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#22 恋文③
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僕にとって、この日はかけがえのない日です。
2017/12/9
重ねるデートの度に僕は君に惹かれていきました。
いつか告白をする。
そのように考えながらも、無常に時間だけが過ぎていきました。
なかなか決心が着かない中、彼女の家に遊びに行く約束をしました。
この日に告白する。
そう心の中に決めました。
その予定日は12月8日。
当日は、学科内の総会がある日でした。
この地域独特の身が凍る程の強い風が吹く中で、雪が混じっていたのを覚えています。
総会が終わるとみんなに見られないように、2人で大学の東門を出てすぐにあったスーパーで買い物に行きましたね。
行く道中も、「寒いね」と言いながら2人並んで歩きました。
その時、貴方の手と僕の手が歩を進める度に軽く触れました。
軽く手が当たるだけで僕は非常に緊張しました。
まるで、マッチ棒をマッチ箱の側面に軽く擦り付けているような感覚。
マッチのように、僕達の指先が化学反応を起こし、そこだけに目に見えない炎があるかのように暖かったのを覚えています。
その日は、2人で鍋を作って食べることにしたね。
あっという間に過ぎていく時間。
楽しい時間。
2人だけの時間。
気がつけば日付が変わっていました。
僕は、なかなか貴方に告白が出来ませんでした。
とても緊張していたんです。
今日は諦めようと思い、遅くなるから帰ろうかと思い外を見てみると雪から雨に変わっていました。
雨は憂鬱な気分になるし、やりたいこともできなくなるから大嫌いでした。
でも、その時の雨には非常に感謝しています。
雨が僕達を引き止めてくれている。
雨が僕に告白をするよう促している。
そのように思いました。
僕達が一緒にいられる口実を神様が作ってくれました。
寒いねと言いながら2人でこたつの中に入っていました。
手が軽く触れるだけで緊張していたのが、今は互いの側部が当たっている。
お互いが気まずい沈黙の時もあったね。
でも僕には喉元まで出ている告白の言葉が出なかった。
すると貴方は私に向かって言ってくれましたね。
「好きって言ったら困る...?」
あの時僕はなんて言葉を返していたでしょうか。
あの時僕はどんな表情を浮かべていたでしょうか?
変な行動をとったり、態度はおかしくなかったでしょうか?
頭が真っ白になり、その時の記憶はあまり覚えていません。
でも確かに言えること、それは、
僕達はこの日に付き合い始めました。
Date:2017/12/9
p.s. 呼び名には「くん」が取れました。
続く。
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