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「クリエイターに近づく」~Sony World Photography Awardsを通して考える

ソニー広報部のTom&ASです。
帰省や旅行で撮影する機会が増える夏休み前、今回は「写真」に関するトピックのご紹介です。

ソニーがサポートする世界最⼤規模の写真コンテストSony World Photography Awards 2024(以下、SWPA)の募集が、先月から開始されました。

 SWPAはWorld Photography Organisation(以下、WPO)を主催団体とし、写真⽂化の継続的な発展への貢献や、タレントの発掘・⽀援を⽬的に2007年から開催されています。昨年は受賞作品を鑑賞できるバーチャル展示会について、noteでご紹介しました。(まだ作品をご覧いただけるので、見ていない方はぜひ!)

今回は、ご担当の渡辺さんにSWPAの経緯や、この活動にこめられた思いについて詳しくお話を聞きました。

2023年度年間最優秀賞を受賞したEdgar Martins氏(左)と渡辺 勝也さん(右)
「建築が好きなので、写真ジャンルでもアーキテクチャー(建築物)推しです」(渡辺さん)

16年間で応募が約6倍に増えたワケ

ー世界最⼤規模ということですが、実際どのぐらいの応募があるのでしょうか︖

渡辺:2023年は、世界206の国と地域のプロフェッショナルおよびアマチュアのフォトグラファー約7.4万⼈から約41.6万点もの応募がありました。なお、2007年の開始当初は全体で約1.2万⼈、約7.1万点の応募という規模でした。

© Edgar Martins, Portugal, Photographer of the Year, Professional Competition, Portraiture, 2023 Sony World Photography Awards

ー16年間で応募⼈数も点数も約6倍に増えたのですね!この⾶躍的な認知向上の背景には、何があるのでしょうか︖

渡辺:SWPAが、世界最⼤規模のコンテストとなった背景には、その懐の深さや間⼝の広さが⼤きく貢献していると思います。具体的には、SWPAはコンテストとして以下3点のユニークな特長があります。

第1に総合性です。幅広いキャリアステージや作品ジャンルを網羅していて、プロフェッショナル部⾨や⼀般公募部⾨にとどまらず、19歳以下を対象にしたユース部⾨、学校単位で応募できる学⽣部⾨の4部⾨があります。特に、ユース・学⽣部⾨は、若年層のクリエイターが作品を世界中に発信する
機会になっています。

© Hai Wang, China Mainland, Youth Photographer of the Year, Youth Competition, Your Everyday, 2023
© Long Jing, China Mainland, Student Photographer of the Year, Student Competition, In a Changing World, Sony World Photography Awards 2023​​​​​​​

第2に世界規模で展開している点。そして第3に新たなタレント発掘だけでなく、確⽴した個⼈や団体を表彰する「特別功労賞」がある点になります。
なお、今年は、世界を舞台に活躍する日本人写真家、川内 倫⼦さんに特別功労賞が贈られました。

© Rinko Kawauchi

なお、意外と知られていない点ですが、多くのクリエイターに応募していたただきたいので、使用機材はソニー製品に限定していません。

世界規模のアワードに至る道のり

-SWPAを推進するにあたって、どんなことを大切にされてきたのでしょうか。

渡辺:Alpha™のビジネスを⽴ち上げた当初から、クリエイターを⽀えたいという意思がソニーにはありました。「広く世界中からタレントを発掘し、クリエイターを支援したい」という共通した思いを持つ各地域の販売会社と連携して取り組んできた結果、現在のような規模のアワードに成長することができたのだと思います。

その過程ではナショナル&リージョナルアワード(⽇本では「⽇本部⾨賞」)の新設も変化点となりました。ナショナル&リージョナルアワードは⼀般公募部⾨への応募の中から、国・地域別に表彰します。それぞれの地域のクリエイターが実際に応募や入賞することで、共にSWPAを盛り上げていこうという気運が世界中でさらに強まったと思います。

-応募者の視点ではSWPAにどんな魅力を感じるのでしょうか。

渡辺:受賞者には賞金やソニー機材が贈呈されますが、いくつかの国・地域では加えて1位となったアマチュアフォトグラファーをSWPAの表彰式と作品展に招待する取り組みを⾏っています。
アマチュアフォトグラファーにとっては、プロフェッショナルやアマチュアという枠を超えたフォトグラファー同⼠が交流する国際舞台に参加できる貴重な経験となり、新たなクリエイティビティを⽣み出すための⼤きな刺激にもなります。

一方、ソニーにとっては、新たな才能の発掘や育成、また、間近でサポートするフォトグラファーやクリエイターをより深く理解・共感することにつながっています。
このようにSWPAには、カメラビジネスにとどまらず、写真⽂化の発展に寄与し、「撮影するクリエイターに寄り添って⽀援する」というソニーの当初からの強い意思が現れていると感じています。

© Hajime Hirano, Japan, Japan, National Award 1st Place, 2023 Sony World Photography Awards

審査や表彰は?

-各賞はどのように審査されているのですか︖

渡辺:審査のプロセスはWPOが運営しています。審査員(※)はそれぞれ写真業界を代表する⼈物であり、幅広い専⾨知識と経験を有しています。
審査は1⽉にロンドンで、完全匿名(応募者の名前と国籍は審査員には知らされない形)の形で⾏われます。
※⽇本部⾨賞のみ、WPOとは異なり、⼀般公募部⾨への応募から⽇本⼈写真家による作品をプロフォトグラファーのハービー⼭⼝さんが審査しています。

-今年の受賞結果はどのように発表されたのでしょうか︖

渡辺:4⽉13⽇にロンドンで開催した授賞式典にて、WPOより発表されました。2023年度年間最優秀賞は、Edgar Martins⽒に贈られました。
式典の翌⽇に商品を贈呈する際には、受賞者の皆さんからこのアワードについて多くの感謝の声をいただきました。参加者間でも活発な会話があり、SWPAを通じてフォトグラファー同士の横のつながりができていることを感じた場面でした。

4月13日にロンドンで開催された授賞式典

-今年からサステナビリティ賞が新設されたと聞きました。

渡辺:サステナビリティ賞では、写真を通して伝えるということを超えて、解決の道筋までを報じていく「ソリューション・ジャーナリズム」としての作品を表彰しています。今年度は⽔不⾜に悩むペルーのリマで、霧が多いという気象条件を活かし、ネットを張って⽔を貯えようとする取り組みを収めたAlessandro Cinqueさんの作品が受賞しました。
サステナビリティ賞は、国連財団とソニー・ピクチャーズのPicture This活動の協⼒のもと、SDGsに基づいて活動している⼈々や組織に焦点を当てて、作品として世に伝えることに情熱を注ぐ写真家を、プロフェッショナル部⾨の全10カテゴリーのショートリストから選定しています。

© Alessandro Cinque, Italy, Winner of the Sustainability Prize, Professional Competition, Documentary Projects, 2023 Sony World Photography Awards

「クリエイターに近づく」とは

-SWPAの今後に向けて、抱負やメッセージをお願いします。

渡辺: 若⼿からプロフェッショナルまでの多くのフォトグラファーが、SWPAを舞台に次のステップへ⾶躍していきます。その多様なコミュニティに寄り添い、さまざまな制作活動を引き続きサポートしていくことが、ソニーの「クリエイターと向き合う」姿勢ではないかと思います。
そして、私たち社員もSWPAに限らず、日々の生活の中で写真やアートを鑑賞したり、実際に自ら撮影や創造にチャレンジしたりすることが、「クリエイターに近づく」、そして「クリエイターのハートを理解する」ことにつながっていくのではないでしょうか。

© Dinorah Graue Obscura, Mexico, Open Photographer of the Year, Open Competition, Natural World & Wildlife, 2023 Sony World

編集後記

ソニーではフォトグラファーがカメラをどのように使っているのか、どのように作品を⽣み出しているのかを知り、製品の開発やサービスに活かしてきました。こうしたクリエイターやその作品を深く理解しようとする姿勢が、Alpha™ビジネスの成⻑、そしてSWPAが世界最⼤規模の写真コンテストになる根底にあったと、今回のインタビューを通じて改めて感じました。

今後も多様なクリエイターとの共創活動を通じて、コンテンツ制作の未来を創っていくソニーの挑戦をnoteでもご紹介していきたいと思います。

受賞作品の一部は、福岡天神、名古屋、⼤阪、札幌のソニーストア内αプラザで今秋より巡回展⽰が行われます。ぜひお近くにいらした際には、珠玉の作品に触れにお立ち寄りください!

執筆:広報部Tom & AS

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