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彼のスマホ

「見なきゃよかったぁ…」
芽衣子は泣きながら私に言った。
「いい事あるわけないじゃん」
「だって、だってぇ…」
泣き顔さえ可愛い芽衣子は、彼のスマホを見て号泣している。
「なんで彼のスマホなんか見ちゃったのよ?」
「偶然だったの。コンビニに行った彼が携帯忘れてるのに気がついて、持って行こうとしたの。そしたら電話が鳴ってびっくりして出ちゃったの」
出るかね、普通。
「それで、相手は?」
「愛子っていう…」
あちゃー、っと私は天を仰ぐ。芽衣子をこんなに泣かせるなんて酷い男だ。
「泣いてちゃダメ!彼と話すの!」
「でも意味ないもん」
「意味なくない!」
「意味ない!」
「不倫でしょ!それって!」
「え、いや、」
え?っと芽衣子が言うので、私も何か分からなくて、え?、っと目を開いて口をパッと開いた。
「勘違いしてる、それ。愛子は彼の妹なの」
「それなら、そこまで泣かなくても良いじゃ無い」
「うん、それだけならね。LINE電話を閉じてからのLINEが問題だったのよ」
「トーク画面って事?」
「私のLINE、固定バーに固定されてなかったの」
「固定されてる人の方が少ないでしょ。その機能使うかは人それぞれだし、彼が使わない人だっただけよ」
「いいえ、彼はあなただけ固定してたわ」
もう芽衣子は笑っていなかった。

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