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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第一章 旅立ち編 6】

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ードミリア 路地ろじ

マサアキ    村娘
HP 3     HP 424
MP 0    MP 227
LV.1       LV.59



「うっ…ぬぅ…」


「ふっふっふ…行き止まりのようね。観念しなさい子猫ちゃん?」


完全に立場が逆転したな…


「調子に…乗るなぁァァ!!」

チャキッ!!
【狂ったおっさんはナイフを装備した!】

刃物?マジかこのおっさん…!

おい、あんた!

「えぇわかってる、時を止めるのね!任せて!」

は?何を止めるって?


キュイィィィンッ!!
「食らいなさい、拘束魔法!タイムバインド!!」

【村娘はタイムバインドを放った!】


カチン…
【狂ったおっさんの動きを封じた!】

「ふぅ…危なかったわ……追い詰めたネズミは怖いものね」


怖いのはお前だ。村娘として越えちゃいけないラインぐらいわきまえてくれ


「けどまだ時間を止めただけ、これだけじゃ懸念けねんぬぐえないわ」

まだやんのかよ…もういいだろ流石さすが

「念には念をよ!はぁァァァァ!!」

ブワァァァァァッ!!
【村娘は魔力を高めている!】


最初こいつ何で助けを求めてたんだろう?


「充電完了!まばたきする間も与えない私の高速連携魔法を受けてみなさい!!」

おっさんもうまばたきすらも出来ねぇよ


「まずは旋風せんぷう魔法!裂刃に焼かれ身悶みもだえるがいいわ!!シルフィストーム!!」


スパパパ…ッ!!
【止まったおっさんは下着一枚になった!】


おい…

「続いて氷嵐ひょうらん魔法!フリーズバンカー!!」


ピキピキピキ…
【止まったおっさんは固まったおっさんになった!】


やめるんだ

思い出せって、全ての原因はおっさんの背中に蹴りかましたお前だろ


「とどめ!!転移魔法!!安くしとくわよ魔界への片道切符かたみちきっぷ!!エクスパルスゲート!!」

パッ!
【固まったおっさんは魔界へ飛ばされた!】


ッ!?



「くっ…やっぱり魔法の連携はMPの消耗が激しいわ。今のでだいぶ持っていかれちゃった」

おっさんも持っていかれちゃったぞ…

「けどなんとか倒せたわ。私達二人の勝利ね」

お前一人の圧勝だろ

盛っていたおっさんをやっつけた!
それぞれ340の経験値を獲得!
マサアキはLV.2にあがった!


「やったじゃない!レベルあがったみたいよあなた!」


レベル?

マサアキはHPが14あがった!
力が6あがった!
身のまもりが4あがった!
すばやさが7あがった!


「ステータスガンガン上昇中じゃない!ねぇ感想とかないの?どうなのよ!?」

あ?そんな事言われてもこれといって変わった感じは…


つーか俺よりおっさんの方がどうなの?大丈夫なのか?


時を奪われパンツ一丁でナイフ持ったまま氷漬けにされた状態で魔界行きの片道切符切られたみたいだけど


「あぁ…そういえば勢いで送っちゃったわね。人間界行きの馬車とか出てるんじゃない?よく分かんないけど」


おっさん……駄目そうだな。可哀想に

「ま、最悪あっちでも生きていけるでしょ!男なんてみんな魔物だしね!」


よし、こいつだけは絶対敵に回さないようにしよう


村娘はLV.60にあがった!


「え、私も?ウソ~!?久しぶりよレベルあがるの!」

むしろ俺が経験値とか貰えていいのか?


ぼうぎょしかしてねぇぞ

村娘はHPが88あがった!
MPが71あがった!
力が59あがった!
身のまもりが52あがった!
すばやさが77あがった!
精神力が49あがった!
滅·業火魔法【ヘブンドジラマラム】を覚えた!


おっさん一人でどんだけ強くなるんだよ



「これはレベルを上げたいなら魔物よりおじさんを狩ってた方が得策って事かしら?」


おい、魔王がもう一人誕生しそうだ。おっさんはすみやかに逃げてくれ


「おじさんを狩る活動…略しておじ活ね!」

黙れ、黙ってくれ



「さてと…じゃあ改めて、助けてくれてありがとう!」

どの口が言ってんのマジで、ほとんどあんたが暴れてただけだろ


謙遜けんそんしなくてもいいわ。あなたは勇気ある人よ」


やめろ、いやみにしか聞こえねぇ


「何かお礼をしなくちゃね!」

いらねぇよ、いいから帰らしてくれ。そろそろ母さんもしびれを切らす頃だ、 早く帰ってこれを渡さねぇと…

グチャァ…!
【卵は割れてしまっている!】

うっわ…ぁ…

マジかよ…殴られた時に割れたのか?

また貰いに行くの?

おいおい…勘弁しろよ


マサアキ
HP 3
MP 0
LV.2


次世間話されたら今の疲労感的に死ぬぞ

お使いで死ぬとか笑えねぇよ


どうする、正直に言うか?

卵は貰ったんだけど帰りの道中女の子に絡んでた変なおっさんと戦ったら殴られて卵割れちまった


無理だな。絶対信じてもらえねぇ

じゃあいっそ転んで割ったことにするか?

もう18だぞ…


わんぱくなガキか俺は

「あなた…さっきからブツブツなに言ってるの?」


あんたまだいたのか?お礼はいいって…

いや待てよ、事情を説明すれば卵くらいは分けてもらえるかもしんねぇ



「そう…それは災難だったわね」

他人事みたいに言ってるのが非常に引っ掛かるが


まぁ、ここは我慢だ


「けどいきさつは理解したわ」


譲って貰えるか?悪いな

「えぇ、これをあげる!」

【マサアキは生命の首飾りを手に入れた!】


お話聞いてた?


「これは《生命の首飾り》といってなかなか手に入らない貴重なアイテムなのよ!」

そうかそうか、ありがとう

知らねぇよ

「それでね、これにはすごい力があるのよ?」

聞いてねぇよ

「これを装備すると装備者が力尽きても一度だけ不思議な力でよみがえらせてくれる


なんであんた曲がりなりにも恩人に力尽きた時の事を想定したもの渡してんだ


卵くれって言ってんだろ


「だってお礼が卵じゃ失礼でしょ」

こっちのが150万倍失礼だわ



「あと~…はい!これもあげる!あなた持ってなさそうだから」

【マサアキはモンスター図鑑を手に入れた!】


なんだよこれは、本?

いらねぇ~…

「そう言わずに貰っておきなさい。それすっごい便利なんだから」

「戦闘を重ねると初期の頃に戦った魔物の名前とか特徴とかって忘れちゃうことあるでしょ?」


いや知らねぇよ。戦闘重ねてないから

「それは戦った魔物に関するデータを自動書記してくれる優れものなのよ。多くの魔物を効率よく倒す上で必ず必要になってくるわ」

じゃあやっぱ俺には必要ねぇだろ


大体なんだよ

戦った魔物が自動書記される図鑑だって?

どうみてもただの本だろうが

【マサアキはモンスター図鑑を使った!】

【No.1 盛ったおっさん】

[特徴:村娘のドロップキックを求愛と勘違いしてしまい生まれたおっさん、ケタケタ笑う、変態]

【No.2 怒ったおっさん】

[特徴:村娘に横隔膜を攻撃された際に生まれたおっさん、攻撃力が上がる、変態]

【No.3 狂ったおっさん】

[特徴:村娘に追い詰められ自我が崩壊して生まれた変態]

【No.4 止まったおっさん】

[特徴:動けない変態]

【No.5 固まったおっさん】

[特徴:犯罪


「ふふん♪驚いたでしょ?」

…あぁ、疑って悪かったよ

紛れもなくモンスター図鑑だったわ


「よし、じゃあお礼も済んだし私はこれで失礼するわね」

おい、まて

こんなもの受け取れるか、俺が持ってても仕方ねぇだろ

「いいのいいの♪あなたは私の恩人なんだから」

いいのいいの♪じゃねぇ。いらねぇって言ってんだよ

「お礼だって言ってんでしょ。遠慮なく受けとりなさい」

お礼と言う名の押し付けだろうが!

ブワァァァァァッ!!
【村娘は魔法陣を展開した!】

とても助かりました。ありがたく頂戴ちょうだい致します。



「分かればいいわ。ぜひとも大事に使って」

あぁ…ぅん

「もしなにか困った事があったら言いなさい。私にできる範囲で力になるから」

だから今まさに困ってるって言ってるんですが

「それじゃあね、バイバイ!」

人の話聞きゃしねぇなこの女

……行っちまった

胡散うさん臭い首飾りとおっさん臭い図鑑渡して

どうしろってんだよこれ

グチャァ…
【卵は割れてしまっている!】


いや、どうしろってんだよこれ……

~To be continued~


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