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#27 ショートショート

題名:【魅惑な世界】

私を「性への探求」へ誘ったのは1つのスマートフォンだった。

高校時代は、スマートフォンをあまり使う気になれなかった。友人もおらずSNSはやっていないし、YouTubeなどでも毎日違う人が同じ商品をレビューしている退屈な動画に興味を惹かれず、唯一好きなアニメも音声加工が施されたいるアニメが多く見る気になれなかった。そのため、私がスマートフォンを使う時は両親との連絡手段という淡白な用途のみであった。

哀愁漂う悲愴的な私の生活の中に一種の光が現れたのは高校卒業後であった。今思い返すと、あれは惨めに思った神が私への慰めとしてあの幸福を譲渡してくれたのであろう。

卒業祝いと大学入学祝いを兼ねてスマートフォンの機種変更を行いに近所の携帯電話会社へ訪れた時だった。
長ったらしい説明を無関心に聞いていると1つの説明欄に目が止まった。そこには『インターネットへのアクセスを制限をする』と書いてあった。
よくその欄を読んでみると「未成年にとって、生育・教育上、その妨げとなる不適切な内容を含むものにはアクセス権限を設ける」という事らしかった。
確かにアクセスできないサイトは幾らかあったが、それは運営側が消去しているかメンテナンスを行っている為だとばかり思っていた。

この時からだと思う。
私はここに無限の可能性を感じたのだ。
私の性への歯車が徐々に加速していく感じが体内で蔓延していくのを感じた。
夏場の汗だくの炎天下で飲んだ水が体内に入っていくような感覚。
タバコの煙が体内を蠢くあの感覚。
脳が痺れ、電撃をくらったかのように目の前が真っ白になった。
少し頭痛もした。

その説明欄の箇所だけを凝視していると、父親がそのサービスの不要に✓を入れた。

なぜ私を成人と判断した?
なぜアクセス制限をかけてくれなかった?
なぜ早くこの世界を教えてくれなかった?
様々な思考が脳内を駆け巡る。

私はこの瞬間から性への探求が始まった。

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契約が済み、家に帰ると早速 Googleを開いた。


手足が痺れる。
ここまでは、従来でもいけた。
適当に上にあるサイトをタップする。
アクセス制限がされていない。

そこに映ったのは女性の群れだった。
静止画ではあるが、様々な容姿をした女性がこちらを見ている。

動悸が早まる中、1番上にある動画をタップする。

すると不穏な音と共に
「We have a gift for you♡」
という外国人女性の声が聞こえた。

ものの数秒で果てた。。

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大学入学までの数週間は、久しぶりに餌にありつけた野獣の如く、エロ動画で自己研磨する毎日を送った。

朝2回、昼、夕方、夜2回と思春期を取り返すが為に、自己研磨に耽った。

悲愴的な生活に光が射していた。

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大学へ入学すると、サークルや部活の勧誘でごった返していた。
ひしめき合っている学生たちの光景に嫌気を指し、授業以外には大学へ行かないことにした。

サークル勧誘が徐々に終息していた4月の下旬、いつも通り授業終わりのキャンパスをアパートへ向かって一人で歩いていると、一人の男性に声をかけられた。

「君! これをあげよう。」

その男が持っていたのはフランクフルトだった。
私は無意識のうちに

「大きい...。」

と言っていた。

するとその男は目を輝かせながら、私の両肩を掴み、
「君は素質がある!! いや〜大したもんだ!!
一般人だと見知らぬ人にいきなりフランクフルトを渡されると怖くて逃げるか、不審がられる。
しかし、君は違った!!
返し刀で「大きい」⠀はセンスがある!!
君をスカウトしたい!!是非うちの学会へ来てくれ!!」

そういうと彼は、1枚の案内紙を渡した。
それを見ると、そこには【全日本下ネタ学会】と記載されていた。


#ショートショート #大学生 #性 #前に適当に書いたやつを先程発見 #小説

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