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運営者インタビューその1 プロボノが聞いてみた<事務局設立時の想い>

せんだい・みやぎソーシャルハブ(以下、ハブ)でプロボノとして活動する私(おにつか)が、ハブの運営を担う団体の一つである、NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター代表の渡辺一馬にインタビューを実施した内容を2回に分けてお伝えしていきます。

<その1>では、ハブの今までの活動を振り返って、これまでの活動を始める経緯や活動内容、課題等を聞きました!


Q1.そもそもハブはどういった経緯で生まれたのですか?

<市民活動支援の在り方を検討>

1999年に仙台市市民活動サポートセンター(以下、サポセン)が開館し、10年以上が経った頃、支援や活動の内容などについて見直そうとしていた矢先に東日本大震災が発生。当時は復興が急務で、自分たちの活動の見直しを図ることは難しい時期がしばらく続きました。

※NPO法人せんだい・みやぎNPOセンターがサポセンの指定管理を行っています。

2014年頃から、震災の復興も少し落ち着いてきたこともあり、あらためてまちづくりや市民活動の支援を考えようという機運が高まりました。被災地が復興していくのを後押しする中で、震災前後では市民活動を支援する在り方も変えていく必要があると考えたからです。
その背景には、少子高齢化などにより、地域や社会の課題が多様化や構造の複雑化が進行し、今までのような活動支援や団体支援という手法では解決が難しくなってきたこともありました。

<まちづくりのための調査研究事業>

2015年度から市民主体のまちづくりをするうえで、どのような機能が不足しており、何が必要なのかを調査・研究する事業を5年掛けて実施してきました。
この調査研究事業は、NPO法人せんだい・みやぎNPOセンターの単独ではなく、専門性のある団体の知見を交えて調査研究を進めるため、一般社団法人パーソナルサポートセンターNPO法人都市デザインワークスの3団体が連携して調査を進めました。

「共創プラットフォーム」を創ろう、市民が自ら発見した地域課題や課題意識(課題の種)を持ち寄り、情報を共有し、社会課題の解決へ向けた連携を生み出す場を創ることになりました。
それが、せんだい・みやぎソーシャルハブの始まりです。
ちょうどその頃、2020年春頃からコロナ禍となり、対面での活動が困難となったため、まずはオンラインでの情報交換会からスタートしようとハブの活動が始まりました。

Q2. ハブは具体的にどのような活動をしているのですか?

大きく分けて3つの活動(機能)<セッション><ラボ活動><ギャラリー>があります。

<セッション>

毎月第三木曜日の19時からオンラインとリアル会場で情報交換会や勉強会を行っています。セッションを通じて自分たちが抱える社会課題をみつけていく活動をしています。
情報交換会は、すでに課題解決のために活動をしている人が集まり情報収集や相談等の連携が生まれる場として開いています。
勉強会は、今年度はヤングケアラーや職親プロジェクトなど普段あまり馴染みのないテーマを取り上げて、「私たちの知らない世界」シリーズと題して現場のリアルな話を知る機会を設けています。
過去の記録はnoteで公開していますので、ぜひご覧ください。

<ラボ活動>

セッションで見つかった課題に対して深堀をしていく場を設けています。
現在は「居住支援」「プロボノ普及推進」の2つのラボ活動があります。

○居住支援
さまざまな理由で、住まいを借りることが困難な方の居住支援について深堀し、研究する活動です。

○プロボノ普及推進
「プロボノ」とは、ご自身の専門的な知識やスキルを生かしてボランティアや副業で社会貢献活動をすることです。ハブではその普及推進について考え施策を練っています。

○今後について
今後は、中間支援団体の連携の仕方についてのラボ活動を始めたいと思っています。
仙台市内だけでも複数の中間支援団体(市民活動やまちづくり活動の応援をする団体)が存在しており、また、とあるテーマのNPOがそのテーマの中間支援的役割を担っていることもあります。
多くの中間支援活動の財源が自治体や政府からの委託などであることもあり、団体同士が連携し事業を協働することは少ない状況でした。しかも委託元が違うことで、支援活動が重なってしまったり、それぞれの得意分野を生かして棲み分けをすることができていなかったりと、税金を使っているにもかかわらず、非常にもったいないな感じています。
まずはお互いの活動について意見交換をはじめ、仙台、宮城エリアの市民活動がより活発になるための連携体制を模索していきたいと思っています。

<ギャラリー>

Facebookやnoteなどでセッションやラボ活動の記録や情報発信をしています。今夏に開設したホームページを通じてインターネット上で活動記録を保存し、少しずつ発信しています。
セッションやラボ活動に参加できなかった人や後からでも内容が理解できるようにすることで、自身の社会課題解決の糸口をつくるのに、ハブの活動が少しでも役立てたらと思っています。

<プロボノマッチング事業>

上記3つとは別軸で今年の夏からプロボノマッチング事業を始めました。
自身の専門知識や経験を生かして、実際に課題解決に向けて活動している団体にボランティアや副業でお手伝いをするプロボノという活動をプロデュースする活動を行っています。

Q3.この3年間活動を続けてきてどのように感じていますか?課題はありますか?

<情報交換会や活動の成果>

コロナ禍が始まったころに情報交換会を始めて良かったと感じています。
特に、「コロナ禍による若者の社会的孤立」という社会課題について宮城から全国に発信でき、メディアが目を向けてくれるきっかけを作れたことは大きな成果だったと言えます。

調査研究事業で、NPO同士をつなぐ機能が弱くなっていたことが明らかになり、互いに<困っていること>や<どのようなことをしているか>、情報交換をするだけでも風通しが良くなり、情報交換会を開催してきた意義があったと思います。

<情報交換会やハブ事務局の課題>

コロナ禍が日常化して、交換する情報が少なくなると情報交換会に集まる人が減り、また風通しが悪くなってしまいます。情報交換会は開催した方が良いと考えていますが、開催する頻度や内容はよく検討していく必要があると思います。
当初は、社会貢献活動やまちづくり活動に新しく参加する人がもっとハブの活動を通じて増えることを想定していたのですが、なかなかそういった「はじめまして」の参加者は少なく、活動を通じて、もっといろいろな種類の社会課題が見つかったり、様々な人々が関わるという理想は叶えられていないのが現状です。

ハブの活動を事業として運営していくための事務局側の体制が整っておらず、イベント開催中心型の活動になってしまっていたことも反省の一つです。もっと課題を深堀したり、深堀した課題を発信するということを連続して行える体制になっていなかったことがもったいなかったと思います。

<目指す社会について>

ハブの活動の間口を広げて、「はじめまして」の参加者を増やしたい、そういった想いで今年から始めたのが、「私たちの知らない世界」シリーズの勉強会やプロボノマッチング事業でした。

「私たちの知らない世界」シリーズは、普段メディアなどで大きく取り上げられない社会課題をテーマに取り上げています。いろいろな方に「そういうことを話してもいいのだ」と気づいてもらい、話を聞くだけではなく、実際に課題を解決するために活動している人々を自分がプロボノとしてお手伝いしてもいいのだと思える社会をつくりたいです。実際に課題解決をしている人の姿を見ることで「そういうことをやっていいんだ」「自分も始めていいんだ」と思う人が増えたらいいなと思っています。


今回は、ハブができるまでや、どのような活動をしているのか、これまでの課題等をお伝えしてきました。
次回は、今後目指していること等、「今後」についてのお話を中心にお伝えしていきます!ぜひ後半もお読みください。

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