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おとなの読みもの

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おとなにおすすめの本。 いつか、おとなになる子供におすすめの本。
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#読書メモ

ささめごと

ささめごと

「ささめごと」
心敬 1406(応永13年)〜1475(文明7年)
(室町時代中期の天台宗の僧。歌人・連歌師・仏道者。)

・・・世の中のはかなき睦物語の折節には、踏み知らぬ和歌の浦わの暗き道まで、互ひに忍びあへず、うち出でぬる言の葉の末、うつつ心なき事に侍れども、これは伏屋が下のささめごとなれば、壁の耳もおぼつかなからず。・・・
・・・余々の無常とて、物ごとにふれて忘れざるは、菩薩大悟の位なり・

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風の又三郎

風の又三郎

谷川の岸に小さな学校がありました。 教室はたった一つでしたが生徒は三年生がないだけで、あとは一年から六年までみんなありました。

宮沢賢治
執筆時期 昭和七年前後。
初出・初刊 生前未発表。「宮沢賢治全集」第三巻(昭和九年1934)

夏休みが終わった九月一日。小さな小学校に転校生がやってきた。鉱物モリブデンの開発に携わる父親に連れてこられた少年。名前は「高田三郎」という。その日はちょうど強風が吹

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フランス人は10着しか服を持たない

フランス人は10着しか服を持たない

ジェニファー・L・スコット 2014刊行

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日常が突然、特別なものに見えてくる
・・・・・

典型的なカリフォルニアガールだった作者が、大学三年生の時に「パリ・アメリカ大学」に留学し、パリの由緒ある貴族の邸宅でくらすこととなる。そこで出会った「マダム・シック」の生き方に感銘を受けライフブログに執筆し、それらをまとめたもの。ベストセラーとなりました。人々が生き生きと素敵に暮らしているパリ

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法の精神

法の精神

法の精神

モンテスキュー 1648

自然法則を含めた広義の法は「事物の本性に由来する必然的な関係」であり、法制度も気候、風土、国民の性質、習慣、宗教、産業などの諸要素によって規定され、それらが立法者の意図と相まって作り出す関係が「法の精神」であるとされる。
モンテスキューはさらに、あらゆる政体を共和制、王制、専制の三つの基本形態に大別し、それらがそれぞれ異なる情念(徳・名誉・恐怖)によって支え

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方法序説

方法序説

方法序説
ルネ・デカルト 1637
デカルトは、書斎に籠った「思索の人」と見られがちですが、その生涯をみると「行動の人」でした。大学で法律学を修め法学士になりますが「世間という大きな書物」で学ぶために旅に出ます。まずオランダ軍に、そしてカトリック軍に。知己と刺激を受けた後、ドナウ川のほとりで思索を重ねる・・・・。
デカルトの代表作「方法序説」。これは元々「屈折光学」「気象学」「幾何学」の三つの「試

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ローランの歌

ローランの歌

ローランの歌 11世紀

「われらは正しい!邪はそれ外道にあり!」

極端な二元論に基づいて「われら」(キリスト教徒)が「外道」(イスラム教徒)を打倒するというのが作品の流れです。
「戦争もの」は人々の心を掴みます。生死を賭けた戦いの表象は、戦場に立った事がない人にこそいっそう魅惑的に映るもの。
フランス文学史上最初の傑作として挙げられるこの武勲詩「ローランの歌」で描かれる「外道」ことイスラム教徒

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アエネーイス

アエネーイス

ウェルギリウス BC70頃ーBC19

ギリシャ軍との戦いで滅亡したトロイアから逃がれ出た勇者アエネーアースが西の地を目指し、カルタゴを経て約束の地であるイタリアに至り、土着の住民たちとの闘争を乗り越え、最終的にローマの礎を築くまでの道のりを描くこの作品は、普遍的な共同体ローマの永遠なる支配の確立=「ローマの平和」という運命の実現の歴史として語り出されています。

アエネーアースの旅は故郷へと戻る

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