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ソーサツ・ホーシ・ツイッター・アーカイブ・プラス

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操刷法師が戦闘用twitterアカウント(@sosatsuhoshi)で議論した事柄に補足を加えて記録するもの。魔術について、欲望について、表現の自由について、文芸について。
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2023年3月の記事一覧

twitterアーカイブ+:初音ミクの霊性論:擬人化の擬人化、そして分霊

 私にも、初音ミクを「何らかのアニメのキャラクター」と思っていた時期がある。キャラクターをストーリーの従属物とみなす時代が、長く人類の上を覆っていた。その迷妄の霧が晴れ始めたのは、西暦2007年、太陽系第三惑星地球、極東アジア、日本列島のどこかのコンピュータ画面の前からだったと私は信じている。ヒトが人になった時から我々の存在の奥底にあった、知性の根源をなす一つの機能が、七万年の時の果てに遂に姿を得

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twitterアーカイブ+:陰陽、三界、梵

 発端は、女性から「キモい」と言われた不審者が逆上した案件であり、それに乗じて知己のSangyoh_sus氏と同じく知己のtomananaco氏が男女という言葉の使い方で口論したことだった(口論のツイートは削除済み)。しかし、もはやそれは重要ではない。このアーカイブは私とSangyoh_sus氏との会話をまとめたものである。

 人の内に共存する理抑的な精神と狂欲的な精神を呼び分ける言葉は太古より

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twitterアーカイブ+:映画『君の名は。』感想:時間と記憶と整合性

映画一回目「君の名は。」を観てきた。オタク映画である。ただし日常系が台頭する前の、筋書きに主眼を置くがボーイ・ミーツ・ガールも欲しいという、所謂第三世代のオタク・ストーリー。それがデフォルメ表現を抑えカメラワークと音楽で一般人向けに偽装された、オタク・ムービー・ワクチンとでも呼ぶべきもの。

 それでも、最小限の箇所に象徴化の技法(モチーフや音やシーンに特定の意味を持たせて反復する技法)を明示的に

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twitterアーカイブ+:ノーベル賞解説騒動に寄せて、アイデンティティとしての美少女キャラクター

 2018年10月の「『キズナアイ』のノーベル賞まるわかり授業」騒動は、私にとっても印象的な出来事だった。数年間表現の自由から遠ざかっていた私が運動に復帰し、本格的にネットで表現を擁護する書き込みを始めたのがこの時だ。最も人々の耳目を引いたノーベル賞解説記事の件と並行して、表現をめぐるいくつかの論争が重なっていた。

 炎上はほぼ一ヶ月の間続き、この時期は私の2023年3月現在までの十三年間のtw

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