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おとなの読みもの

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おとなにおすすめの本。 いつか、おとなになる子供におすすめの本。
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2023年7月の記事一覧

『味』秋山徳蔵

『味』秋山徳蔵

📙『味』
(天皇の料理番が語る昭和)
秋山徳蔵 1955
新版 2015

郷土料理を味わっていただく機会ができたのは、たいそう喜ばしいことである。私どもも、なるべく、その土地土地の風味を加えたものをと、献立に注意している。

北海道 さんま、ほっき貝
秋田 しょっつる
岩手 じんぎすかん料理(小岩井にて)
青森 りんご
福島 くるみ、ぜんまい、油揚の和えもの
山形 なめこ
金沢 ゴリのお汁

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コーヒー・ハウス

コーヒー・ハウス

コーヒー・ハウス
都市の生活史-18世紀ロンドン
小林章夫(イギリス文学者)
1984年

「さまざまな意見の人たちが、コーヒーの香りと紫煙の中で、政治を論じ、権力を批判する。」
17〜18世紀にイギリスで繁栄を見せたコーヒー・ハウス。そこは多くの市民が集う情報交換の場所でした。政治を論じ、権力を批判する「市井サロン」であり、そこから新聞などの近代ジャーナリズムが育まれていきました。喫茶店の原型、

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葵上

葵上

葵上 あおいのうえ
能の曲目

「思ひ知らずや世の中の、情けは人のためならず」
(あなたはご存知ないのですか。人にかける情けは人のためのものではないのですよ。)

光源氏の北の方、葵上が物の怪に憑かれ臥っている。朱雀院の朝臣に呼ばれた照日の巫女が梓弓の呪法をもって物の怪を招き寄せると、上臈姿の六条御息所の生霊が現れ、光源氏の愛を奪われた恨みを吐露し、葵上を責め、連れ去ろうとする。そこで生霊調伏のた

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『ジゼル』

『ジゼル』

🩰『Giselle』
🩰『ジゼル(バレエ)』

原作:「ドイツ論」ハインリッヒ・ハイネ
台本: T・ゴーティエ
初演:「パリ・オペラ座」1841/6/28

🍇
ドイツのライン渓谷にある村。踊りが好きな村娘ジゼルは、ロイスと名乗る青年と愛し合っている。ロイスはじつは貴族のシレジア公爵アルブレヒトで、身分を隠して村人に身をやつしている。村の広場で二人が愛を語り合いながら踊っていると、その様

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魔の山

魔の山

📕『魔の山』
トーマス・マン 1924
第一次世界大戦の始まる7年前、若きエンジニアで平凡な青年カストルプは、スイスのダヴォスにある国際療養所に、肺を病む従兄弟を見舞う。山の上の療養所に漂う雰囲気は、何か投げやりで下界とは全く異なっている。
カストルプは、ここで数々の特異な人物出会う。西欧の楽観的進歩主義を奉ずる人文主義者で文明の文士セテムブリーニは、啓蒙的で道徳的である。禁欲的なジェスイット(

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