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人を知るためのスポーツロボット

ヒト型スポーツロボットはどんなものか、何に使えるのかについて書きます。

前に、人間と駆け引きするロボットがあれば、反復練習だけでなく、認識や判断を含む練習も可能になると書きました。

今回は、スポーツロボットが可能にする新しい練習法も含めた、スポーツロボットの用途全体を考え、その一部を紹介します。

スポーツロボットとは

スポーツロボットは、その名の通りスポーツをするロボットです。

スポーツ(アメリカ英語: sports、イギリス英語: sport)とは、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動の総称である。
(以下より引用)
ロボット(robot)は、人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。
(以下より引用)

スポーツロボット、人間同士でやっているスポーツを人間の代わりに行うロボットです。特に、ヒト型スポーツロボットは人間の姿をしたスポーツロボットです。

これまで、ロボットは人間がしたくない仕事を代わってきました。単純な繰り返し作業や、危険な作業、細かい作業、重いものや汚いものを扱う作業などです。逆にスポーツロボットは、人間が楽しむためにやっているスポーツを代わります。その理由を説明します。

スポーツロボットの使いみち

スポーツロボットの使いみちは、主にこの3つです。
1. 人間について知るための道具
2. 人間の能力を高める道具
3. 遊び道具

今回は人間について知るためのスポーツロボットについて書きます。

人間について知るためのスポーツロボット

人間について知ること、人間科学研究を駆動する研究装置としてスポーツロボットは使えます。主に、スポーツ科学に貢献します。

人間について調べるやり方として、条件ごとに、人間の振る舞いを比較する方法があります。身体の動きの違いを調べたり、アンケートを取ったりする方法です。

バイオメカニクス

そこでは、人間を機械のように見なし、機械の例えを使って人間を観察することも行われます。生物を人工物のようにみなす考えの代表的なものとして、サイバネティックスという学問分野があり、生物を機械のようにみなす分野はバイオメカニクスといい、スポーツにおいては、スポーツバイオメカニクスという分野があります。

人間は、なにかを理解する時、模型(モデル)に例える場合があります。バイオメカニクスのモデルもその一種になります。

シミュレーションを通じた理解

スポーツバイオメカニクスの中に、人間を物理的なモデルとして表し、その動きをコンピュータでシミュレーションして、動きの成り立ちや、良し悪しについて調べる方法があります。

人間の泳ぎをシミュレーションする方法もあるようです。

もう一歩進んで、コンピュータ上でシミュレーションしていたモデルを、現実に作って、現実でシミュレーションする方法があります。

前に紹介した人間に似た筋配置をもつ筋骨格ロボットもそうです。

人間の身体と神経の模型としてロボットを作って動かすことで、人間の知的な働きを理解することができます。シミュレータで忠実に再現することが難しい柔軟物、摩擦、接触、衝突なども、現実にロボットを動かすことで、実際にそこで生じる振る舞いを直接調べることができます。

スポーツロボットのできること

人間は、沢山の骨と筋肉があり、頭では色んなことを考え、性格や身体つきも色々です。科学的な研究においては、選んだ条件以外の要素を揃える必要があります。なので、人間を科学することは難しいのです。

ロボットを使えば、特定の条件以外の部分を揃えることが可能です。例えば2種類のボールの蹴り方があったとして、人間にそれをやってもらうと腕の振りなど、蹴り方以外の部分がバラバラにズレてしまいます。ロボットならば、蹴り方だけを変え、他を揃えて、身体への負担や動作の正確性に蹴り方が与える影響だけを調べることができます。

ロボットを使うことで、一人の動きを調べるだけでなく、複数人のやりとりを調べることもできます。例えば、ロボットをチームに入れて、ロボットの行動の傾向がチームの攻撃性や打開力にどのような影響を与えるか調べることで、一人の行動が集団の特性をどのように変えるかを調べられます。

これは、集団の中にAIを紛れ込ませる経済学実験にも似ています。これが現実のスポーツチーム、ひいては人間社会で可能になります。

まとめ

スポーツロボットがスポーツ科学などの人間科学に役立つという話を書きました。スポーツロボットが可能にする人間の能力拡張と娯楽については追って書きます。

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