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【超短編小説】俺がお前に願うこと

またお前からの
どっちつかずのLINEだ。

そうして俺は翻弄される。
「今日会えるのか?」なんて期待する。

お前は寂しいだけなのか
性欲が溜まっているだけなのか
暇なあまり誰かをからかいたいのか
俺に惰性でLINEをしてくる。

お前のLINEはセックスの誘いだ。
他に用件など殆どない。
稀に、本当にごく稀に
お前が欲しいものをリクエストしてきて
俺は急いで準備して送る。

そんなこんなで3年経った。

最初のLINEはもう少し気を使った内容だった。
今や用件のみどころか
用件すらよくわからない。

だけどお前は
俺と会ってる間は携帯を触らない。
恐らく、多分、予測だが
他人といるとき、会話を重視して
携帯を触らないタイプだ。

だからお前が
どんなに下らないLINEをしてきても
どんなに稚拙な内容でも
お前は今独りなんだと思うと

愛しくて、愛しくて仕方ないんだ
独りで寂しくて
俺にLINEをしてきてしまうお前が
愛しくて仕方ない。
毎日ではなく毎週程度だが
俺からは絶対に送らないLINEだから
お前が俺を毎週思い出して
LINEしてくるかと思うと
愛しくて堪らないんだよ。

ここから先は願望だ。
妄想だ。
願いだ。

いつか俺の方から
お前の前からいなくなりそうになった時
焦って焦って
どうに俺がいなくならないように
四苦八苦してくれ。
俺はその様子を見て
さらに愛しさを感じる。
お前は初めて
俺に愛されてたことに気づいて
俺を失う虚しさを知ってくれ。
俺を失うことを恐れてくれ。

俺がいなくなったら絶望に暮れて
一生後悔してくれ。

どうか、この願いが、
いつか叶うように
お前とのLINEを繰り返す。

愛してるよ。

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