SDGs絵本10『なぜ？どうして、ピラミッド？』

SDGs×世界遺産のキャラクターを作ろうと思った時、直感的に目標4 質の高い教育をみんなに は、エジプトの世界遺産ピラミッドにしようと思った。

数ある世界遺産の中で、圧倒的な知名度を誇るピラミッド。そして誰もが知る世界遺産といえば、ピラミッドしかないだろう。その三角形の構造には数学的なイメージもあり、いかにも知的な感じを醸し出す。

元々のSDGsを擬人化しただけの以前のデザインは、ひらめきをイメージさせる電球と教師の衣装をきた安直なデザインだった。

正直、あり触れた既視感のあるデザインだというのは否めない。キャラクターとしてやっぱりどこかイマイチ。

そんな『教育』のキャラクターにピラミッド。

しかし、しかしである。
なぜピラミッドなのだろうか？？
なぜピラミッドが教育のキャラクターなのかの理由を書くことができない。

そもそも、『教育』のイメージである『学校』が世界遺産になった例はいくつかある。インドの世界最古の大学の一つであるナーランダ大学(ビハール州ナーランダーのナーランダー・マハーヴィハーラ考古遺跡)や、ベネズエラのカラカスの大学都市、そしてアメリカのバージニア大学も世界遺産認定されている。しかし、ピラミッドから醸し出される『智』の印象には遠く及ばない。

根本的にピラミッドとはなんなのだろうか？

ピラミッド(金字塔)
四角形などの底面の上に角錐(かくすい)形に巨石をつみあげた古代遺跡。特に、古代エジプトの遺跡の一つ。国王・王族の墓で、現存の最大のものは高さ約一四〇メートル。ギザの大ピラミッドをはじめ、エジプトのピラミッドは世界でもっとも有名な遺跡の一つとされており、現代においても「金字塔」は、ピラミッドのように雄大かつ揺るぎもしない後世に永く残る立派な業績（偉大な作品や事業）などを表す代名詞となっている。

まずは王族のお墓だというのは真実なのだろうか。調べてみると、色々な説があることを知る。

富裕層が作った巨大倉庫と言う説や、洪水や砂嵐のためのシェルター説。そしてナイル川をきれいにするためというものもあれば、女王への贈り物というバブリーでロマンチックな説まである。

紀元前3000年ごろのナイル川は、氾濫のたびに人々を困らせていた。しかし河川氾濫の度に測量を行っていたので、エジプト人の測量技術が高くなったようだ。そのノウハウが、ピラミッドの建設にも関係してくる。

その測量術はかなり高度で、ピラミッドの各所でその痕跡を知ることができる。ピラミッド60m内部に入ったところにある『至聖所』と呼ばれる小部屋に、特定の日にだけ光が入る精密な構造になっている。現代から見ても高度な知識と技術で作られているらしい。

ピラミッド建設には、高度な知識が詰め込まれている。設計した人たちは高度な『教育』を受けて、技術の伝承を行ってきたのであろう。

やはり質の高い教育をみんなに のキャラクターはピラミッドで決まりだ。

このピラミッドのキャラクターの名前はギゼーだ。エジプトで使われているアラビア語でありがとうは『シュクラン・ガジーラ(شُكْرًا جَزِيلاً)』。

SDGs目標4 質の高い教育をみんなに とは、校舎がある学校へ通うだけのことではないのではないだろうか。なぜなら開発途上国では、学校の設備が整っていない、教科書がない、先生が十分いないなどの問は当たり前。しかし貧まずしい暮くらしをしている子どもにとっては、教育を受けることが、その貧まずしさから抜ぬけ出だすチャンスだ。

それだからこそ、たとえどのような環境でも、誰もが知への好奇心を持ち続ける環境を作ることが大切だ。

学ぶことが楽しいということを知ってもらい、誰もが学びを続ける世界になってほしい。

これからの時代、インターネットを使った新しい形の学び(もちろん既存の教育システムも必要だが)や、年齢に関係なく生涯学んでいくことが大切な時代になってきている。

今、自分が学べることに感謝し「シュクラン・ガジーラ」と呟きながら、「なぜ？」という問いを大切にしていけたらと思う。

考えを巡らすだけで、ワクワクだ。

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