった。 今日はそんなお話。 ■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪ 今の彼女と付き合うまで、4人の方とお付き合いした。 最初に付き合った彼女は、恋愛という概念を知りたてで、付き合うことの意味が分からなかった中学生の時だった。 まるで、初めて買って貰った自分用のスマートフォンを手にしたような感情といえばわかりやすいだろうか? 彼女という存在を保有していることだけで、他人よりも優越感に浸れる。一方で、

          #19 記念日

          ♭8 下克上

          先にこちらをお読みください。 ■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪ デスクに戻った私は憔悴していた。 牧田さんが社長のことを好きだなんて...。 私は29年間の人生の中で、このように人を愛するという泥沼にハマったことがなかった。 何故なら、カップルという存在は汚物と同等だと考えていたからだ。 カップルを見る度に、 「アイツらは、自分に酔っているだけだ! 互いにそれぞれ違う人生を歩んできた2人の人間が同じ価値観を持つなんてことがあるわけ無い

          ♭8 下克上

          #18 手嶋葵さん

          私は最近、手嶋葵さんの曲にハマっている。 「明日への手紙」や「テルーの唄」、「The Rose」などを好んで聴いている。 彼女の何に惹かれるのかというと、彼女のそっと囁くような柔らかい歌声にである。まるで膝枕をしてもらいながら、耳元で歌って貰っているような心地になり、非常に落ち着く。 この夢心地は、どこか母親の中にいた胎児の頃にも聴いたことがあるようにも思える。 この気持ちはなんだろうか。 全く、音楽的知識がないため専門的な分析はできない。しかし、彼女の歌声を聴いて

          #18 手嶋葵さん

          ♭3恋敵

          ※先にこちらをお読みください■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪ 私は、港区にオフィスを構える会社に入社し、10年目を迎えた29歳である。29歳の若さで幹部にまで昇進した。 高校を卒業して直ぐに、社会の荒波に揉まれる道へと進んだ私は、セグウェイを社内で移動手段として採用している頭のネジが1本抜けた社長の元で働いている。 風変わりな社長を印象付けるエピソードを紹介しよう。私たちの会社の決まり事として以下のものがある。 「掃除は議論の敵だ。日頃の汚れの蓄積

          ♭3恋敵