田中一敏

ヒト型スポーツロボットをつくります。研究者。ロボット博士。

田中一敏

ヒト型スポーツロボットをつくります。研究者。ロボット博士。

マガジン

  • スポーツロボット

    スポーツロボットの事例、技術、意義、展望について書かれた記事をまとめます。

最近の記事

私の作るスポーツロボット

柔軟ロボットによる部品組立研究を紹介した記事でも書いたように、ディアボロ(ジャグリング)ロボットの研究をしています。研究を進めていくなかで、ジャグリングするロボットはスポーツするロボットと似た部分が多いことに気づきました。運動技能の優れるロボットのうち、スポーツロボットはどういう位置づけにあるのか、スポーツロボットの中で、私が作るロボットはどういう種類になるのかを整理しました。 ジャグリングロボットジャグリングは、ロボットの優れた運動性能を示すデモンストレーションとして、古

    • 柔らかいロボットによる部品組立作業

      私が2019年4月に入社して以来、オムロンサイニックエックスの仲間たちと進めてきた研究、ソフトロボットによる部品組立作業を紹介します。この話は、仲間たちが IJCAI-PRICAI 2020 のワークショップ、日本ロボット学会ヒューロビント研究専門委員会若手ロボティクス研究会(ろぼやん)で話していたので、私も自分なりにまとめようと思い、記事を書きました。 入社まで修士課程では古武術の達人のワザを解析し、生物を規範とした関節を設計し、ワザを再現するロボットを開発し、博士過程で

      • ホームページを開設しました

        researchgateとnoteがあれば、業績と研究紹介が出来るので、ホームページはいらないと思ってたんですが、やはりそれらのハブとして、あった方が良いような気がして作りました。 今後はプロジェクトページを作ってリンクしていきます。 内容も次々に更新できるよう、精進します。

        • スポーツロボットとは

          スポーツロボットについて、現状の私の考えをまとめます。 スポーツロボットとは何か/何でないかスポーツロボットとは、人間のように、スポーツをするロボットです。 その姿は人間型に限らず、車輪で動くものや、スライダで移動するアームであっても、スポーツロボットであると考えます。 スライダ上を動いて人間と徒競走する陸上選手やPKシュートを止めるGKの形をした板を人間が操作して、それで娯楽として成立していれば、それもスポーツロボットと呼べるかも知れません。ただ、ロボットという言葉が

        私の作るスポーツロボット

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        • スポーツロボット
          25本

        記事

          RSJ OS スポーツロボット

          2019/09/03-07に行われる第37回日本ロボット学会学術講演会にて、オーガナイズドセッション「スポーツロボット」を開催いたします。 スポーツロボット研究者の皆様、ご発表をお待ちしております。議論しましょう。 オーガナイザーは私と東京大学の西川鋭助教です。 オーガナイズドセッションの概要です。 スポーツロボットは,人間の健康や文化芸術に対して実際的に貢献することが期待される.加えて,スポーツが要求する俊敏性,即応性,協調性,巧みさといった様々な知能機械要素の発展

          RSJ OS スポーツロボット

          ソフトロボット

          RoboSoft2019 という国際会議を聴講してきたので、思ったことなどを書き留めておく。 ソフトロボットとはソフトロボットとは、その名の通り柔らかいロボットである。 従来、ロボットの身体が硬いことを前提にして、制御や計画の方法が開発されてきた。硬いロボットが苦手なことも、柔らかいロボットにはできると考え、研究されている。 ソフトロボット学は出来たばかりの分野である。国際会議も2回目の開催となる。歴史や基本的な事項については、新山先生のブログを参照されたい。 学会で

          ソフトロボット

          水泳ロボット

          泳ぐヒト型ロボットを紹介します。 これまで、バドミントンや、卓球ロボットなど、球技を行う陸のスポーツロボットを紹介しましたが、今回は水、水泳です。 Trioton空気圧人工筋で動く水泳ロボットが開発されています。 圧縮空気の流入によって縮む人工筋に加えて、伸びる人工筋を使っています。伸びる人工筋は動きの幅、ストロークが大きいため、関節の動く範囲、可動域の大きいロボットを作るのに役立ちます。 腕から足までの全身を備えており、水中での人間の水泳を実世界でシミュレーションす

          水泳ロボット

          剣道エージェント

          剣士は相手が次にどの打突をするか読み、防御に備え、攻撃を図ります。機械にも、そのようなことが可能でしょうか。 人間のように相手の打突を読む機械、剣道エージェントについて紹介します。田中泰史博士と小菅一弘教授が開発しました。 論文。 予測動画から、一定時間先の攻撃種類と剣の軌道が予測されているのが分かります。 手法モーションキャプチャで小手、面、銅の打撃動作における身体と竹刀の動きを計測し、GMMを用いて学習させ、予測します。 モーションキャプチャについて。 GMM

          剣道エージェント

          スポーツロボットのサイズ

          生物には大小様々なものがあります。ロボットはどうでしょうか。 工場用ロボットは大きい。ペットロボットは小型犬くらい。人間の体内を移動するナノマシンはナノというだけあって、すごく小さなロボットになるはずです。 ロボットを開発する上で、大きさや重さは非常に重要な要素です。 ロボットのサイズ後方宙返りする MIT Mini Cheetah が話題ですね。 小さいロボットは軽いので俊敏に動くのに向いています。跳躍するロボットも、その多くが小型のものです。 Salto-1

          スポーツロボットのサイズ

          古武術ロボット

          古武術の達人が使うワザを繰り出すロボットを紹介します。 達人の押し動作古武術の達人、身体技法研究家の甲野善紀氏は、巧みに運動することで、相手の身体を動かすことが出来ます。甲野氏の生み出した独特の身体の使い方は、介護やスポーツにも応用されています。 甲野氏の巧みな運動を科学的に解析すれば、これまでにないロボットの設計や制御方法が明らかになる可能性があります。 尾形邦裕研究員(産業技術研究所)は、東京大学の博士課程在学時に、達人の運動を計測し、ヒューマノイドロボットの指標を

          古武術ロボット

          スポーツロボットの作り方

          ヒト型ロボットの作り方について紹介します。 人間と対等にスポーツで競うロボットを作る方法として、大きく分けて2つのやり方があります。 1. ボトムアップな方法対戦できる簡単なロボットを作って、人間と対戦させて欠点を洗い出し、順次改良していく方法です。これは、ボトムアップなやり方と言えると思います。 例1:投手ロボット ピッチングマシンに打者の動きを理解させ、人間のバッテリーのように配球することから始め、試合の状況を付け加えるとか、腕で投げる、全身にする。 例2:卓球

          スポーツロボットの作り方

          脚式ロボットの全身運動制御

          球技において競技者は二本の足で立ち、走り、ボールを投げたり、打ったりします。人間はこれらの運動を難なくこなします。対して、ロボットにこのような運動を行わせるのは非常に難しいことです。 理由の一つとして、脚で移動するロボットは、倒れないように姿勢を制御するだけでも大変であることが挙げられます。姿勢を制御しつつ、腕で作業するための研究が、現在でも進められています。 走るロボットについては過去に紹介しました。ロボットを走らせるために、足の運びに加えて姿勢を制御することについて以

          脚式ロボットの全身運動制御

          人間行動の予測

          人間は相手の動きを見て、相手が今何をしようとしているのか、これから何がしたいのか、何をどうしたいのか、読み取ることができます。つまり人間は、人間の行動を予測します。人工知能やロボットは、運動や行動の予測をどの程度できるのでしょうか。 特に、スポーツにおいては、相手の動きを読み、味方の動きを察知することが重要です。このため人間の運動を予測する能力は、スポーツロボットを実現する上で必要不可欠な要素です。 ボールなどの飛ぶ物体の動きを予測するロボットについては、以前紹介しました

          人間行動の予測

          走行する脚式ロボット

          多くの球技において、走る能力は重要です。ここでは、人間や動物のように、走るロボットについて紹介します。 紹介するロボットの一部は空気圧ロボットとして、過去に紹介しました。 どんなロボットがあるか車輪でなく、走るロボットには、一本足のもの、二本足のもの、四本脚のもの、六本以上(昆虫型、クモ型、ムカデ型など)のものがいます。 一本足で跳ねるロボットが、最も古いものの一つです。 Kenken、油圧バネ一脚。 Disney reseach の連続跳躍ロボット。 四本脚のロ

          走行する脚式ロボット

          スポーツとデータ

          現在、どのようにしてスポーツの試合はデジタルデータに変換されているか、変換されたデータはどのように活用されているか、他に活用できるデータとして、何があるかについて紹介します。 前回、ロボットが人間以上のスポーツ能力を発揮する見込みについて書きました。ロボットが人間とスポーツをしたり、コンピュータがスポーツを理解するためには、スポーツを計測し、デジタルデータに変換する必要があります。現在、どのようにデータ化されているかを、この記事で書きます。 データの取得現在、主なデータの

          スポーツとデータ

          ゲームとスポーツとロボット

          将棋や碁などで人工知能とロボットが人間に勝ったように、スポーツにおいてロボットが人間を超える可能性について考えます。 以前スポーツロボットの展望について書きました。スポーツロボットの実現可能性について一段掘り進めます。 可能性に閉じたゲームの世界現実世界は事前に予期できない様々なことが起こります。スーパーで牛乳買ってくるおつかいをしたとして、いつも通る道が工事中かも知れませんし、いつものスーパーで牛乳は売り切れかも知れません。 ゲームの世界では決まったことだけが起きます

          ゲームとスポーツとロボット