バスもパトカーもぶっ壊す!「製作費?細かい事言うな!」なハイカロリームービー【いつかギラギラする日】 名画座スプークス #2
皆さま、こんにちは!
名画座スプークス従業員の伊藤です。
このコーナーでは、私の好きな映画をご紹介させて頂きまして、
少しでも、「今日何観ようかな?」のお手伝いをさせて頂ければと思っておりますので、本日もよろしくお願い致します!
それでは、第二回目となる今回ご紹介するタイトルは、1992年の邦画作品【いつかギラギラする日】でございます。
タイトルからエネルギッシュなニオイがぷんぷんしませんか?
▼視聴はこちらから。
実際に、かなりあぶらテッカテカな、濃厚な作品になっております。
それもそのはず、監督は深作欣二。
主演は、おじさんギャング役にショーケンこと、萩原健一。
ショーケンの彼女役に、多岐川裕美。
おじさんギャング仲間に、千葉真一と石橋蓮司。
おじさんギャングの敵役で、若者ギャング役で木村一八。
ぷっつん女役で荻野目慶子という配役です。
…ぷっつん女に関しましては、後ほど記述いたします。
…まず、私よりも同年代かそれより上の方は、深作欣二、ショーケン、その他の方をよくご存じかと思いますが、若い方はあまり知らないですよね?
超、超簡単に説明しますと、
・深作欣二監督
バイオレンス描写が最高で、タランティーノ等の海外の監督からもリスペクトされるレジェンド。
・萩原健一(ショーケン)
昭和を代表する大スター。この時代に高田延彦が「男の中の男出てこいやー!」といったら、リングにショーケン出てきてしまうんじゃないかくらい、男としてカッコいいです。
・千葉真一
アクション大スター。海外では「サニー ちば」で活躍し、タランティーノの「キル・ビル」にも出ていましたね。息子さんには、今をトキメク新田真剣佑、眞栄田郷敦のお二人がいらっしゃいます。
・木村一八
伝説の漫才師・横山やすしのお子さんです。
ミポリンとの「毎度おさわがせします」は、私が子供の頃にテレビで放送しておりました。今では考えられないエッチな描写に、私もいろいろとおさわがせさせられておりました。
・荻野目慶子
最近「バブリー・ダンス」で使用された「ダンシング・ヒーロー」で再ブレイクした荻野目洋子のお姉さん。
この配役だけでも、とんでもない高カロリーですが、それ以外のキャラクターもこれでもかというほどの配役です。
そこは作品でチェック頂いて、まずはざっと作品の紹介をさせて頂きます。
この作品は今からもう約30年前の作品になります。
当時中学生の私は、金曜ロードショーの新作映画紹介でこの作品を知りました。
タイトルと紹介映像がかなりのインパクトで、30年経った今でも当時の記憶は残っております。
あらすじは、おじさんギャングと若者ギャングが力を合わせて現金輸送車を襲います。
…前回のベイビードライバーも強盗団の話でしたが、今回も強盗団ですね。
決して、私は強盗団員になりたいわけではございません!たまたま似た内容の作品が重なっただけですのでご安心ください!
(団員になれるなら、私はHUNTER×HUNTERの幻影旅団の団員になりたいです)
現金輸送車を無事?襲撃完了しますが、そこからおじさんギャングと、若者ギャングが仲間割れ。
生き残るのは?金の行方は?というのが、大きなあらすじです。
ストーリー自体は単純ですが、品行方正やコンプライアンス等で優等生的な現在の日本映画の雰囲気が30年前の日本映画には、まったくありません!
特にこの作品は、深作欣二監督が力を入れていただけあって、イケイケドンドンなんです。
「映画の予算いくら?…え?3億円?それじゃ、パトカーをたくさん壊せないじゃ~ん。観光バスも壊したいじゃ~ん!!」
という事で、結果約11億円の制作費が掛かってしまって、いろんな偉い方々が大変な思いをした作品でもあります。
今、アナタ!(だったら、パトカー壊す必要なくない?)(観光バス使わなきゃよくない?)とか思ったでしょう!!
…うん……確かに、そうかもしれません。
いや、でも違うんです!そのパトカー、観光バスを壊したいと思うエネルギーが、役者さんの演技、脚本のセリフにもつながるんです!だから必要なんですよ。
木村一八さん演じる若者ギャングは、常にロックンロールを求めている金髪リーゼントのギャングなのですが、
おじさんギャングと命の取り合いになった際にダイナマイトを投げ込むシーンがあって、その時のセリフが、
「ドッカーンだぜ!まったくよー!」です。
「ドッカーンだぜ!まったくよー!」ですよ。
・・・痺れるセリフですよね。
もし急に、「はい、皆さん!ダイナマイト投げてください!はいはい、投げて下さい!!そして、投げながら一言いってください!!」
と言われても、このセリフをひねり出すのは、なかなか難しいと思うんですよね。
私が思うに、ベジータであれば若干出てきそうではありますが、やはりなかなか難しいかなと。
このセリフも、パトカー破壊エネルギー精神からくる賜物だと思います。
常に、そういうセリフ回しや、今の日本映画ではなかなか見られない、ある種大味なアクション満載の作品です。
そんな全てがとっ散らかってしまうような中 ショーケン、萩原健一さんのカッコ良さが一本芯を持たせています。
ショーケンは、カッコいいだけで無くなんとも独特な俳優さんで、
演技も独特で、ゆっくり静止画の様な演技から、急に高速に移動して鉄砲撃つ等、緩急のバランスがえぐいです。
昆虫みたいなストップ&ゴーが、多々拝見出来ます。
私は、こういう演技はショーケン以外知らないですね。とても独特で、それがまたカッコいいんですよ。
セリフも良いんです。
ショーケンの彼女役の多岐川裕美が、若者ギャングとの闘いで傷ついて帰ってきた時に、ピラフを作って出すんです。
ショーケンに、味はどう?と聞くと、
「ペッパーが丁度いい」
言えます???
どう?美味しい?と聞かれた時、自分は美味しければ、「うん、美味しい」としか言えない、つまらない男です。
ショーケンは違う!「ペッパーが丁度いい」と細かく指摘するんです。
しかもついさっきまで、ショットガンとマシンガンに追われていたのに、ピラフ食って「ペッパーが丁度いい」なんです。
この作品の初見は中学生の頃で、次は20代、30代、そして今回と4回視聴しましたが、
毎回、渋い男はこういう事なんだと、ふむふむと深く考えるシーンでございます。
何点かあげたエネルギッシュポイントの最後を飾るのが、荻野目慶子さん演じる「ぷっつん女」です。
「ぷっつん」という言葉は、現在では使われていないので良く分からない人も多いと思いますが、映画の中のあるワンシーンにて、この女性が都内の大きな交差点で、片手には風船を2つ。もう一方の手には真っ赤なラジカセをもって、「私を見て―!」というシーンがあります。
これで何となく、「ぷっつん」の言葉の雰囲気は分かりますよね!(圧)
そんな彼女、ショットガンやらマシンガンやらを、大股を開いて炸裂させます。
今、こんな事が出来る女優さんはいらっしゃいますかね?実際、本作で日本アカデミー賞の助演女優賞を受賞されました。
それくらい、インパクトのある役を体当たりで演じられております。
また、若者ギャングがロックンロールに命を懸けていて、あるバンドをメジャーにさせてやりたいと奮闘します。
ここに出てくるバンドが、実際のバンド「JACKS'N'JOKER」で、ベースの担当が恩田快人。
この作品の中で、「JACKS'N'JOKER」のライブシーンがあり、撮影のエキストラでYUKIが来ていたんです。
そこで恩田快人とYUKIは知り合い、後の「JUDY AND MARY」結成へとなるのは、ジュディマリファンには有名な話です。
と、かなり長くなってしまいましたが、この作品は実にエネルギーにあふれた、ハイテンションな作品です。
実は当時、制作費11億円を投じたものの、興行成績はあまり良くなかったんですね。
それでも、後に評価は高くなり、深作欣二監督の中でも上位の人気を誇るようになりました。
たまに今でも、劇場リバイバル上映をするほどです。
ちょっと元気がなくなった現在、たまにこういう映画でスカっとするのもいかがでしょうか。
木村一八が、最後のセリフで警官に向かってこう言います。
「お前さ、ハタチやそこらで、そんな格好して恥ずかしくねーのか?もっとロックしろよ、ロック」
いやいや、警察官頑張ってるからね!というのは勿論ですが、
あえて「ロックしろよ、ロック」にフォーカスすると、逆境だらけの今に立ち向かっていくには、ロックの精神は必要ではと、思ったりもします。
ラストはショーケンが歌う主題歌、「ラストダンスは私に」とともに終了します。
ショーケンを知らない人は、最後の最後にショーケンの歌声にちょっぴり驚いてしまうと思います。
「え?この人が、こんな感じで歌うの?」と。ラストカットも、なかなかいい感じです。
最初から最後まで、あっという間のエンターテインメント作品を、是非一度ご鑑賞ください。
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