浅沼総一
何者なのか知りたい。僕は一体誰なのか。そんな素朴な疑問から社会学の扉を開いた。社会学は、個人的な問題を社会的な問題に置き換えて、個人間に連帯をもたらす学問だと…
何者かになりたい。いつしか、それだけが僕の生きる原動力になっていった。あるとき、本屋さんでふと、自己啓発本を手に取った。何気なく手に取ったその著者の本は、僕に…
僕は何者かになりたかった。勉強ができるやつ、スポーツができるやつ、物知り博士、植物好きのやつ…etc。でも、何者にもなれなかった。僕を僕たらしめているのはアザだ…
アザ、ただアザが在る。今思えばただそれだけのことなのに、僕はそのアザに振り回され、心の奥深くまでアザに蝕まれていた。アザを中心に僕の世界は回っていた。周囲から…
僕は人見知りはしないほうだ。でも、「初対面」の人と出逢うとき、いろいろと考えを巡らせてしまう。まず、僕の口元のアザのことについて。それから、精神障害への配慮に…
救急隊員「〇〇さんの息子さんですか?」 突然の母からの電話で、知らない人が話し出した。 救急隊員「救急隊員の△△です。」 僕「えっ、はい・・・。」 救…
彼女と付き合いだした。うきうきとワクワクで、僕はこれから始まろうとしている恋人生活に胸を膨らませていた。でも、そう易々とうまくはいかなかった。彼女はいわゆるヤ…
僕が中学一年生のころ、ちょうどORANGE RANGEというバンドの『花』や『以心伝心』という曲が流行っていたころのお話。流行というもの意識しだして、髪型や服装など自分や…
「ピンポーン!ピンポ!ピンポ!ピンポ!ピンポーン!」 「ガチャガチャ!ドンドン!」 母の彼氏(以下、Aさん)に違いない。そう思った僕は居留守を決め込んだ。Aさ…
僕は「ふたり飯」が好きだ。「ひとり飯」は人とのお喋りがなくて、食事が単なる作業になってしまって、あまり好きではない。ひとり飯、特に外食するときは決まって、行き…
19歳に統合失調症と診断されてから、29歳の今に至るまで、僕だけ時が止まってしまったかのように日々感じている。特に周りの同級生の友人たちが大学でキャンパスライフを…
母「いいから、早く来て!」 突然の母からの電話に困惑した。新しい彼氏(以下、Bさん)ができて、今の彼氏に見切りをつけたようだ。今の彼氏(以下、Aさん)の家に入り浸…
もうすぐ20歳になるというときに、統合失調症という診断名をつけられた。このときは抵抗もあったが、同時に一生付き合っていかなければならない疾患、障害であるため、僕…
これまでほとんど、と言うか意図的に家族(問題)についてエッセイにすることを避けていました。ですが、今日母に思い切ってネタにしてよいかということを尋ねたら、笑いな…
僕はどこか「人とは違う」と思い始めたのは保育園に通っていたときだ。当時は友達らしい友達もいなかった。だからいつも一人遊びをしているか、塀の外をただぼーっと眺め…
中学一年生のころ、はじめて彼女ができた。経緯は別の記事で改めて書き起こすとして、事の始まりは、クラスメイトの女の子が僕のことを好いてくれたことだ。彼女の取り巻…
2023年5月16日 00:45
何者なのか知りたい。僕は一体誰なのか。そんな素朴な疑問から社会学の扉を開いた。社会学は、個人的な問題を社会的な問題に置き換えて、個人間に連帯をもたらす学問だと思っている。自分事だと思っていた問題は、実はみんなの問題で、みんなの問題だからこそ、団結して、正面からぶつかることができるのだ。 その考え方、学問観に僕は心の底から叫びたくなるような衝撃を覚えたものだ。もちろん、すぐにそのことに気がついた
2023年5月14日 02:47
何者かになりたい。いつしか、それだけが僕の生きる原動力になっていった。あるとき、本屋さんでふと、自己啓発本を手に取った。何気なく手に取ったその著者の本は、僕にぽっかり開いた穴を塞いでくれるような気がした。ちょうど高校を卒業して、家に引きこもっていたときだ。 それからというもの、その著者の本を貪るように読み漁った。一冊読み終える度に、何者かに近づいている、そう思い込んだ。奇妙な万能感だけが僕を覆
2023年5月9日 06:24
僕は何者かになりたかった。勉強ができるやつ、スポーツができるやつ、物知り博士、植物好きのやつ…etc。でも、何者にもなれなかった。僕を僕たらしめているのはアザだけだ。皮肉なものだ。あれだけアザを疎ましく思っていたのに、アザはいつの間にか僕をすっぽりと覆い隠し、僕に成り代わっていたのだ。人とは違う、その心が肥大化し、僕という存在を失わせた。 よく中学のクラスメイトに陰口を言われたものだ。あいつ何
2023年5月9日 01:22
アザ、ただアザが在る。今思えばただそれだけのことなのに、僕はそのアザに振り回され、心の奥深くまでアザに蝕まれていた。アザを中心に僕の世界は回っていた。周囲からのアザを嘲笑うかのような視線に、僕はいつもビクビクしていた。まるで得体の知れないものを見るような周りの反応に、僕は人とは違うんだと、物心つくころにはそう思い至り、悩み、葛藤した。 今ではユニークフェイスとか、見た目問題とか、容貌障害とか、
2021年12月26日 19:15
僕は人見知りはしないほうだ。でも、「初対面」の人と出逢うとき、いろいろと考えを巡らせてしまう。まず、僕の口元のアザのことについて。それから、精神障害への配慮について。「初対面」の人にはなるべくこの二つのことについて、話の流れを遮らないように話すことにしている。自分の「構え」を取り除くこともそうだけど、何より他者の「構え」を取り除くことに重きを置いている。 アザ持ちの人と出逢う機会はありそうで
2021年12月26日 12:30
救急隊員「〇〇さんの息子さんですか?」 突然の母からの電話で、知らない人が話し出した。 救急隊員「救急隊員の△△です。」 僕「えっ、はい・・・。」 救急隊員「〇〇さんが階段で転び落ちたようで。今から急いで来れます か?」 僕「はい!すぐ向かいます!」 状況が全く飲み込めないまま自宅を出た。当時、僕とは別々に暮らしていた母はパートナーと同棲していた。とに
2021年10月31日 13:16
彼女と付き合いだした。うきうきとワクワクで、僕はこれから始まろうとしている恋人生活に胸を膨らませていた。でも、そう易々とうまくはいかなかった。彼女はいわゆるヤンキーや不良と呼ばれる人で、いつもその取り巻きの渦中にいるような子だった。それはまるで壁となるかのように僕に立ちふさがった。僕はそうした人たちとはあまり関わりを持ちたいとは思わなかったから、なおさら学校で話をすることは難しい。不良同士の付き
2021年10月31日 13:12
僕が中学一年生のころ、ちょうどORANGE RANGEというバンドの『花』や『以心伝心』という曲が流行っていたころのお話。流行というもの意識しだして、髪型や服装など自分や周囲の容姿に敏感になる、そんなお年頃だ。いわゆるヤンキーや不良と呼ばれるような人たちがタバコに手を出し始めるのもこのころだろうか。クラスの中にある程度序列ができて、隣の机や同じ班の異性(または同性)が誰になるのか、席替えの度にウ
2021年10月20日 11:54
「ピンポーン!ピンポ!ピンポ!ピンポ!ピンポーン!」 「ガチャガチャ!ドンドン!」 母の彼氏(以下、Aさん)に違いない。そう思った僕は居留守を決め込んだ。Aさんは今にも乗り込んで来そうな勢いで玄関のドアを叩いたり、インターホンを鳴らしたりしていた。肝心の母はというとそのKさんのことで誰かに相談しに行っていた。ただただ怖かった。 母「もしAさん来ても絶対家に入れないで!なんかあったら電
2021年10月20日 07:20
僕は「ふたり飯」が好きだ。「ひとり飯」は人とのお喋りがなくて、食事が単なる作業になってしまって、あまり好きではない。ひとり飯、特に外食するときは決まって、行きつけのお店で店員さんとお喋りしながら食事をする。だからそういった意味で外食でお喋りのない、ひとり飯をすることは滅多にない。 はじめて外食でひとり飯をしたときの記憶はもう残っていないけど、はじめの頃は店内のお客さんや店員さんを敵だと感じて
2021年10月18日 22:29
19歳に統合失調症と診断されてから、29歳の今に至るまで、僕だけ時が止まってしまったかのように日々感じている。特に周りの同級生の友人たちが大学でキャンパスライフを謳歌している中、僕は日々この病気と闘っていた。特にパニック障害の心臓の発作が襲ってきたとき、何度と救急車で運ばれたことか。人混みが怖い。電車やエレベーターなどの密閉空間が怖い。怒鳴り声や工事音など音が怖い。僕の生活圏は徐々にこれらの病気
2021年10月18日 11:35
母「いいから、早く来て!」 突然の母からの電話に困惑した。新しい彼氏(以下、Bさん)ができて、今の彼氏に見切りをつけたようだ。今の彼氏(以下、Aさん)の家に入り浸っていて、実家にはほとんど帰ってこなかった。もう一週間近くAさんの家に戻っていないらしく、一度は話し合おうと言われたものの、最終的に、 Aさん「荷物持って出てけ!」 と、電話があったらしい。それで、荷物を実家に持って帰るつい
2021年10月13日 00:27
もうすぐ20歳になるというときに、統合失調症という診断名をつけられた。このときは抵抗もあったが、同時に一生付き合っていかなければならない疾患、障害であるため、僕という存在が社会から認められたような気がした。でもそれは錯覚で、差別や偏見もあるのだけど。安堵する一方で、これからのことが不安だった。 僕はざっくり分けて二つの人生を生きている。一つはユニークフェイス/見た目問題当事者としての人生。も
2021年10月12日 01:48
これまでほとんど、と言うか意図的に家族(問題)についてエッセイにすることを避けていました。ですが、今日母に思い切ってネタにしてよいかということを尋ねたら、笑いながら承諾をもらいました。 アザ、精神障害、家族。この三つをテーマとしてエッセイを今後書き綴ろうと思います。これらが僕の人生を苦しめてきたと同時に、それがあったからこそ成長できた部分も多分にあるのではないかと。しばらくは家族(問題)を中
2021年10月11日 10:53
僕はどこか「人とは違う」と思い始めたのは保育園に通っていたときだ。当時は友達らしい友達もいなかった。だからいつも一人遊びをしているか、塀の外をただぼーっと眺めながら母が来るお迎えの時間を待っていた。母は仕事の関係でお迎えが遅くなることが度々あった。それもあってか、一人の時間を過ごすことに慣れていった。 ある日、お昼ご飯の時間が終わって、遊びの時間になった。そのときは砂場でドロだんごを作ること
2021年10月8日 14:25
中学一年生のころ、はじめて彼女ができた。経緯は別の記事で改めて書き起こすとして、事の始まりは、クラスメイトの女の子が僕のことを好いてくれたことだ。彼女の取り巻きのクラスメイトが、 「Aさんのことどう思う?」 「Aさんって可愛いと思わない?」 などと、連日質問攻めにされた。クラスメイトの反応があからさますぎて、僕は多少疑いつつも彼女の気持ちが本当であると、確信に変わっていった。僕も彼女