出会い
8月 、初めてのソウル。
時差はないけど、日が沈むのが日本より1時間遅い。
そのせいか、
夜10時を過ぎても街には熱気と人が溢れている。
まさに眠らない街。
3泊4日の初めての韓国旅行、
私達は出会ってしまった。
飛行機で2時間ちょっと。
場所によっては国内より近い、他国。
妙なきっかけで韓国に行くことになった私は、
ハングルも全く読めず、ただ○と丨が並んでるように見えていた。
当然喋れる言葉はなく、
唯一実用的だった言葉は「감사합니다(カムサハムニダ)。
あとは「사랑해요(サランヘヨ)」しか知らなかった。
当然使う機会もないのだけど。
泊まったのは、鐘路3路(チョンノサムガ)駅から歩いて10分かからないくらいのゲストハウス。
おすすめされたゲストハウスだったけど、
驚くほどに簡素だった。
部屋にはベッドがドン。
小さな冷蔵庫ちょこん。
ー終わり。
他に何もない、囚人の部屋かな…?と見渡してしまうくらい簡素。
日本では少ないけど、
海外ではごく一般的なゲストハウス。
ホテルよりも安値で、サービスは簡素。
連泊でも部屋の清掃がなかったり、食事がなかったり。
私が泊まったそのゲストハウスは、
1Fにフロントと食堂、ランドリーがあった。
食堂といっても、
みんなで共用で使う部屋になっているだけで、備え付けの朝食が無料。
トースターとコーヒーポット、
食パンやジャム、ミルク、シリアル、各種飲み物が置いてあって自分で用意する。
連泊で安旅を楽しむ外国人旅行客の利用が多く、
私が泊まった時も白人、黒人、中国人…と多種多様な民族が入り乱れていて、
食堂で簡単な会話をしたり、
仲良くなって一緒に出かける人たちもいるようだった。
「10分で会える距離にいるのに会わない方が変でしょ」
オッパはゲストハウスから10分の距離に住んでいた。
なんだかんだ3泊の旅行中2日は会わずに過ごしてしまった、最終日。
私が元々韓国に旅行する前から連絡を取っていたんだけど、(↓こちらの記事参照)
そんな中で来たメッセージ。
確かに普段は飛行機乗っても2時間以上かかる距離にいる人。
10分で会える距離なら会うよね普通。
そう思って、
少しドキドキしながらゲストハウスの名前を教えた。
ほんとに10分後、
ゲストハウスの前のセブンまで車で来たオッパ。
夜11時、眠らない街、ソウル。
車から降りて、
にこにこと笑った時に目尻が下がる優しい笑顔で、
私の名前を呼んだ。
顔は知っていたけど、
実物は100倍かっこよくて一気に立ち昇る緊張。
顔が赤くなって熱くなった。
8月の熱気で噴き出す汗。
セブンでコーヒーを買ってくれて、
車の中で飲みながら初めての会話。
ずるいくらいに優しい笑顔で、甘い声で
初めて教えてくれた韓国語は
「뭐 가르쳐 줄까?(何を教えてあげようか?)」
これから何かを教わる前の言葉だけど、
私はこの言葉にシビレてしまって
生涯忘れられない台詞になった。
何時間も、車の中でたくさん話した。
どうしてそんなに日本語が上手なの?
ー独学で10年勉強してるよ。
足引きずってるけどどうしたの?
ー踏み外して落ちて怪我した。2ヶ月で治るよ。
後に、足引きずってまで会いに来た男として
2人の中で爆笑ネタになっている。笑
3時間、
話しても話しても会話が尽きなくて、時間が足りなかったけど
ちょうど搬入車が来て車が邪魔だったので、
動かすタイミングでバイバイした。
ゲストハウスに戻ってすぐに、オッパも家についたよって連絡が来た。
もっと話してたかったねって
お互いに言い合った。
LINEするうち、もっと一緒にいたかった、足りないよってお互いの気持ちが合わさって、
気持ちが駆け上がった。
深夜2時。
暑い暑い夏の真夜中、
オッパはすぐさま戻ってきた。
嘘でしょ?って笑っちゃう気持ちと嬉しい気持ちが入り交ざって、
さっきまで話してた場所に走った。
ねえ、家まで戻ったのにまた来るなんて、って。
だって会いたかったんだもん、って。
私達は始まってしまって、
夏の夜が明けて白い空が見えた頃、
キスをした。
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