ミャンマーでは今、空前のアートバブルだ!!(前編)
現在、ミャンマーでは空前のアートバブルが起きているようだ。
実際、ヤンゴンにある多くのギャラリーを訪れたところ、かなりの数のアート作品が売れている様子。
なぜこのような現象が起きているのだろうか?
クーデターが起きて2年。
ミャンマーから明るいニュースを聞くことはなかった。
「果たして、無事に入国できるのか?そもそも、入国できるのか?」
そんなイメージだったミャンマー。
夜になると人っ子一人歩いていないが、昼間は3年前のコロナ以前と変わらない。
とはいえ、経済は停滞気味だ。
在住の日本人の方々と会っても、景気の明るい兆しは見えないと話す。
だからミャンマー人アーティストと会って「今、ミャンマーでは空前のアートバブルだ。」と聞いたときに、耳を疑った。
こんな時期のミャンマーに来たことを、友人のミャンマー人アーティストはとても喜んでくれた。丸一日、車を出してくれて、話題のアートスポットを案内してくれることになった。
1. The Sea Art Gallery
まず訪れたのは、金融系や保険などのオフィスビルの一角にあるThe Sea Art Gallery。カフェが併設されているおしゃれなギャラリー。若者で賑わっていて、女の子たちが作品と共に自撮りする姿は他の国と変わらない。
ところが、飾られた作品は2,000USDを超える作品も少なくない。
率直に言うと、経済的に好調な隣国タイのバンコクのアート作品と比較すると、値段の割には作品の品質はボチボチな気もする。
ギャラリーのオーナーとディレクターと話す機会をもらったので、色々聞くことができた。
アート作品を購入しているのは、若手のミャンマーの経営者のグループたちが多いようだ。オークションを開催すると、驚くほどの高音がつくという。コレクターの若手の経営者たちは、大量に購入して倉庫に預けているほどらしい。
投機目的でアート作品を購入する側面もあるのだろう。
在住の経営者曰く、高級時計や車など値段が落ちづらいものは盛り上がりが見られるとのことだ。
カンボジアでは、外国人も入ってきてコンドミニアムや土地など不動産の需要が高まっている。外国人が来ないミャンマーでは文化的なもの、例えばアート作品が内需の中心となって投機対象になっているという面白い現象に感じた。
2. Neutral Art Gallery
続いては、『ヤンゴンの原宿』とも呼ばれるレーダン地区にあるNeutral Art Gallery。このギャラリーは、The Sea Art Galleryと違ってこちらは雑居ビルの中にある。
開催されていたのはグループ展『Colorful Heaven Exhibition』の最終日。若手から中堅アーティストが10名参加している。
作品を鑑賞していると、カタコトの英語で声をかけてくれたのが、参加アーティストのKira Koeさん。木炭デッサンで写実的な作品を制作している。
値段もお手頃ということもあったので、思い切って『珈琲豆』を描いた作品を購入させてもらった。
Kira Koeさんもアーティスト仲間の方々やギャラリーの想像以上に喜んでくれて、なんだかこちらまで嬉しくなる。
こちらのギャラリーのオーナーは、10代の女性らしい。
ミャンマーの若い勢いを感じるような、フレッシュなギャラリー。
暗いイメージだけだったミャンマーに、明るい兆しを感じる場所だった。
3. New Treasure Art Gallery
ミャンマーで著名なアーティストMin Wae Aungのコレクションギャラリーも兼ねているNew Treasure Art Gallery。ここでは、60名以上のアーティストを取り扱っている。
場所が大使館エリアにあり、外国人が減ったコロナ・クーデターの後はどちらかというと、売り上げが落ちているようだ。
とはいえ、老舗のギャラリーということもあり、圧巻の作品数。
一見、雑然とした空間だが、3フロアあり思った以上に広い。
まるで、宝探しをしている気分になる。
そんな中、とても気になる掘り出し物を見つけた。
というか、その作品から目が離せなくなった。
友人でもあり、尊敬するアーティストAye Ko氏の作品『Family』。
彼の作品は一作品購入しているが、その作品と比べると優しくて可愛い。
「コロナ禍で、家族と過ごす中で描いた作品。」
世界が思っているミャンマーのイメージとは違うこの作品。それはミャンマーの未来、そして人間の幸せの可能性を指し示してくれるような希望を感じさせる。
4. Goethe Institut
現在、世界に92カ国・158か所にドイツ政府が設立した国際文化交流施設のゲーテ・インスティチュートが、ヤンゴンにもある。
そこでは、ミャンマー人の友人がキュレーターとして働いている。
おしゃれなカフェに、図書館や演劇もできそうなアートスペース。
木々に囲まれた施設はヤンゴンとは思えない雰囲気で、中に入るとちょっとホッとする。
キュレーターをしている友人曰く、申請したら無料で使用できるらしい。友人のアーティストAyeKo氏も、展覧会やワークショップを行ったようだ。
アートが盛り上がっているミャンマーで、このような施設が無料で使える可能性があるということは大きなチャンスになるに違いない。
私たちのソーシャルコンパスとしても、何か企画を考えたいと思う。
後半へつづく
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