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いわゆる読書感想文(一般書)

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2022年4月の記事一覧

「研究者の限りない愛を感じる~『愛なき世界 』~」

「研究者の限りない愛を感じる~『愛なき世界 』~」

『愛なき世界 』三浦 しをん 著 (中央公論新社)

東京の本郷にある小さな洋食屋の味に惚れ込み、弟子入りを遂げた藤丸は、時折昼時に店にやってくるあるグループの会話をつい耳にした。
ちんぷんかんぷんの内容ながら、よくよく聞いてみるとどうやら近くのT大の研究者たちのようだった。

彼らのことになぜだか興味が湧いてきた藤丸は、昼食の出前もできることを会計時に伝える。

そして日にちをたいしてあけ

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「知って、見て、考える教育~『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』~」

「知って、見て、考える教育~『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』~」

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 
        ブレイディみかこ  著 (新潮社)

2019年の本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞した本作品。
やっと読むことができました。

あとがきにもあるように、一般人でも読みやすいエッセイ風だが、社会問題に焦点を当てるノンフィクションというジャンルなのです。
それも、イギリスが長年抱えている、格差・差別・ジェンダーなどが複雑にからみあっ

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『ツバキ文具店』 『キラキラ共和国』

『ツバキ文具店』 『キラキラ共和国』

『ツバキ文具店』 『キラキラ共和国』 小川 糸 著 (幻冬舎)

ああ~…あったかいお話だったなあ…。
こういうお話、やっぱり好きだなあ。
というのが、読んでいる時も読後も心に浮かんだ率直な感想。

鎌倉にある文具店。
ポッポちゃん(名前が鳩子なので、そう呼ばれている)は、厳しく育てられ若い時に反抗もしたが亡くなった祖母と同じ道を歩むことになった。
でもなりわいのほとんどは、文房具を売った収入より

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