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『ジゼル』

🩰『Giselle』
🩰『ジゼル(バレエ)』

原作:「ドイツ論」ハインリッヒ・ハイネ
台本:   T・ゴーティエ
初演:「パリ・オペラ座」1841/6/28

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ドイツのライン渓谷にある村。踊りが好きな村娘ジゼルは、ロイスと名乗る青年と愛し合っている。ロイスはじつは貴族のシレジア公爵アルブレヒトで、身分を隠して村人に身をやつしている。村の広場で二人が愛を語り合いながら踊っていると、その様子を見た森番ヒラリオンは嫉妬する。ヒラリオンはジゼルに思いを告白するが、冷たく遇らわれ復讐を決意する。悲喜交々の思いが交錯する中、村は葡萄の収穫祭迎える。ジゼルは収穫祭の女王に選ばれ、村人たちの踊りの輪の中心に据えられる。・・・ジゼルの母親ベルタは娘を案じて「結婚前の娘が踊りに夢中になっていると、死んでウィリ(精霊)になってしまう。そして死んでからも踊り続ける。」という伝説を語る。領主クールランド公が令嬢バチルド姫と家臣を伴った狩の途中、村に立ち寄る。バチルド姫に憧れを抱くジゼルであったが、バチルド姫はアルブレヒトの婚約者であった。ヒラリオンがロイス(アルブレヒト)の身分を暴き、ジゼルは恋人の裏切りに気付く。絶望のあまり正気を失ったジゼルは、愛するアルブレヒトの腕の中で死んでしまう。(母親の腕の中で、という脚色もある。)
・・・(第一幕)

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物語はヨーロッパの民間伝承・妖精伝説によるものです。ヒロインのジゼルは命を落としますが、ウィリ(精霊)になってからも愛を貫きます。第一幕が人間界、第二幕が精霊界と、ロマンチック・バレエの典型的なパターンで作られており、現実から異世界への転換が特徴的な構成となっています。ジゼルは第一幕では純粋で素朴な踊り好きな可愛らしい村娘。明るく朗らかに愛に満ち溢れて踊っている。けれども、第二幕では一転して精霊となり、死装束で踊っている。

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精霊ミルタが支配する夜の森。ウィリ達が現れてジゼルを墓から呼び出して仲間に迎え入れる。ヒラリオンとアルブレヒトがそれぞれジゼルの墓を訪れにやってくる。
・・・(第二幕)

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ジゼルは、第一幕では恋する村娘。そして第二幕で精霊ウィリとなる。ジゼルの第一幕と第二幕は生と死の対比でもあります。この対比されているもの同士が繋がることはとても難しいのですが、繋ぎ目には精霊の伝説が据え付けられていて、この難しさを回避しています。一方のアルブレヒトは、第一幕ではジゼルを愛しているのかどうか、の心が見えないが、第二幕でその恋は真剣であったとわかります。アルブレヒトとジゼルの恋は、お互い対比のまま進行していきます。第一幕から第二幕と進み、この物語の結末は、やはり対比となります。「優しさと虚しさ」の対比。踊りを終えて、最後に舞台に立つのはひとりだけ。

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