SDGs絵本09『平和ってなに？』

私は8月6日生まれ。誕生日の朝は広島の平和記念式典の記憶しかない。

だから『SDGs 目標16 平和と公正をすべての人に』と世界遺産を組み合わせを考えたとき、最初に思い浮かんだのが広島の原爆ドームだった。英語名はHiroshima Peace Memorial、直訳するとヒロシマ平和記念碑。まさに『平和』を象徴した世界遺産だ。

この絵本プロジェクトを進めるにあたって、日本の世界遺産も入れたいとは思っていた。早速、原爆ドームをイメージしたキャラクターのラフスケッチに取り掛かる。

ちなみに、SDGsを擬人化しただけの以前のデザインは、鳩のキャラクターだった。『平和の象徴といえば鳩』という短絡的なイメージから連想したものだったが、今思うと広島の平和記念式典で毎年放たれる白い鳩のイメージがあったのかもしれない。

安直にハトのキャラクターでデザインするのに参考にしたのは、SDGs目標16のアイコンだ。アイコンでは、鳩が公正を象徴する裁判官が持つ木槌を持ち、旧約聖書のノアの方舟の伝説から口にはオリーブの葉を咥えている。

実はこのハトのアイコンは、エルサレムの象徴だったりもするらしい。
そして、エルサレムの旧市街地は世界遺産だ。

つまり、SDGs目標  目標16 平和と公正をすべての人にのアイコンは、もうすでに最初から世界遺産エルサレムと関連していたのだ。

エルサレムは、ユダヤ教徒にとっての神殿の丘と嘆きの壁、キリスト教徒にとっての聖墳墓教会、ムスリムにとっての岩のドームとアル＝アクサー・モスクなど３つの宗教の聖地になっていることで有名だ。

特にイスラエルはエルサレムを首都としているが、国際的には承認されていない。エルサレムの世界遺産登録は、1981年にヨルダンによる申請でされているが、現在はイスラエルの国内に存在している。したがって、エルサレムは『ヨルダンによる申請物件』として、どこの国にも属さない複雑な形で扱われているのだ。

正直、エルサレムは『平和』とは程遠い、いつも揉め事があるイメージだ。
平和の象徴なはずなのに、揉めてしまうパレスチナ。平和ってなんだろうと考え込んでしまう。

そう思っていたら、数日前エルサレムで暴力的な衝突が起こった。

東エルサレムで数週間にわたってパレスチナ人とイスラエル警察の暴力的な衝突が続き、パレスチナ自治区ガザにおいてパレスチナ武装組織とイスラエル軍による7年ぶりの大規模な戦闘を引き起こしている。写真はガザ地区で、イスラエル軍による空爆を受けた住宅に集まる人々（2021年5月12日　ロイター)

平和と公正を象徴とするSDGs16の世界遺産は、原爆ドームとエルサレムのどちらが適切なのだろうか？

原爆記念日生まれの私としては、原爆ドームも捨てがたい。
とはいえ、やはり未来の平和を考えると、エルサレムの行く末がとても気になる。。特に公正の視点で考えると、イスラエルとパレスチナの関係が世界の未来を担っているのではないだろうか。

とりあえず、鳩にはセントピースと名付けてみた。

国籍なしのエルサレムのキャラクターは、アラビア語(ヨルダン・パレスチナ)なのか、ヘブライ語(イスラエル)なのかは悩ましい。

とはいえ、エジプト(アラビア語圏)のピラミッドのキャラクターも構想したいので、消去法でヘブライ語でのありがとう『トダ ラバー(תודה רבה./Toda raba)』を選びたい。

セントピースには、ヨルダンもパレスチナも、イスラエルも関係なく飛び回って「トダ ラバー」が響かせる、本当の平和の使者になって欲しい。

読者の方々としては、原爆ドームとエルサレム、もしくは他の世界遺産のどれが『平和と公正』に相応しいと思うだろうか？もしご意見あったら教えて欲しい。考えを巡らすだけで、ワクワクだ。

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