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記事LPでユーザーの態度変容を促す。成果を上げるための制作ノウハウとは?

こんにちは。編集長のみやたけ@udon_miyatake)です。

今回は、社内で記事LPの制作を専門に行っている貝瀬 夏美(かいせ なつみ)さんへインタビューしました!📢

貝瀬 夏美(ダイレクトマーケティング本部 アカウント第5Gr.)
記事LP歴はおよそ5年。ソウルドアウトは3年目。現在は、化粧品や健康食品の記事LPやバナー、LPの制作を行っています。

2021年8月1日より「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法)が改正。デジタル広告の成長とともに、法令遵守への取り組みも業界内で進んできています。当社でも、媒体審査に依拠しない独自の審査基準をもつため、社内に審査本部を設立。広告運用に関与するメンバー全員へ、社内研修の受講とあわせてテスト合格を課しています。

これらの取り組みの成果もあり、薬機法・医療法、景品表示法・特定商取引法を遵守する事業者向けの認定資格「YMAA」「KTAA」の団体認証マーク(ゴールド)をダブル取得いたしました。*国内企業としては初めて

記事LPは小さな工夫で大きな結果が得られる

─── 記事LPの専門家である貝瀬さん。貝瀬さん自身の考える記事LPの特長を教えてください!

貝瀬:自分でも気づいていないような悩みに気付かせてくれたり、寄り添ってくれたりする点です。LPでは解決策を提示しますが、記事LPはその手前。悩みに気づき、悩みが解決したときのイメージを提供する役割を担っています。

それは結果にも表れていて、遷移先を商品LPと記事LPで比較すると、記事LP経由で購入したユーザーの方がLTV(※)が高くなる傾向があります。しかも、記事LPは小さな工夫で大きな結果を得られるんです。

LTV(=Life Time Value):顧客一人が企業と取り引きを始めてから終わるまでの期間に、その企業が提供する商品やサービスに対して支払った合計金額(売上)。

参考:LISKUL「LTV(顧客生涯価値:Life Time Value:ライフタイムバリュー)とは?計算方法と広告活用での成功事例」

─── 「小さな工夫で大きな結果」というのは、これまでの経験の中での気付きでしょうか?具体的に教えてください!

貝瀬:まだ記事LP執筆初心者であった頃、認知機能の低下が気になる方をターゲットにしたある健康食品の記事LPを書くことになりました。私は、ユーザーには高齢者の方が多いのだろうと思っていたんです。

しかし広告主さんより購買ユーザの年代別属性データをご共有いただいたところ、40代~50代の女性の購入数が最も多かったんです。ご両親のためにご購入されているケースが多いんだそうです。それを知って、その方たちに向けて、記事LPを作りました。すると大きくヒットしたんです。さらにその後の継続率もかなり上昇しました。記事LPを読むことで商品へ理解が深まり、購買意欲が高まったんだと思います。

この体験が記事LPの魅力を知るきっかけになりましたね。以来、読み手の悩みやニーズに沿うクリーンなコンテンツで、かつ広告としての成果も上げられるコツを研究しています。

必ず成果を出すための制作でのこだわり

─── それでは、貝瀬さんご自身の制作のこだわりを聞いていきたいと思います!記事LPの制作過程で、どこの業務に時間をかけていますか?

貝瀬:制作と、その前の商品に関するリサーチですね。

制作時には、バナー画像や広告文も一緒に用意しておき、整合性を取るようにしています。通販業界では定石として、記事LPのファーストビューとタイトルが、広告のバナー画像と広告文と一緒の方がいいといわれているからです。

しかし、その画像や文章で成果がいいのかどうかは配信してみないと分からないので、制作にかける時間の上限は大まかに決めていますね。

─── ファーストビューやタイトルを変えるタイミングはどう決めたらいいのでしょうか?

貝瀬およそ100PVくらいデータがたまったタイミングで判断し始めます。ですがCPA(獲得単価)が目標の3倍まで悪化してしまっていれば、数に関わらず検討するようにしています。

チェックするのはまず、冒頭の離脱率と記事LPからLPへの遷移率。冒頭の離脱率は、ヒートマップ(※)を使って見ていきます。滞在時間と離脱率から「悪そうなコンテンツ」が見つかります。  「ファーストビューから次の見出しまで」「見出しからCTAボタンまで」といった項目間ごとで比較して、離脱率の高いものから優先して修正していきます。

※ヒートマップ:Webサイトの各ページでユーザーがどのような行動をするのかを、わかりやすく色で表現する手法。

画像引用元:ヒートマップとは?ユーザー行動を分析できるツール比較9選

遷移率は、媒体や商品によって差が大きいですが、FacebookやInstagramだと25%以上、LINEやYahoo!だと10%以上くらいを目安としています。ただ、LINEやYahoo!は低く出やすく、低くても効果が合う場合も多いです。

─── 媒体ごとに違ってくるんですね。記事LPのトレンドはありますか?

貝瀬:そうですね、LINEではもともとファーストビューを動画やGIFにするケースは多かったのですが、社内で使っているCanvaやRICHKA、LetroStudioなど、ここ最近、簡単に動画・GIFを作れるツールが増えてきたので、さらにそういった記事が増えてきた気がします。制作を始める際に、配信する媒体で出稿量の多い記事を見てアイデアを得ていますね。

─── 記事LPの制作をする前の情報収集は、どのようなことをしているのでしょうか?

貝瀬:InstagramやTwitterなどのSNSでユーザーが正直に書いていて信頼できそうなレビューから、記事LPのヒントを探っています。SNS以外にも美容雑誌やファッション誌などもよく見ていて、今の時期にはどんなキーワードがホットなのか、どういったことが流行っているのか、世の中の流れにもアンテナを張るようにしていますね。

ほかにも、商品のターゲットに近い人に話を聞くようにしています。いつ、どのようなきっかけで悩み出したのか、何か対策はしているのかなどをヒアリングさせてもらい、悩みに寄り添える記事LPを書けるよう心掛けています。

書き方の勉強は下記のような本を参考にしていますね。

ほかにも、マーケティング界で有名な弓削徹さんや神田昌典さんの本をよく読んでいます。

親しみやすく信頼できる記事LPを

─── 昨今の薬機法改正などで、近年特にクリーンなデジタル広告が求められるようになってきていますよね。

貝瀬:広告物を制作する際は薬機法などのルールを守っておけばよいという意識だけでなく、誰かを騙したり、架空の設定をつくりあげたりすることをせず、会社の方針どおり事実に基づいて執筆していくことを徹底しています。

─── それでは、薬機法を含めた法律やルールを完全に守って、記事LPで成果を出すにはどのような工夫をしているか教えてください!

貝瀬:まず大前提として、言える効果効能はしっかり言うことを意識しています。

効果効能を言うことができるのは、機能性表示食品の届け出表示の内容(脂肪を減らすのを助ける、血糖値の上昇を抑えるなど)や、医薬部外品(育毛剤の薄毛予防など)、薬用化粧品(シワ改善、美白など)などです(※分類は下図)。

言いたい効果効能を表すキーワードを、記事コンテンツ内で繰り返し使って印象を強めています。例えば、シワ改善のための有効成分が配合されている薬用化粧品であれば、商品説明で、なぜシワ改善するのかを軸に書いたり、ユーザーの口コミでは、「シワ改善した」とは直接言えないので、シワ改善によって「気分があがった」などと使用感を言っている口コミを選定したりします。

あとは、締めの言葉で、シワ改善にいいこの商品を試してみませんか?などといった形で、記事内で「シワ改善」というキーワードを一貫性をもって伝えるようにしています。

*一般食品(いわゆる健康食品):あくまでも栄養成分を補給し、または、普通の食品よりも健康によいとして販売される食品。効能効果は言えない。
*保健機能食品:国の制度にしたがって一定の機能、効果を謳える食品。ただし、病気未満。
*薬機法対象:人体に対して、一定の効能効果をもつ。薬機法で、その効果や安全性についてルールを設け、管理されている。

─── 機能性表示食品や医薬品以外の商品、いわゆる健康食品では、効果効能を言えないと思います。

貝瀬:そうですね。ですが親しみやすい、信頼できそうだ、といった感覚をもってもらう内容にするために、下記のようなことを意識して制作しています。

権威やひと気を訴求
販売個数や販売年数、口コミサイトでの評価など、権威を訴求することが多いです。

②アフター写真をたくさん載せる
健康食品ではビフォーアフターは掲載できません。アフターのみ見せ、たくさん掲載することでひと気を出します。

*ビフォーアフターの掲載が認められている例:現実的かつ物理的な変化のみ。例えば、矯正下着の着脱による変化、ファンデーションの使用前後の状態など。化粧品では、56の効能効果の範囲内の記載が認められている。

参考:「化粧品の効能の範囲の改正について」

③結果や未来を想像させる
「使ってみた結果、〇〇」、「シミが〇〇」のような、使用して得られるベネフィットを可能な範囲で伝えるようにしています。

④定量的な感想×実際のユーザーボイス
効果効能には触れずパッケージの感想や使用感のみの範囲で記載します。
※ただし、機能性表示食品の場合に限って、ユーザーボイス内で効果効能を言うことができます。

まず商品のLPを見て、そこから訴求内容を箇条書きで書き出し、その内容がうまく伝わるよう上記のポイントを押さえて表現していきます。

─── 訴求したいポイントが伝わる記事LPにするために様々な工夫をされているんですね!商品によってはそういったポイントが見つからない場合もありそうです。

貝瀬:新発売で販売実績や口コミがまだない、などといった場合ももちろんあります。しかし、注目されていることが必ずどこかにあるはずで、例えば、PR TIMESでプレスリリースを検索したり、実際にご利用になっていただいている方へインタビューしたりして、商品で訴求できるポイントを探します。

*PR TIMES:プレスリリース・ニュースリリースの配信プラットフォーム。https://prtimes.jp/

─── 親しみやすい、信頼できそう、と感じてもらうために、ほかに工夫していることはありますか?

貝瀬広告色を無くすことを意識しつつデザインを決めていきます。

文体やデザインをブログ風にしたり、UGC(写真)や使用レビューを用いたりしています。見込み顧客は情報を得るために記事LPを読んでいます。凝ったデザインだと、公式のLPやサイトに訪れた印象を受け警戒されてしまうんです。

あとは、形式も商品ごとに工夫します。悩みやコンプレックスを解消してくれる商品なら、お悩み解決型の記事にしようとか、著名人や芸能人が使っていてLP内にもその人が説明しているようなコンテンツがあるならインタビュー型の記事にしようとか。商品の訴求ポイントが伝えられるよう見せ方を考えます。

クッションページとしてのコンテンツを

─── 記事LPを書くのは好きですか?

貝瀬:はい、好きです!私は、制作前に担当する商品をほぼ全て試しています。自分が商品の愛用者として、友達に勧めるような感覚で書くのが楽しいんですよね。そう思って書いていると、いいところが自然とどんどん出てきます。調べていくうちに気になってさらに好きになっちゃうんです。

─── すてきです……!今後やっていきたいことを教えてください!

貝瀬:LPの一つ手前にある、態度変容を促すコンテンツを作っていきたいです。

例えば、動画だけがあって、そこですべて商品の説明がされていたりとか、口コミの写真とレビューしかなかったりとか、そういったユニークなコンテンツが案外成果を出すかもしれないと思っています。形にこだわらず、「クッションページとしての役割」という視点でいろいろなものを試していきたいです。これからも、自分自身がいいと思った商品を、適切な形で一人でも多くの人に届けていきます!


編集後記
貝瀬さんは2019年の下期に全社表彰(新人賞)を受賞され、以来、いつかどうやって広告を作っているんだろうと個人的に気になっていました。とにかく成果を出す!その熱い意気込みと、「商品が好きでそれを友だちにおすすめする感覚なんです」という温かさと、貝瀬さんの魅力を感じました!ありがとうございました。

【話し手:貝瀬 夏美/インタビュー・執筆:みやたけ(@udon_miyatake)】


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