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子供の指導に関わるなら知っておきたいADHD

最近では割と認知されるようになってきたADHD。

Attention-deficit-hyperactivity-disorder(アテンション-ディフィシット-ハイパーアクティビティ-ディスオーダー)の頭文字ををとってADHDと言われています。日本では注意欠陥多動性障害と言われてますが私は「障害」という言葉があまり好きではないので、この記事では「特性」と呼びたいと思います。


こんにちはDr.Tです。

スポーツをする子供を持つ保護者の方や指導者の方に今までスポーツのコーチングに携わって得た知識や経験を基とした考察などを知って頂きたくnoteを始めました。どうぞよろしくお願いします。

ちなみにドクターなどと言っておりますが医者でも科学者でもないのであらかじめご了承ください。

今回は少しセンシティブな内容になりそうですが丁寧にお伝えしようと思いますので最後までご覧になっていただきたいと思います。



1.特性

・注意欠陥

長く集中することができずすぐ気が散ってしまったり、必要なものを無くしたり忘れがちになる。課題を順序立てて進めるのが難しい。など…

・多動性

じっと座っていられず手足を動かしたり、静かにしていなければいけない時に急に動き回ったり、おしゃべりをしすぎてしまう。など…

・衝動性

列に並んで順番を待つのが難しかったり、ほかの人がしていることをさえぎったり邪魔をしてしまう。大声を出してしまう。など…


この3つが主な症状と言われていてADHDの30%〜50&がLD(学習障害)を合併していることが知られています。



2.原因

原因ははっきりとはわかっていません。

脳科学が好きなので色々書籍を読んだりするのですが、脳や神経伝達物質は未だ未解明な部分も多いようです。

ただADHDの原因と考えられている説としては

・前頭葉のワーキングメモリの機能不全

ワーキングメモリ(作業記憶)は例えば板書をする時に、一時的に黒板の字を覚えておく場合などに働く。この機能が働かないと感情や行動を制御できなくなったりすると言われている。

・大脳基底核の血流低下

大脳基底核の血流量が少ないと反射的な反応を抑制する働きがうまく作動できないと言われている。

・ドーパミン作動性ニューロンの機能異常

脳の前頭連合野という部分のドーパミンという神経伝達物質を放出する神経細胞に異常があり、ドーパミンの量が適切でなくなるため注意欠陥や多動などの症状が出ると言われています。


他にも色々言われていることはあると思いますが私の知識の範囲です。

先天性のものなので育った環境などは関係ありません。



3.推移

文科省のデータです。

平成18年から25年の間にADHDの方の数は6.3倍となっています。

ただこれは多く認知されるようになったことや診断基準が変更されたことで該当する人が増えた事で数字が増えたのではないかと言われています。

ですが私の感覚では特性のある子(世間でグレーゾーンと言われている子も含む)は増加傾向にあるように思います。保育士や学校の先生、塾の講師をしている友人と話してても同じようなことを言います。

ある程度の知識を持っていないと、苦手だったり出来なかったりすることをただただ押し付けてしまうことになりかねませんので、理解して向き合わないといけないと思うのです。


4.ADHDを知ったきっかけ

私がバスケを小学生に教える活動を始めて2年目、R君という4年生の男の子がチームに体験練習にきました。よくコートを走り回るし、人懐っこくて私は好感を持ちました。

ですが他の保護者コーチに「あの子イイっすね!」というとなぜだか良い顔しません。

話を聞くに学校での素行が悪く、カッとなって友達に噛み付いたり、友達の輪を乱したりするらしいので、周り子やその保護者にも敬遠されているようでした。


R君は入部することになるのですが、とにかく話が聞けない。すぐ隣の子に話しかけたり、説明していたばかりの注意点を聞いていないのでまた説明し直し。そんなことはしょっちゅうでした。

当時1番ビックリしたのが、スポーツ用品店でたまたま遭遇して僕は店員と方と話していたのですが、おかまいなしに話を遮って入ってきたので「今、店員さんの話聞いてるところだから、後にしてくれる?」と言いました。

流石に練習もうまく回らなくなり、そう言った行動からもストレスを感じるようになってしまい先ほどの保育士の友人に相談すると。

「その子ADHDじゃない?」

保育の現場だとそういう知識は当たり前に持っているようでした。当時はあまり本を読むタイプではなかったのでさっそくネットで検索してみることに。


決めつけは良くありませんがR君は所謂グレーゾーン(正式な診断名ではありませんがそう言った特性の「傾向が見られる」子のこと)なんじゃないかと…

その知識を得てから自分の中でいろんな見え方、考え方が変わって、どう伝えたら良いんだ?どうやったら話を聞いてくれるか?どうすればこの子のいい部分を引き出してあげれるか?

友人に言われた一言がきっかけでADHDを知り、よく考えるようになりました。



5.リフレーミングしてみる

自分の考えや普通、常識をリフレーム(自分の枠組みを取り外す)してこう考えてみました。

彼が静かに話を聞けなかったり、他の子に話しかけてしまう行動は自分でいうとお腹が減って食事をしたり、眠くなって寝たりという感覚に近かったりするのではないか。

なので話を聞こうとか、練習中はおしゃべりしないなどという注意は食べてる途中に食事を下げられたり、ウトウトしているところを起こされたりとただのストレスでしかないのではないか。

若干例えが極端ですが、そう思うとそんな注意は不毛だ。仕組みややり方を変えないといけないと思うようになりました。


他のコーチに比べると説明は短い方でしたが、より短く端的に。何回かに分けて。聞いていなかったら個別に。

並ぶような待ちの長いメニューは工夫して極力なくす。(並んでいる時に前の子とかとおしゃべりしてしまうので)


結果的に練習効率も上がったような気がします。彼に工夫することの重要さを教えてもらった気がします。



6.現在

今はメインでの指導は辞めて、たまにお手伝いをさせていただいているのですが、K君という子がいます。かれこれ3、4年の付き合いで今年で6年生。

彼は保護者の理解もあって、何かスポーツをさせたいと何チームか見学して雰囲気の良いこのチームを選んでくださいました。

「うちの子ADHDで…」

保護者の方と初めて話した時こう言われましたが、体験練習にも来てくれた時にK君を見ていたので

「なんとなく分かりますよ。大丈夫です。小学生の男子なんてみんなそんなものです(笑)」

と冗談交じりに言うと非常に安心されたご様子でした。

「K君でもチームので活躍できることあるはずですから一緒に探しましょう。」


知ってて良かったと思いました。

「ADHDってなんですか?」「そういう子は困ります。」

なんて言ってたらきっと大事な子供預けるのに不安にさせてしまっただろう。とか色々思うのです。


スポーツ指導は未来への助走


と思ってもいるので、どんな特性があろうが、大人になって社会で生きていかないといけない。活躍できる場は必ずある。

そんな事をスポーツから垣間見れたら、スポーツってやっぱり素晴らしいと思うのです。


ちなみにR君は高校2年生になりました。バスケを続けていて、レフェリーをしに会場に行くとたまに会います。相変わらずおかまいなしに喋りかけて来ますが、かわいい教え子に変わりありません。


長くなってしまいましたが、今回はこれにておしまいです。

最後の方は完全に思い出話になってしまいました…

間違った事などご指摘ありましたらコメント欄にお願いします。勉強になります。

良かったと思う方はハートボタン、またフォローの方もよろしくお願いします。

それではまた。

Dr.T



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