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ソフトロボット

RoboSoft2019 という国際会議を聴講してきたので、思ったことなどを書き留めておく。

ソフトロボットとは

ソフトロボットとは、その名の通り柔らかいロボットである。

従来、ロボットの身体が硬いことを前提にして、制御や計画の方法が開発されてきた。硬いロボットが苦手なことも、柔らかいロボットにはできると考え、研究されている。

ソフトロボット学は出来たばかりの分野である。国際会議も2回目の開催となる。歴史や基本的な事項については、新山先生のブログを参照されたい。

学会で多く見られたのは、ソフトロボットの設計法、製造法、制御法に関する研究だった。

ソフトロボットには柔らかさを活用した応用事例がある。

物体把持。

装着。

学会に報告される応用事例は少なく、問題意識として共有されているようだった。

スポーツロボットはやわらかいか

私はスポーツするヒト型ロボットをやわらかく作ろうと思う。

変形しない、硬い金属を材料にすれば、正確に動かせるし、壊れにくいが、重いものを速く動かすには大きな力が必要だし、人間にぶつかると痛いだけじゃなくて危ないからだ。

表面がベイマックスのようにやわらかければ、サッカーや相撲など、ぶつかる競技を一緒に楽しむことができるだろう。

もちろん、タコやイモムシのような、やわらかい材料だけの身体を作るのではなく、動物が硬い骨とやわらかい肉をもっているように、身体を支え、力を伝える硬い部分と、動きをつくるやわらかい部分とでロボットを作っていく。

私がこれまでに開発したスポーツロボットも、タコやイモムシのようにやわらかくないが、伸び縮みするワイヤや、体積が変わってバネのように振る舞う空気など、やわらかい部分を多く含んでいるので、ソフトロボットの一種である。

取り組むべき課題

ソフトロボットの特徴の一つとして、「たくさん触れる」という点が挙げられる。このたくさんは頻度と領域の両方を意味する。

硬いロボットはぶつかると物を壊したり、人間を傷付けたりする。なので、確実に物体や人間を避けなければいけないし、万一ぶつかれば、すぐに止まらなくてはならない。重い身体を動かすために強い力をもっているので、力をかけすぎて物体を壊さないよう、状態を正確に知る必要がある。

ソフトロボットはやわらかいので、多少ぶつけても大丈夫そうだ。柔らかい手足は、物体や床に押し付けておけばその形に変形するので、制御は適当でいいのかも知れない。

「適当に」、「いいかげんに」と言われても、ロボットの身体を動かすコンピュータは具体的に何をどうしたらいいか分からない。

従来のロボットの知覚計測認識・計画・制御の枠組みの多くは、変形しない硬いロボットを前提に作られていて、そのまま使えないし、考え方を根本的に変える必要があるだろう。

幸いにも、やわらかく、軽く、小さいセンサが次々に登場し、計算機の性能は上がり、深層学習などの学習アルゴリズムも生み出されている。これらを活用して、硬さとやわらかさを兼ね備えたロボットが「良い感じ」に動く枠組みを作ることが、今私が取り組むべき課題である。

まとめ

ソフトロボットについて紹介し、スポーツロボットとの関連について考え、課題を整理した。